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世界とクボタの交差点 万博シリーズ第5回大阪・関西万博から見える、未来の食料・水・環境へのアクション~大韓民国/カナダ~

2025 . 07 . 30 / Wed

写真・文:クボタプレス編集部

2025年4月より開催されている大阪・関西万博にて、世界各国が「思い描く未来」を紹介し、それにまつわる社会課題やクボタの関わりを描く「世界とクボタの交差点」シリーズ。

第5回では、先進技術で人と人をつなぎ、その絆を「いのち」を守る未来にまで膨らませることを目指す大韓民国(以下、韓国)、そして「再生(Regeneration)」を軸に、自然・文化・社会の循環を国家として探求するカナダを取り上げます。クボタの技術がどのように交差し、それぞれの国の未来にどのようなかたちで寄り添っているのか。万博という国際的な舞台を通じて、その一端を探ります。

大韓民国 —技術と真心が響き合う、未来への共鳴―

韓国のパビリオン

韓国パビリオンの正面には、壁一面を覆う大型LEDビジョンが設置されており、韓国各地の観光名所を、過去・現在・未来の視点で映し出す壮大な映像が来場者を迎えます。

『백지장도 맞들면 낫다』
(紙一枚でも二人で持ち上げれば軽い):韓国のことわざ

「With Hearts」がテーマの韓国パビリオンでは、テクノロジーと感性が交差する空間が広がります。大屋根リング上からもよく目立つパビリオンの正面には、幅27m×高さ10mの大型LEDビジョンが設置されており、韓国各地の美しい風景や伝統美、そして最先端技術が描く未来社会が壮大に映し出されています。

館内は三つの展示ゾーンで構成されており、ゾーン1では、来場者が録音ブースで自らの「大切なもの」を声にして答えると、その音声がAIによって解析され、音楽へと再構築されるという共感覚的な演出を体験できます。

続くゾーン2では、荒廃した都市を思わせる空間に設置されたパイプへ息を吹き込むと、水素エネルギーの象徴として泡が天井から舞い降ります。「技術によって回復するいのち」というテーマを、来場者が五感で体感する仕掛けとなっています。

ゾーン3では、2040年の未来の韓国を舞台にした音楽劇「同じ時間の中のメロディー」が三面の大型スクリーンに投影されます。祖父が残した未完の曲を、孫娘が完成させるというストーリーをK-POPのリズムにのせて「最先端テクノロジーと人の想いの結びつき」を感動的に描き出しています。

こうした展示空間全体を包むのは、韓国が長く大切にしてきた「真心=ジンシム」という価値観です。最先端技術であっても、それが人の心を動かすものでなければ意味がない。韓国パビリオンは、「私とあなたの心が出会う場所」として、人と人のつながりを原点に置きながら、いのちの尊さを重んじた先端未来技術を紹介し、すべてのいのちが共に生きる持続可能な未来社会の姿を描き出しています。

韓国の伝統舞踊を現代解釈に落とし込んだパフォーマンス

レイガーデンで行われた韓国のナショナルデー公式催事では、同国の伝統舞踊を現代解釈に落とし込んだパフォーマンスが披露されました(5月13日)。

一方で、韓国はAIや水素エネルギー、通信インフラなどの先端分野において、アジア有数の技術力を有し、国際的な注目を集めています。

そうした流れのなか、クボタもまた、韓国において人と農業をつなぐスマート農業の可能性を広げつつあります。

韓国では、クボタの自動操舵に対応した「大型トラクタ(M7シリーズ)」や収穫と同時にモミの食味と収量を計測する「ER575コンバイン」などさまざまな農業機械が導入されており、多様な営農形態に応じたスマート農機の活用が進んでいます。さらに、現地農機メーカーASIATECとの連携により、乗用管理機「KV2200」の共同開発・製造を実現し、地域の畑作ニーズに応える柔軟な対応力と、現地生産によるきめ細やかなサポート体制を構築しています。

高度な通信インフラとITリテラシーを備えた韓国市場は、スマート農業の先進的な実証フィールドとして、大きな可能性を秘めています。

さらに、クボタの取り組みは農業分野にとどまりません。近年、世界的に注目されているサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向け、韓国では都市鉱山から有用な貴金属やレアメタルを回収する技術の導入が進んでいます。そうした中で、高精度な破砕を可能にするクボタの竪型破砕機が2008年より韓国にも提供され、日本と同様のリサイクルプロセスが現地に根づいています。細かく均一な破砕により金属の分離・回収率を高めるこの技術は、韓国国内でも高い評価を受けており、クボタの技術が新たな循環社会の構築に貢献しています。

