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TECHNOLOGY

ICT活用でさらに変化する未来農業「2018新春のつどい」に見るクボタの進化

2018 . 04 . 27 / Fri

ICT活用でさらに変化する未来農業「2018新春のつどい」に見るクボタの進化

文:クボタプレス編集部

News(速報)記事の通り、去る1月24日・25日、「2018クボタ新春のつどい」を京都パルスプラザにて開催。グループ各社や販売代理店など取引先をはじめ、投資家、アナリスト、学生の方まで、総勢6,000名を超えるステークホルダーの皆さまにお越しいただきました。

農業機械のリーディングカンパニーとして、創業以来、日本の米づくりを支えるクボタ。TPP、農業人口の高齢化と後継者不足といった深刻な営農課題に寄り添い、ICTやIoTを活用した次世代スマート農業の早期実現に取り組んでいます。2017年より継続し、今年もクボタがテーマに据えて目指す精密農業、そして会場でとりわけ大きな反響を呼んだICT・IoT技術について、クボタプレス編集部がご紹介します。

日本農業の未来を支える、日本型精密農業が動き出す

この20年ほど、テクノロジーは著しい進化を遂げています。データを活用して、根拠に基づく農業経営を行う「精密農業(Precision Farming)」が、確立されつつあります。欧米諸国の先進農家では、センシング・解析技術を用い、農地や作物の現況をデータに見える化することによって、効率的な栽培と収穫を行い、市場で優位性を発揮しています。
農作物の収量(収穫量)と品質の向上を目指し、昨今の日本においても急速な発展を遂げようとしています。これまで、農家の大半は経験と勘を頼りに、圃場[ほじょう=農作物を育てる田畑や農園]を管理してきました。しかし、経験則だけで農業を継続していくのは、後継者育成や規模拡大の観点からも非常に難しく、今後はデータに裏打ちされた農業経営の効率化が不可欠です。

今年の「クボタ新春のつどい」全展示で最も注目を集めたのは、『KSASレイヤーマップ』とそれに対応した高性能・高耐久農機。日本型精密農業の実現を目的とするものです。

今年の「クボタ新春のつどい」全展示で最も注目を集めたのは、『KSASレイヤーマップ』とそれに対応した高性能・高耐久農機。日本型精密農業の実現を目的とするものです。

広大な圃場を管理するケースの多い欧米では、畑作が精密農業の中心を占めます。一方、面積が小さく数多くの圃場が存在する日本で、主流となる稲作での精密農業は、間もなく完成する次世代型ソリューションといえるでしょう。生産効率向上に加えて、食味改善による高付加価値化・農業就労者の負担低減・農家の収益性など、市場や農業現場のニーズ・喫緊の課題に貢献するため、クボタは業界に先駆け、食味・収量センサ搭載コンバインと営農支援サービス『Kubota Smart-Agri System (以下、KSAS)』を2014年に開発。データ活用による日本型精密農業の実現へ歩み出し、今日も完成度を高める尽力をしています。

新春のつどいで発表された『KSASレイヤーマップ』は、これまでのKSASに、より多くのデータを集約していくためのプラットホームです。1つの圃場は数mから数10mのメッシュで区切られ、GPSの位置情報と関連づけられ、収穫された農作物の食味・収量・農業機械の作業経路・施肥データ・生育状況・土壌肥沃度・土質などと多層的にひもづけられます。これらのデータを重ねて見ることで、圃場がどのような状況にあり、どのくらいの農作物が収穫できるのかを推測できます。

この『KSASレイヤーマップ』の実現にむけ、2019年には食味収量のマップデータも取得できる普通型コンバイン「WRH1200」を販売予定です。既にモニター発売を開始したアグリロボトラクタやコンバイン、田植え機による自動運転経路データとのリンクや、ドローンを用いた生育状況の把握、気象情報との連携なども将来的には視野に入れ、開発を進めています。“よりおいしいお米をより多く収穫する”日本型の儲かる精密農業を追求し、クボタの挑戦はこれからも続きます。

KSASレイヤーマップとは?

『WATARAS』がつなぐ農と水のプロフェッショナルの真価

先日もクボタプレスで取り上げた『Kubota Smart Infrastructure System (以下、KSIS) 』は、新春のつどい会場でも、来場者の関心と次世代ソリューションへの探求心をかき立てていました。
水環境分野では、全国的に人口減少が進むなか、老朽化が進むインフラ設備に対し、人手不足や即時対応の負荷が高いなどの問題を抱えています。カギとなるのは、効率的かつ安全・安心なオペレーションです。IoTによる24時間遠隔監視・来歴収集・診断といった一連のサイクルにとどまらず、監視データに基づく現場の維持管理、ひいては経営の強化に有益なトータルソリューションとなるKSIS。会場では、対応する新製品が発表されていました。

新春のつどい会場でも、来場者の関心と次世代ソリューションへの探求心を大いにかき立てたKSIS。

新春のつどい会場でも、来場者の関心と次世代ソリューションへの探求心を大いにかき立てたKSIS。

戦略的イノベーション創造プログラム(略称SIP)の「次世代農林水産業創造技術」において、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構[農研機構]によって提案・開発された技術を株式会社クボタケミックスで製品開発した『WATARAS』は、国内初の水田用自動給排水栓システムで、稲の生育に欠かせない水の管理を担います。農機や営農技術の進歩は水稲農家の負荷低減に貢献しているものの、水管理に関する省力化は、まだ改善が望まれます。生育状況・天候・地域ごとに異なる農業用水の取水制限、また日々変化する状況に合わせて水門を開閉する作業は従来、手間も時間も要してきました。それが、水田の状況をスマートフォンやPCでモニタリングしながら遠隔操作を行い、自動での給水・排水制御が可能になろうとしています。

現在、さらなる研究開発を経て『WATARAS』をKSISと連携させ、遠隔地から監視・制御できるようにすることで、農業用水を管理する土地改良区や水利組合が、KSIS上で上流の水源から実際に各圃場への放水までを一括で行えるシステムを提供する予定です。

先日クボタプレスの取材でお話を聞いた、末吉康則KSIS開発グループ長。

先日クボタプレスの取材でお話を聞いた、末吉康則KSIS開発グループ長。

今後、圃場水管理システム『WATARAS』とKSAS・KSISを連携することにより、稲作に関わる水管理の自動化が実現します。KSASにひもづく情報の一つに水位が加わるだけでなく、遠隔から点在する多数の圃場の水位を調整できるようになることは、利用農家に大きなメリットをもたらす付加価値です。KSAS・KSISのサービスが相互に連携する未来像は食料・水・環境分野のプロフェッショナルであるクボタならではの創造物といって過言ではありません。
(※2018年3月より、圃場水管理システム『WATARAS』は先行販売受付けを開始しました。)

全国で販売農家数が減少する一方、農家1戸当たりの圃場は拡大している現状をふまえ、今後どのようにして課題を解決していくのか、その対策はどこまで実行されているのか。今回の新春のつどいでは、その課題と現状が明示されていました。次世代を切り拓くKSASや自動運転農機など、クボタが真摯に研究・開発を行っているものが、着実に実用化・製品化へと前進しています。皆さまと共に歩むクボタの取り組みをこれからも見守っていただければ幸いです。

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