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人を中心に、構想から実装へイベントレポート: CES®2026「Smart Innovation for You」
2026 . 03 . 13 / Fri
写真・文:クボタプレス編集部
アメリカのネバダ州・ラスベガスで、2026年1月6日~9日にかけて開催されたCES®2026。世界最大級のテクノロジーイベントとして知られるCES®は、家電見本市という枠を超え、業種や産業の垣根を越えた技術とビジョンが集う場へと進化を続けています。会場には、世界中から未来の社会や産業に関心を寄せる多くの来場者が集まりました。
昨年に引き続き、今年もクボタは「Smart Innovation for You」をテーマに出展。食料・水・環境という社会課題に対し、クボタがどのように向き合い、人を中心に据えたスマートイノベーションで未来を支えていくのかを紹介しました。

賑わいを見せるクボタブース
CES®出展に込めたクボタの狙い
クボタは創業以来、安全な水を届けること、農業の機械化を通じて、人々の暮らしと社会の課題に向き合い続けてきました。世界的な労働力不足や水資源の枯渇や制約、気候変動への対応など、時代とともに社会課題は複雑化しています。
クボタはCES®を、こうした課題に対して自社がどのように向き合い、どのような未来を描いているのかを伝えるための重要な機会と位置づけています。自動化やAI、ロボティクスといった先端技術の取り組みとともに、テクノロジーリーダーとのパートナーシップによって生まれた成果を紹介し、技術そのものだけでなく、その先にある価値や可能性を発信しました。
現場の課題から生まれたテクノロジー
クボタの展示は、実際の現場ニーズとクボタの技術ロードマップに基づいて、3つの分野に焦点を当てて構成されました。
1. Autonomous M5 Narrow ― 現場で使える実用的な自動化

労働力不足という現場課題に応える、実用性重視の自動化技術を紹介した。
M5 Narrowは、クボタが既に北米市場で展開している幅狭タイプのトラクタで、ワイン用ブドウや果樹、野菜といったスペシャリティクロップ市場を主な対象として設計されています。CES®2026の展示ではクボタが強みを持つこの分野において、オープンイノベーションの一環としてAgtonomy社が開発した自動運転システムをM5 Narrowに搭載したモデルが紹介されました。
展示では、Bloomfieldのセンシング技術により作物の状態をデータとして捉え、草刈りや防除といった日常作業を支援する仕組みを紹介。さらに、クボタ独自の「WorkSmart AI Perception System」との連携により、作業の効率化だけでなく、運用全体を見据えた管理のあり方が示されました。
Autonomous M5 Narrowは現在、米国の一部地域において限定的なパイロット導入が進められており、段階的な商用展開を見据えた、現実的かつ実装志向の取り組みとして、多くの生産者の関心を集めました。
2. Versatile Platform Robot「Type:V」― 柔軟性を備えた次世代ロボティクスの構想

次世代ロボティクスの可能性を示すコンセプトモデル、Versatile Platform Robot「Type:V」。多用途・高い柔軟性を備えた将来構想を提示。
Versatile Platform Robot(汎用プラットフォームロボット)「Type:V」は、多様な作物や地形、作業への対応を想定した次世代ロボットとして、クボタが描く長期的な技術ビジョンを示す存在です。農業や建設といった幅広い分野での活用を視野に入れ、従来の機械の枠にとらわれない、新たな作業のあり方を提案するコンセプトとして位置づけられています。
今回のCES®では、大阪・関西万博2025で展示されたモデルをベースに、バケットローダーを装着した仕様を披露しました。プレゼンテーションでは作業内容に応じて車高や車幅、重心を変化させる構造や、作業機の自動着脱、複数台が協調して作業を行う将来像、さらには遠隔操作や「Versatile Light (バーサタイルライト)」による人とのコミュニケーションといったコンセプトが紹介され、来場者の関心を集めました。
3. Digital Twin ― データ駆動型農業への次のステップ

データ駆動型農業の将来像を示すDigital Twin展示。AIとデータ活用により、意思決定を支援する新たな農業の姿を紹介。
Digital Twinの展示では、センサーや画像解析、IoT、環境データなどを組み合わせた次世代のデータ活用の考え方が紹介されました。様々なデータを基にデジタル上の仮想空間(仮想圃場)でシミュレーションして、将来の作物の生育状況や病害状況を予測・見える化し、水管理や施肥、収穫のタイミングを考える際に役立つAIインサイト*や、「ASSESS → ANALYZE → ACT」というシンプルな流れで意思決定を支える将来像が示されました。
このDigital Twinの取り組みは現在も研究開発が続けられており、今後は既存のクボタのデジタルサービスへ段階的に取り入れられていく見込みです。
- AIインサイトとは、人工知能(AI)を活用してセンサー、画像、環境データなどを分析し、人の目では捉えにくいパターンや傾向、相関関係を明らかにすることで、判断や意思決定に役立つ示唆や新たな知見を導き出すものです。これにより、農業現場における判断や意思決定を支援します。
次のステージへ進むクボタ
クボタは、自社での研究開発を大切にしながら、外部の技術や知見も柔軟に取り入れ、現場に根差した技術づくりを進めています。CES®2026では、M5 Narrowや、センシングとAIを活用した作物の生育予測・病害予測など、「構想」から「実装」へと進みつつある取り組みを数多く紹介しました。現場課題に直結したこれらの展示は、農業の未来像を具体的なかたちで示す取り組みとして、多くの来場者の関心を集めました。
3年連続出展の節目となった今回のCES®を経て、クボタはこれまでに検証してきた技術を、実際の現場で使える形へとつなげていくフェーズに入ります。今後は、自動化技術の活用範囲を広げるとともに、Physical AIやデジタル技術を通じて、より安全で効率的な作業環境づくりをめざしていきます。「構想」ではなく「実装」へと踏み出すクボタの姿勢は、食と農業の持続可能な未来に向けた現実的なアプローチとして、来場者からも共感の声が寄せられました。
今回紹介した技術の根底にあるのは、「技術は人の暮らしをより良くするためにある」という創業以来のクボタの考え方です。クボタはこれからも、人を中心に据えた技術開発を通じて、社会課題の解決に取り組んでいきます。

CES®2026に出展したクボタのグローバルチーム


