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イベントレポート: CES®2025「Smart Innovation for You」
2025 . 03 . 28 / Fri

文:Kubota North America Corporation
写真:クボタプレス編集部
世界最大級のテクノロジーイベントである「CES®」が、2025年1月7日~10日にかけてアメリカのネバダ州・ラスベガスで開催されました。今年のCES®には4,500社を超える企業や団体が出展し、141,000人以上の来場者が訪れました。この来場者数は、2024年の約13万5,000人の来場者を大幅に上回り、テクノロジー業界の活況を反映し、特に大きな注目を集めました。
クボタは、2024年に引き続き、北米市場においてより多くのお客さまに農業の未来像を共有することを目的として、CES®に出展しました。本レポートでは、クボタの今年の展示会に向けた取り組みと主な展示内容について取り上げます。
CES®2025:注目すべき5つのテクノロジートレンド
2025年のCES®では、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、持続可能なエネルギーソリューションなど、さまざまな分野における革新的な製品やサービスが発表され、来場者は未来のライフスタイルを垣間見ることができました。
1. AIとオートメーションの進化
2024年以降もAIテクノロジーの進化は注目され続け、多くのブースで生成AIや機械学習の応用が紹介されました。各社はAIを活用した新製品や新サービスを発表し、業務効率の改善とパーソナライゼーションの強化を強調しました。さらに、AIの応用範囲(産業)が拡大し、これまでAIとはあまりつながりのなかったさまざまな業界から注目すべき出展が見られました。産業用機器の運用と保守の効率性、そしてリアルタイムでの意思決定能力にも注力されていました。
2. スマートホームの進化
スマートホームデバイスはさらに進化し、家電や設備機器間の相互接続性が強化されました。新しいセキュリティシステムやエネルギー管理ソリューションが登場し、家庭内の利便性と安全性が向上しました。
3. ウェアラブルテクノロジーとAR/VRの拡大
健康管理やフィットネスに特化した多数のウェアラブルデバイスが発表され、ユーザーの健康データをリアルタイムで分析する機能が強化されました。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用した新しい体験も注目を集めました。
4. 自動運転テクノロジーとモビリティ
自律走行車や新しいモビリティソリューションが紹介され、都市交通の未来に向けたイノベーションが進展していました。電気自動車(乗用車だけでなく、産業用機器の分野も含む)や空飛ぶクルマの試作品は特に注目に値するものでした。
5. 新しいエンターテイメントの形
ストリーミングサービスとインタラクティブコンテンツの進化は続き、ユーザー体験を向上させる新しいテクノロジーが紹介されました。
また、持続可能性への関心が高まる中、環境に配慮した数多くの技術や製品が登場したことは、企業が社会的責任をますます優先する傾向が強まっていることを示しています。これらの傾向は、テクノロジーが私たちの生活にどのような影響を与えているかを示しており、CES®2025は、こうした傾向を象徴するイベントとなっています。
CES®におけるクボタのイノベーション
クボタは、「Smart Innovation for You」をテーマに、果樹農家や建設業のお客さまに、より多くの選択肢を提供する製品やソリューションを展示しました。Kubota Tractor Corporation(以下、KTC社)の社長であるTodd Stuckeは、クボタグループのイノベーションを継続して生み出す仕組み、すなわちイノベ―ションサイクルに関して、記者会見で次のようにコメントしました。「私たちのソリューション開発は、お客さまを観察し、お客さまの声を聞くことから始まります。そこから、お客さまの課題克服を支援するソリューションを設計し構築します。私たちは常に耳を傾け、改善を続けています。そのため、サイクルの完全な終わりはありません」
クボタブースで展示された主な製品の一部をご紹介します。
KATR:CES Innovation Awards®2025 Best of Innovation
クボタでは、世界に食を提供する人々、建設を行う人々を力づけるイノベーションを推進しています。KATRは、農業や建設の多様な課題に取り組むために、先進技術とユーザー重視の設計をシームレスに融合させ、画期的な生産性と効率性を実現します。
汎用性の高いロボットプラットフォームであるKATRは、幅広い作業に対応し、農場や作業現場、その他の場所での業務を強化します。不整地での安定性と制御性を確保し、さまざまな用途に活用できます。この4輪の多機能ロボットは、起伏や傾斜のある場所でも水平な荷台を維持し、自律走行、遠隔操作、または搭載されたジョイスティックでの操作が可能です。
AGRI CONCEPT2.0
CES®2024で展示されたNew Agri Conceptの進化版であるAgri Concept 2.0は、クボタのイノベーションサイクルにおける次のステップを表しています。お客さまと積極的に関わり、課題を特定し、それらのニーズに対応するソリューションを設計し、ユーザーからのフィードバックを各反復プロセスに組み込むことで、現実世界にインパクトをもたらすテクノロジーを創出しています。
このNew Agri Conceptの進化により、手動操作モードが導入され、農業従事者が手動操作と完全自動化のどちらかを選択できるようになりました。この車両は、持続可能な農業をめざした電動化、自動化、AI、データ駆動型テクノロジーを搭載しており、6分間で10%から80%まで充電できる高速充電機能を備えています。

