Kubota People

クボタピープル

※掲載内容は取材当時のものです。

“市場密着”のスタンスが、
インプルメントの
「最適解」を生む。

GLOBAL INDEX December 2016
鷲尾 康子
Yasuko Washio
農業ソリューション技術部
2011年入社

農家の抱える課題を把握し、的確なソリューションを提供

入社以来、一貫してトラクタに取り付ける作業機器である“インプルメント”の開発に携わり、通常は国内向けインプルメントの開発を担当しています。インプルメントには、田畑の耕起、うね成形、肥料散布や播種、収穫などの作業に合わせ、300 種以上の多彩な種類があります。
現在、私たちがターゲットしているのは畑作用インプルメント市場であり、国内のインプルメーカーと共同で開発を行っています。
畑作用インプルメントは水田用に比べ、作物や作業体系に応じてニーズも様々ですので、それらのニーズを的確に把握した製品開発が求められています。その実現に向けた私たちのスタンスは明確で、“市場密着”。これは、畑作ならではの多種多様な要望に応えるため国内で展開している活動であり、市場、すなわち農家の方々の要望を実際に畑で確認し、課題を浮き彫りにすることで、最適なソリューションの提供に努めるものです。

より良い製品づくりに欠かせない、現地ユーザーへの聞き取り調査(インド)

初めての海外市場、インド世界に触れた確かな手応え

今回、インド市場に投入されたマルチパーパストラクタ「MU5501」においては、「プラウ」と呼ばれるインプルメントの改良に取り組みました。プラウは作物収穫後に土を反転耕起し、次の作付けのために(土をリフレッシュさせ)、畑をリセットする目的で使用されるインドでポピュラーなインプルメントです。
今回、私に与えられた役割は「MU5501」の特徴の一つである低燃費を実現するため、現地インド製のインプルメントを改良することでした。改良はインドのインプルメントメーカーと共同での取り組みとなりましたが、国内の開発とは異なり戸惑うことも多くありました。中でも苦労したことは、メーカーにプラウの図面が無かったため、製造するたびに微妙に異なるプラウができる状態を改善することでした。一つひとつ課題と解決策を説明し、理解と対応を求めましたが、なかなか試作に反映されず、対応に苦慮しました。さらに、畑の土質やプラウの使い方1 つでさえも、国内と異なるため、現地確認や試験が欠かせず、生産開始までに行った試作や試験の回数は、国内では考えられないものでした。今回初めて挑戦した海外案件は、文化や価値観、考え方の違いを超えて仕事をする難しさを学ぶ機会であったとともに、インプルメント開発の普遍性に気付く良い機会ともなりました。どの国でも、どの地域でも、実際の作業やお客様の要望を1 つずつ確認しながら、メーカーと協力して開発を進めていくというプロセスは、国内で行っている“市場密着”のスタンスと同じであり、それが現地ニーズを掴んだ開発につなげるための必要不可欠な条件だと感じました。
今後、インドに限らず未知の国外市場向けに開発の機会が巡ってき時にも、“市場密着”のスタンスで、現地に最適なソリューションを提供していけるよう心掛けていきたいと思います。