人類の歩みと
農業の発展
文明の進歩は、社会の姿にも大きな影響を与えてきました。古くは狩猟や採集を主とした狩猟社会(Society 1.0)から始まり、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)を経て、新しい社会「Society 5.0」へと今まさに歩みを進めようとしています。私たちの食を支える農業もまた、社会の発展とともにその姿を変えてきました。それぞれの時代において、農業はどのように進歩していったか、そしてクボタが考える未来の食と農業の姿についてご紹介します。

狩猟社会における農耕のはじまり

人類はコミュニティを形成していく中で、動物の狩猟や植物の採集によって日々の糧を得ていました。そのため、その地域の食料がなくなると、また新たな土地への移動が必要になります。その内、人間は食べ捨てた植物の種から、また新しい植物が生えてくることを発見。種を撒き、作物を育てることを覚え、安全な場所に定住することを可能にしました。これが農耕のはじまりであると言われています。
農耕を主とする安定した社会

こうして人類は食料を安定して手に入れる手段を獲得し、農耕を基盤とする社会Society 2.0が生まれました。農耕社会の期間は長く、紀元前から産業革命が起こる1800年代まで続いたと言われています。その間、人類は農耕技術を着実に発展させました。その土地の風土にあった作物や農耕技術、耕作や収穫作業を効率化する農具が発明され、収穫量は増加。食料の安定確保によって、一定の土地での定住を可能にした人類は、その土地に根ざしたコミュニティを発展させていきます。
農具の機械化によって労働の
軽減、
大量生産が可能に

産業革命はさまざまな分野でその技術を飛躍的に向上させ、人類は工業社会Society 3.0に突入します。
産業革命は農業においても新しい価値を生み出しました。重労働であった農作業は農業機械や化学肥料の登場によって、労働の軽減と大量生産が可能になりました。また、この頃から農業の在り方に変化が生じます。産業革命によって都市人口が増加し、その増えた人口を支えるための食料の増産が必要になりました。農場はますます大規模化・効率化し、農作物は自分たちが食べる物ではなく、商品として売る物として移行していきました。こうして、自給自足のための農耕は第一次産業としての農業となり、食を支える大事な産業として確立していきます。
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完成に至るまで10年もの歳月を要した刈取機HA1形の試験運転
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作業をする水田用乗用トラクタL15R形
IT化で持続可能な農業の実現へ

ITの普及によって、あらゆる情報を誰もがすぐに手に入れられるようになった現代の情報社会Society 4.0。インターネットは生活に欠かせない基盤となり、デジタル化された情報はあらゆる産業の効率化を実現し、私たちの生活は豊かなものになりました。しかし、その一方でこれまでの大量生産・大量消費の社会は地球環境問題を引き起こし、持続可能な社会が求められる時代になりました。
食料分野においても人口増加に伴う食料不足や農業人口の減少、地球環境への配慮など世界的な課題を受けた持続可能な農業のニーズが高まります。これまでのように大量生産するだけでなく、地球に負担をかけない農業や農作業の省人化・省力化が求められる一方、高品質な農作物や安心安全な食料ニーズなど、食の多様性が高まっています。これらを実現するために、ITによってさまざまなソリューションや農業機械が開発されています。
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インターネットを活用して農業経営課題の解決をサポートする、クボタの営農・サービス支援システムKSAS
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無人自動運転で農作業を行うクボタのアグリロボトラクタ
農業の発展とともに歩んできた
クボタが考える食と農業の未来
クボタは社会の変化に合わせて農業機械を開発し、農業の発展に貢献してきました。
クボタの農業への貢献は1922年に製造された農工用石油発動機の製造から始まります。その後、第二次世界大戦後の日本の深刻な食料難を解消するため、農業機械の開発にいち早く着手。農耕用の発動機や耕うん機、乗降用トラクタを世に送り出しました。
高度経済成長期には農村の労働人口減少が社会問題になります。そこでクボタは農作業の省力化・効率化という農家のニーズに寄り添い、トラクタだけでなくバインダー(稲麦刈取結束機)や田植機などを開発し、農業の機械化に貢献してきました。
また、近年の地球環境問題や農業人口減少などの世界的な課題に対して、クボタは農業機械の自動化やデータ活用による精密農業など、さまざまな製品やソリューションを開発。農作業の省人・省力化と生産性向上の両立を実現し、持続可能な農業の実現をめざしています。
そして、未来の社会Society 5.0に向けて、クボタは農業を次のステージへと進めていきます。
2025年、クボタは 「地球と人にやさしい、未来の“食と農業”の研究所」 をテーマに 大阪・関西万博「フューチャーライフ万博・未来の都市」に出展します。
次の新しい社会において食と農業はどのように変わっていくのか。クボタが考え続けた食と農業の未来をぜひ会場でご覧ください。
