21世紀に入るとインターネットの普及によってグローバル化が加速し、ITが社会の構造を変え始めていた。また、環境や食の安心安全などに配慮する意識も世界に広がっていく。
食生活においても、日本ではますます国際色が豊かになっていた。もともと日本ではさまざまな国の料理店が全国にあったが、グローバル化による人の交流と情報がさらにその幅を広げ、家庭の食卓も個人の好みも多様化していった。その分、米を食べる機会が減り、米離れが加速していた。しかも、外国産農産物の輸入が年々増え、農産物全体の市場価格を押し下げていく。特に米はピーク時の約65%にまで価格が下がり、日本農業の主流である稲作農家を直撃した。一般企業との所得格差も広がり、農業はいつしか「儲からない」産業のイメージとなり、若い世代にとって魅力を感じにくい状況になっていた。しかも、このことは高齢化する小規模農家にも大きく影響し、農業をやめる人が急増。農村部は過疎化していく。一方で、耕作放棄地や手放された農地は、国の政策※1もあり担い手※2へと集められ、経営規模が急拡大していた。高齢化に端を発し、日本農業は過疎化する農村で頑張る小規模農家と、急激に大規模化する担い手との二極化が鮮明になり、それぞれに悩みを抱えていた。
このような中でクボタは、農業機械のリーディングカンパニーとしてすべての農家をサポートするための取り組みを急ぐ。大規模化する担い手のためには農業機械の高機能・高性能・高出力・大型化を進め、小規模な農家には小さな水田でも使えるような軽量・コンパクト、そして低コストで操作しやすい農業機械を開発するなどラインアップを充実させていく。また、それぞれに応じた農業経営の提案にも力を入れる。クボタはハードとソフト、その両面から農家ごとの悩みに最適な提案ができる企業へと歩みを進め、「強い農業」への舵取り役として、全国の農家への支援・提案を強化していく。