国連では、長期的社会発展を促すための経済成長の推進を社会課題として挙げている。
産業の発展と豊かな地球環境づくりを支える産業機械の動力源として、長らく産業用エンジンを市場に送り出してきたクボタのエンジン事業の歴史は、1922年の農工用石油発動機の製造から始まる。以降、「持ち運びに便利な、軽量で取り扱いも簡単な新しいエンジン」の実現にひたすら注力することで、クボタの産業用エンジンは、軽量化・小型化が大きく進んだ。やがて、経済のグローバル化を背景に、国際的小型汎用エンジンメーカーとしての発展を方針に据え、1985年、市場ニーズの多様化に対応する多品種少量生産、設備や生産管理システム面での効率化を徹底追求した堺臨海工場が操業を開始。グローバル対応への基盤を整えた。
また、社会や産業の発展は、自然環境との調和によって成り立ち、両者は決して切り離して考えることはできない。創業以来、環境保全と社会インフラ整備に貢献してきたクボタは、1990年代以降、排出ガス規制強化が世界中で叫ばれる中、エンジン本体の開発のみならず、将来を見据えた排出ガス対策にも率先して取り組んできた。そして、農業機械や建設機械をはじめ、発電用エンジンなど、世界中のさまざまなニーズに即した最適なエンジンの提供をめざし、環境性、搭載性、経済性においてさまざまな進化を遂げることで、世界の産業への動力提供を着実に続けてきた。その結果、100馬力以下の産業用ディーゼルエンジンにおける世界のリーディングカンパニーとして高い評価と信頼を獲得している。
現在、クボタのエンジンは、アメリカ、欧州など、世界13ヵ所の販売拠点を通じて世界各国へ供給され、500以上のサービスネットワークが、各国で活躍するエンジンをサポートしている。さらに、世界的な食料問題を受け、世界の耕地面積の約4割を占める「畑作穀物」の効率的な生産を行うための大型エンジンの開発や、さらなる環境保全に対応するためのマイクロハイブリッドエンジンの開発など、これまで以上に、世界の産業を支える新たな動力ニーズに応え続けていく。