1970年日本万国博覧会 クボタ館

クボタが見据えた「食の未来」

1970年日本万国博覧会 クボタ館 ロゴ

1970年の日本万国博覧会にて、クボタは3つの建物と滝をあしらった庭園で構成された「クボタ館」を単独出展しました。クボタ館のテーマや展示物を通して、当時も今も変わらない、クボタの企業姿勢と社会への向き合い方をご紹介します。

1970年日本万国博覧会のテーマ「人類の進歩と調和」

1950年代後半以降、日本は高度経済成長によって急速に豊かになりました。しかし、その一方で大気汚染や自然破壊などが深刻な社会問題となりました。

そんな中、1970年に千里丘陵(現・大阪府吹田市)で開催されたのが日本万国博覧会です。「人類の進歩と調和」をテーマに、多くの企業や国が参加し、自然環境と調和しながら進歩を遂げていく方法を考える展示や催しが行われました。

アジア初・日本初の万国博覧会として77か国が参加し、開催期間中の約半年間での入場者数は6,421万8,770人を記録。これまでに開催された万博の中で最多入場者数を誇る同万博の跡地は、万博記念公園として現在も残っています。

クボタ館のテーマ「豊かなみのり」

クボタは「豊かなみのり」をテーマにクボタ館として単独出展。建築物や展示物を通して、自然と社会の調和を表現しました。食料・水・環境を事業領域とするクボタでは当時から自然との調和を重要視しており、半世紀以上が経った現在においても、その考えは事業や製品、ソリューションに根づいています。

シンボルタワーでは、Gコラム(遠心力を利用して管状に形成された継目なしの鋼管)を利用したモノポール構造を採用。1本の柱からワイヤーロープで大屋根とガラス張りのスカイルームが吊り下げられており、雨や日差しをしのぐ憩いの場所としてお客さまに利用されました。

  • クボタ館はシンボルタワー・展示棟・管理棟の3つの建物と、滝をあしらった庭園で構成されています。

大屋根の裏には、“稲穂の実り”の象徴としてプラスチックのたんざくを40万枚使用。休憩室と展望台を兼ねたスカイルームにはゆったりしたソファを配置し、調和のある空間をイメージした牧歌的な音楽を流すことで、くつろいだ雰囲気を演出しました。

  • モノポール構造のシンボルタワー

  • 大屋根の裏には“稲穂の実り”の象徴

屋外には土地の高低を利用した滝・水耕栽培による花園・ポンプ技術による噴水・ウォーターカーテンなどが設けられており、「豊かなみのり」をテーマにした音楽も流れていました。

展示棟では、4つのブロックで「より豊かで美しい空気と水と緑の空間」を表現

展示棟は回廊式になっており、お客さまは展示棟の壁に囲まれたスペースを一周したあと、映画ホールに入ります。展示棟は第1壁面から第4壁面まで、「より豊かで美しい空気と水と緑の空間」を基本構想とする4つのブロックに分かれています。

図:展示棟4つのブロックそれぞれのテーマ

1壁面「現代の矛盾と未来への期待」がテーマの写真展

  • 第1壁面は「現代の矛盾と未来への期待」をテーマに、写真展の構成で展開されました。

    ここではモノクロ回転パネルとカラーコルトンが使われており、表裏の2面がそれぞれ独立し、場面転換によって「現代社会の矛盾・混乱の断面」と「その矛盾・混乱の中でも人間性を失わない人間の姿」を表しました。

2壁面「美しい空気と水と緑の回復」を彫刻で表現

第2壁面のテーマは「美しい空気と水と緑の回復」です。

実際の一地域をモデルに、都市と農村が手を握り、太陽・水・緑・美しい空気に包まれた環境作りをする姿を約1万分の1のレリーフで表現しています。

第2壁面の天井は成型された色アクリルでできており、アクリルの色をゆっくり変化させながら光線を当て、自然回復への願いを表しました。

3壁面「豊かなみのりへの社会工学」がテーマのイラストを展示

  • 第3壁面のテーマは「豊かなみのりへの社会工学」です。

    4枚の円盤が回転して中心のイラストが見え隠れする展示方法で、農業と社会との関連を主とした3つの問題(自然条件の克服・農業の機械化・農産物流通のシステム化)が解説されました。

現在のクボタ製品につながる「夢のトラクタ」も展示

  • 展示壁面の反対側には、久保田鉄工株式会社(現・株式会社クボタ)が開発した「夢のトラクタ」が陳列されました。スポーツカーを思わせるデザインで、科学技術の進歩が未来の農業に寄与する姿を表現。第3壁面のスペースだけでなく、屋外の休憩所にも展示されました。夢のトラクタの高い機能性や乗り心地の良さ、シンプルな操作性などは、現在のクボタ製品にも活かされています。

4壁面「自然と詩」をテーマにしたカラー写真

第4壁面では、映画ホールの入口ぎわにある壁に「自然と詩」をテーマにしたカラー写真が展示されました。

澄み切った大空を飛ぶ鳥群の写真パネルを背景に、美しい空気と水と緑の空間を楽しむ人々の姿が表現されています。

  • 映画ホールでは、「世界の米つくり」のカラー映画が上映。

    東南アジア・イタリア・エジプト・アメリカなどの米作地帯の田植えや刈り入れの風景、日本各地の稲作にまつわる風習などが多面スクリーンに映し出され、労働の尊さと収穫の喜びを訴えました。

2025年 大阪・関西万博では「最先端の食と農業」をテーマに出展

経済の発展とそれに伴う自然環境への影響が顕在化してきた1970年。当時からクボタは自然との調和を考え、食と農業の未来を見据えていました。そこから半世紀、クボタが考え続けた未来の“食と農業”を2025年の大阪・関西万博でお見せします。

テーマは「最先端の“食と農業”の研究開発現場」。

持続可能な社会が求められる中、食と農業はどうあるべきか。最新の技術とともに、クボタの考え・ビジョンをぜひご覧ください。