Smart Autonomous Mower(自動運転乗用芝刈機)

住宅、造園、商業用途で柔軟性をもたらすために設計された革新的なソリューション。この芝刈り機は、自律テクノロジーとユーザー制御を組み合わせ、ユーザーが手動で操作するか、自動で作業させるかを選択できるようにしています。
Smart Autonomous Sprayer(自走式自律スプレイヤー)

ブドウ園、果樹園、ナッツ園に合わせた革新的なソリューションで、農場での労働コストと化学薬品の使用量を削減します。
Hydrogen Engine Genset(水素エンジン搭載発電機)

二酸化炭素排出量ゼロのクリーンで効率的な電力を供給。農業や建設に適しており、お客さまに電源の選択肢を提供します。
受賞したイノベーションと前例のない取り組み
Kubota North America Corporation(以下、KNA社)のCTOであるBrett McMickellと、KTC社のマーケティングおよび広告担当アソシエイトディレクターであるTheresa Duncanに、イベントを振り返って話を聞きました。
「CES®2025は、イノベーションとコラボレーションの中心となるプラットフォームです。クボタにとっては、当社のイノベーションと、当社の最新テクノロジーに最も深く関わっている従業員を、世界で最も影響力のある多くの企業が集まるグローバルな舞台で紹介できる絶好の機会となります。今年、クボタの経営陣とマーケティングチームは、世界中から集まったメディア、金融アナリスト、オープンイノベーションのパートナーや見込み顧客、CES®や他の展示ベントの代表者などから数十件ものインタビューを受け、大いに注目を集めました。
5,600平方フィート(約520平方メートル)の広さを持つ2階建ての展示スペースでは、住宅地所有者、園芸作物生産、建設業のお客さま向けに設計された複数の顧客ソリューションをデモンストレーションし、KATRを目玉として展示しました。CES Innovation Awards®2025プログラムでBest of Innovationに選ばれたKATRのデモンストレーションは、来場者のほぼ全員の注目を集めました。ブース内の他の展示を見る前に、その様子を写真や動画に収めようと多くの人が集まりました。実際、ブースへの来訪者数は目標を大幅に上回り、関心を持つ16,000人以上の来訪者が5分から12分間ブースに滞在し、展示物を見たり、スタッフと交流しました。
農機および建設機械の業界誌は、クボタの最新イノベーションに高い関心を寄せていましたが、ビジネス、テクノロジー、消費者向けのメディアも、クボタが紹介する内容に同様に興味を示していました。クボタについて参加者に知っていただきたいことを共有するストーリーテリングの機会を通じて、5億5,000万以上のメディアインプレッションを獲得しました。当社は、お客さまのご要望を伺うことから始まり、最終的には個人や社会により良い生活環境をもたらす『イノベーションサイクル』の中で、終わりなきソリューション開発を行っています。
クボタは、すべての製品セグメントの新製品を実際に動かしながら紹介する、20 ft×40 ft×15 ft(約6m×約12m×約5m)のLEDスクリーンウォールを設置した、没入感のある五感に訴えるブースで、高い評価を受けています。イベントの後、この展示は、『最優秀賞』候補者としてトップ20出展者リストの最終候補に選ばれ、受賞の可能性を秘めた状態です。受賞者は、今春に発表される予定です。
この素晴らしい流れを継続させるためにも、CES®2026に向けた計画が間もなく始まることを楽しみにしています」

KNA社のCTOであるBrett McMickell(左)と、KTC社のマーケティングおよび広告担当アソシエイトディレクターであるTheresa Duncan(右)