「水の惑星」とも呼ばれている地球で、我々が主に利用しているのが淡水。しかしそれは決して豊富にあるわけではなく、すべての国と地域に平等に行きわたっているわけでもない。それは地理、気候などの地域性に大きく依存し偏在しているといえる。つまり、世界は淡水資源が豊かな国と乏しい国に二極化されてしまうのである※1。
カタール、クウェート、オマーンなど、中東と呼ばれる灼熱の砂漠地帯に位置する国々では、経済発展や都市化の進展にともない、淡水資源の確保が難しいものになっている。淡水は人間が生きていくうえで、飲み水として必要である以外にも、生活用水や農業用水、工業用水として必要とされる。特に中東諸国において淡水資源の確保は、国民の命に関わる重要な問題であり、国家存亡の鍵を握る戦略ともなっている。
石油によって経済的発展を遂げてきた中東の国々。その国では、国民が今日を生きるための水が大切であり、水源から大量の水を安全に長距離輸送するための管路を、何よりも渇望していたのだ。また、海水を淡水化することによって水資源を確保しているクウェートやカタールでは、水を運ぶ管路だけではなく、水を送り込むポンプ、水をきれいにする再生技術も必要とされていた。
1970年代から中東諸国の水道整備事業に貢献してきたクボタの実績、技術、製品力は現地で高く評価され、その結果、国民の命を守るための大動脈といえる重要なプロジェクトを担うに至った。