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世界とクボタの交差点 万博シリーズ第1回大阪・関西万博から見える、未来の食料・水・環境へのアクション ~トルクメニスタン/スイス~

2025 . 05 . 16 / Fri

トルクメニスタンとスイスのナショナルデーでのセレモニーの様子

写真・文:クボタプレス編集部

2025年4月より開催されている大阪・関西万博には、世界各国がそれぞれの思い描く未来を表現するために出展。会場では、各国の文化や技術の披露にとどまらず、現代社会が抱える課題と、それに向き合うための挑戦が紹介されています。

「世界とクボタの交差点 万博シリーズ第1回」では、「食料・水・環境」というテーマに関連し、出展国の中からクボタと関わりがあるトルクメニスタンとスイスの2ヵ国を取り上げます。自然条件も、歴史も、課題も異なる2つの国。クボタの技術がどのように交差し、未来への道をともに描こうとしているのか。万博という国際的な舞台を通じて、その一端を探ります。

トルクメニスタン —乾いた大地、水の知恵—

トルクメニスタンのパビリオン

「より良い明日を作り出す」をテーマに掲げるトルクメニスタンのパビリオン。丸みを帯びた三角形の
デザインが象徴的な天井は、「循環」「サステナビリティ」「生命の流れ」を表しています。

『Su – türkmeniň jan, at – ganat, haly – ruh.』
(水はトルクメンの命、馬は翼、じゅうたんは魂):トルクメニスタンのことわざ

中央アジアに位置するトルクメニスタンは、世界有数の天然ガス埋蔵国でありながら、その国土の約8割がカラクム砂漠に覆われた乾燥地帯です。限られた水資源をいかに有効に活用するか。これは、同国が持続可能な農業や都市インフラの運営を進めるうえで、避けては通れない課題となっています。

万博のトルクメニスタン館では、壮麗な曲面ディスプレイに映し出される緑あふれる景色、果樹園の恵み、伝統衣装、民族の誇りとされるじゅうたんや馬、そして国犬アラバイが紹介され、豊かな自然と共に生きる人々の姿が、詩のように紡がれています。

首都アシガバードのまばゆい白さと、新たに建設が進むスマートシティ「アルカダグ」の映像は、トルクメニスタンが描く「より良い明日」のかたちを表しています。この国では国家規模での緑化事業やカラクム運河の整備といった水資源をめぐる挑戦が続けられてきました。

トルクメニスタンの民族舞踊を披露する様子

遊牧文化を背景に自然や生活が表現された伝統的な民族舞踊「クシュト・デプディ」(4月14日)。

そうした中、クボタは現在、トルクメニスタンにおいて「耐摩耗性の高い水資源ポンプの導入による効果」の実証事業を進めています。実証の舞台となるのは、首都アシガバード近郊のカラクム運河。既設のポンプ場を更新し、耐久性と省電力性能に優れたポンプを導入することで、水の有効活用を支援しています。

クボタはこれまで、国内外で上下水道や農業用水などの水インフラ整備に携わり、“縁の下の力持ち”として水環境を支えてきました。とりわけ中央アジアのような乾燥地帯では、限られた水をいかに効率的に無駄なく届けるか、技術の真価を問われる領域でもあります。

“乾いた大地に、水を届ける。”

それはトルクメニスタンの未来にとっての希望でもあり、またクボタが掲げる「For Earth, For Life」という理念とも、重なり合うミッションの一つです。

スイス —斜面の国で生きる、小さな機械の可能性—

スイスのパビリオン

共創によるイノベーションを通じて、来場者をインタラクティブな旅へと誘うスイスパビリオン。
「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」というテーマは、アルプス文化と最先端技術が共存するスイスの姿を表しています。

『Ehrlich währt am längsten.』
(誠実は最も長く続く):スイスのことわざ

「ハイジの国」スイス。アルプスの山々に抱かれた風景が思い浮かぶ永世中立国。国内の多くの農地や集落が斜面や谷あいに位置し、平地の少なさが農業やインフラ整備に独自の工夫をもたらしてきました。よってスイスでは自然との共生や循環を重視する文化が根づいており、今では世界有数の環境先進国となっています。

万博のスイス館は、「Augmented Human(人間拡張)」「Life(生命)」「Planet(地球)」という3つの構成からなり、来場者はハイジとともにスイスの共創的なイノベーションの旅へと出かけることができます。展示ゾーンとは別に設けられた「ハイジカフェ」では、大屋根リングを眺めながら、伝統的なスイス料理を楽しむことができます。

建物は、スイスがこれまで建設してきた万博パビリオンの中で「最も軽い建物」をめざして設計されました。アルプスの空気のような透明感をまとった球体が建物に組み込まれ、構造全体で“シャボン玉”のような軽やかさを感じさせる作りになっています。自然とテクノロジーの融合、そして輸送・建設における環境負荷の最小化をめざしたこの建築には、スイスの風土が生んだ実直な哲学が息づいています。

スイスの文化を伝えるファッションショーの様子

スイスの広大な自然を彷彿とさせる音楽と映像を融合させたファッションショー
「My Name Is Heidi(私はハイジです)」をナショナルデーで披露(4月22日)。

こうした環境において、クボタの小型トラクタやバックホーなどが愛され活躍しています。急傾斜地での作業性の高さや、環境に配慮したエンジンの搭載、取り回しの良さといった特長は、スイスの土地条件に適しており、必要とされる「ちょうどよい規模感」に応えるものです。

また、クボタは近年、スイスに本社を置く建設機械メーカー、リープヘル社と協力し、欧州市場向けのホイール式油圧ショベルの共同開発を進めてきました。2026年には、9トンおよび11トンクラスのモデルの販売が予定されており、これらはクボタとして初めて自社製エンジンを搭載した建設機械となります。主な用途は舗装された市街地での作業であり、多様化する欧州の建設ニーズに応える新たな選択肢として展開されます。

都市部でも自然との共生を重んじるスイスでは、作業中の騒音や排気ガス、燃費性能といった環境への配慮が、機械選びの重要な判断基準となっています。クボタが開発を進める電動化モデルやハイブリッドモデルは、今後のスイス市場においてもさらなる関心を集めることが期待されます。山間部の農村においては、道幅が狭く、エンジン音が反響しやすい環境も多いため、「静かさ」そのものが作業のしやすさに直結するという声も聞かれます。

スイスでは、過剰なものを好まず、必要なものを必要なだけ使うという考え方が広く共有されています。この価値観は、平地の少ない日本で技術を磨き続けてきたクボタにとって大きな意味を持ちます。

見上げる山々のあいだに広がる、小さな作業の積み重ね。そこに寄り添うように、クボタの機械が今日も静かに働いています。

世界各国の技術と文化が交差するこの万博の舞台で、クボタは人類の生存に欠かすことのできない「食料・水・環境」という課題に、仲間たちとともに挑み続けています。

「国・地域を越えて」、共通の“問い”がある。

クボタは、世界の人々の声に耳を傾けながら、地球の声にも応えていきます。
答えがひとつではない問いかけの先に、またひとつ、新たな交差点が現れる。

次に出会うのは、どんな国でしょうか。

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