1950年代の半ばから、日本では高度経済成長による工業化や都市化が進み、社会や人々のライフスタイルも大きく変化していった。しかしながら、当時は人口の都市集中に下水道整備が追いついておらず、河川や海域の水質汚濁が一層顕著となっていった。やがて、公害として大きな問題となり、対策を求められるようになった1970年代、国民の健康保護や生活環境の保全に向けて法体系が整備されていった。そして、排水への規制もさらに強化され、処理技術にも進化が求められるようになった。
クボタは、「新たな水」を生みだす高度な排水処理技術である液中膜によって、水資源の有効活用をめざす下水道システムの構築に貢献した。1986年に開発された液中膜は、微生物による浄化と、膜による固液分離を組み合わせたコンパクトな膜ろ過装置で、効率よく排水処理を行うことができ、メンテナンスも容易という画期的なシステムだった。そして、この技術を下水処理場や浄化槽、さらに都市のビルの中水設備※1などへ展開。健全な水環境の創出のための高度な排水処理や、再生水の有効利用、資源循環のための下水汚泥のエネルギー活用など、サステナブルな社会の実現に貢献していく。