近年、世界中で毎年のように大きな災害が起こっている。国連資料 ※1によると、2000年から2019年までの20年間に世界で発生した大規模な自然災害は7,348件、死者数は約123万人を数えた。経済損失額も2兆9,700億ドル相当に達し、傷病や避難などで42億人が影響を受けているといわれ、特に国別では中国の577件をトップに、アメリカ、インド、フィリピン、インドネシアと続き、アジアの国々が上位10ヵ国中8ヵ国となっている。
甚大な災害により、水道をはじめ、電気、ガスといった生活インフラが壊滅状態に陥ると、被災者の生命は一気に脅かされてしまう。自然災害から生活インフラを守るために備えることが重要といえる。そして、水インフラの被害を最小限に抑えるには、管路やポンプなどの耐久性、ひいてはその設計や構造に至るまで細心の注意を払う必要がある。クボタは、地震や台風といった自然災害が多く発生する日本で、被害を未然に防ぎ、最小限に抑える技術や製品を生み出してきた。
中でも水道管は、1893年に鋳物技術による鉄管(異形管)の製造に着手し、1904年に日本初の水道管の量産に成功。以降、クボタはさまざまなインフラの管路を手掛けるとともに、地震に耐えうる管についても長年にわたって研究を続けてきた。そして、非常に高い耐震性を備えたダクタイル鉄管※2が誕生。過去、日本国内で発生した阪神・淡路大震災や東日本大震災などの巨大地震でも、延長3,650kmの管路に被害は皆無という成績を挙げた。この驚異の耐震性を誇るダクタイル鉄管は海外からも注目され、アメリカの地震多発地帯カリフォルニアにおいても水道管として採用されるに至り、高い評価を受けることとなった。
また排水用ポンプも、大きな風水害が頻繁に発生しているタイやバングラデシュなどアジアをはじめとした各地で活躍している。近年、世界的なニュースとなったタイの洞窟内に取り残されたサッカーチームの救出でも、日本から無償資金協力で供与されていたクボタのポンプ車が日本の災害救助チームの一員として活躍。救助活動の一翼を担い、タイの人々に喜びを届けた。