人と技術、農業と資源、そして過去と未来をつなぎながら、クボタの挑戦は韓国で着実にその存在意義を深めています。

カナダ —氷が解け、未来が芽吹く、再生の風景―

カナダのパビリオン

カナダで見られる自然現象「水路氷結」をモチーフにした外観が印象的なパビリオン。春の訪れとともに凍った川の水が溶け、砕けながら流れていく氷の造形が、来場者の目を引きます。

『An ounce of prevention is worth a pound of cure.』
(小さな予防は、大きな治療に値する):カナダのことわざ

「Regeneration(再生)」をテーマに掲げるカナダパビリオンの外観は、カナダの国立公園に置かれている赤い椅子が、流氷を模した巨大な造作物の上に設置されています。舞台美術のように印象的なその造形は、見るだけで涼しさを感じるようなひんやりとした佇まいが、北国カナダの自然を想起させます。

パビリオン内では、来場者は各自配られたタブレットを氷山のような展示オブジェにかざすことで、AR(拡張現実)の仮想世界へと導かれます。ブリティッシュ・コロンビア州カナダプレイスやトロントのCNタワー(超高層電波塔)、先住民の彫刻や雪すべりをする子どもたち、ナイアガラの滝、星空とオーロラなど、多様な自然・文化・技術が重層的に表現されています。

また館内にはカフェテリアが併設され、本場カナダの伝統料理「プティーン」やメイプルシロップを使ったスイーツが提供され、「甘くて後を引く味」として“背徳グルメ”と称されるほど人気を博しています。

カナダパビリオンの併設されたカフェで食べることができるカナダの伝統料理プティーン

フライドポテト、チーズ、グレイビーソースの3つを組み合わせたカナダのケベック州発祥の料理プティーンはカナダパビリオンに併設されているカフェで食べることができます。

こうしたAR体験と五感に響く空間は、単に情報を伝えるだけでなく、来場者の心に「再生」への感覚的な共鳴を呼び起こしています。この持続可能性を追求するカナダの真摯な姿勢は、社会のあり方だけでなく、農業や産業の分野にも広がっています。

カナダの先住民に伝わる「フープダンス」のパフォーマンス

ナショナルデーでは、カナダの先住民に伝わる「フープダンス」のパフォーマンスで幕を開け、続いて多様なパフォーマーたちが、音楽やダンスを披露しました(5月17日)。

1975年に設立された「Kubota Canada Ltd.」は、2025年に創立50周年を迎え、全国144の販売拠点と250名の従業員が、トラクタ・建設機械などを通じて地域農業・産業の基盤を支えています。

2021年には、カナダ・カルガリーに本社を構える自動走行制御技術の専門企業「アグジャンクション社」をグループに迎え入れ、自動操舵や走行ルートの生成といった高度な技術をクボタ製品に融合し、北米市場向けに次世代農機の開発を加速させています。

さらに、北米の農機ディーラーによる満足度調査(NAEDA主催)において、Kubota Canada Ltd.は3年連続で「最優秀メーカー」に選ばれました。この賞は当社にとって通算5回目の受賞となり、地域に根ざした信頼とサービスが、カナダでの存在価値を揺るぎないものとしています。

自然が再生を繰り返すように、社会もまた変化の中で希望を育みます。クボタの技術は、春の氷解のように、カナダの未来をあたたかく支え続けています。

AIやARといった先端技術が人の想いと結びつき、氷の下から新たな未来が芽吹いていく。韓国とカナダ、それぞれの展示は「人と人のつながり」や「自然との共生」を根底に置き、未来社会への道筋を力強く描いています。そしてその歩みに寄り添うのが、クボタの技術です。

農業を支える力、資源を循環させる知恵、地域に根ざしたサービスの質など、それらすべてが「命を支えるプラットフォーマー」として、世界とともに歩もうとするクボタの姿勢を物語っています。

未来は、どこか遠くにあるものでなく、目の前で交差し、少しずつ育まれていくもの。万博という舞台で浮かび上がるその姿を、クボタはこれからも見つめ続けていきます。

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