GLOBAL INDEX
December 2019

FEATURE
"Kubota Construction Machinery in U.S.A."

03

ディーラー網強化とラインナップ充実で
市場拡大を目指す
~クボタ流アメリカ市場戦略②~

常にディーラーに寄り添い、最善のアドバイスを行うのがKTCのミッションだ(メイソントラクター社)

ユーザーのリアルな声を製品に反映させる

建設機械営業部
営業第一グループ長
西信 徹明

日本からグローバルな営業活動を支える建設機械営業部。その中で北米市場を担当しているのが、営業第一グループ長の西信徹明だ。KTCは現地販売会社として、市場の動向や販売状況、他社動向、ユーザーから寄せられる製品への評価を収集する。一方の西信らは、それらの情報を受け、日本にある製造拠点や製品開発拠点との橋渡し役を果たしながら、事業全体を見据えた戦略を練る。

「2010年以降、CTLが大きく牽引してアメリカ市場の売上げ自体は順調に推移しているものの、楽観はしていません。この数年で、SSLから新興のCTLにニーズがシフトするなどの想定外の変化もありました。他社を追う立場である私たちは、常に攻めていく必要があると思っています。具体的には、新製品投入によるラインナップの拡充、また併せてディーラーと協力した販売・サービス力の強化、新規の顧客開拓など事業拡大に努めます。レンタル向けも同様に販売強化を図っていかねばなりません。こうした姿勢を崩さず、常に危機感を持って取り組みを進めています」(西信)

現在クボタは、新製品投入に向けて、ディーラーと共に市場サーベイに注力している。サーベイとは建機が使われる現場に赴き、ユーザーから課題や要望をヒアリングする活動である。ここで収集したユーザーの生の声が、製品開発やモデルチェンジに反映され、製品の品質に直結していく。この重要な業務に携わるのがKTCの北野尚志だ。

「中長期の製品開発プランに沿って、ディーラーおよびKTCのエンジニアと共にサーベイ活動を行っています。たとえばCTLのラインナップ拡充というテーマがあれば、前モデルを使用しているユーザーから、どこが問題か、あるいはどこを評価するか、細かいスペックにわたってヒアリングする。その情報を日本の開発部門に送り、新製品開発に反映することになります。実感するのは、市場の変化の速さです。そのスピードと並走するためには開発期間の短縮化が求められると同時に、私自身より多くのユーザーと接点を持ち、豊富な情報を収集し、クボタの建機が市場でどう使われ、ユーザーは何を求めているのか、誰よりも理解しているスタッフでありたいと思っています」(北野)

北野とは異なるアプローチで市場のニーズに応えようとするのが、同じKTCの梅川朋之だ。梅川の役割は販売管理である。市場動向を加味し、近い将来の需給を予測した上で、製品の生産発注を行う。大きく見誤れば、生産過剰もしくは不足の事態になりかねない。梅川のもう一つの重要な役割が、ディーラーの販売促進策の立案である。

「端的に言えば、ディーラーにいかに高くモチベーションを維持して、クボタの建機販売に臨んでもらうか、その戦略を立案する業務です。特別な価格対応や金利優遇などのインセンティブで、ディーラーが売りやすい環境を提供することが基本になります。また業績が低迷しているディーラーや地域の状況を把握、共通する原因に対応する販売プログラムを提案するなど、課題に応じた対応を心がけています」(梅川)

クボタトラクターコーポレーションのセールスコーディネーター北野尚志(左)、梅川朋之(右)
修理や部品交換などのメンテナンス体制も盤石だ(フロリダコーストイクイップメント社)
修理や部品交換などのメンテナンス体制も盤石だ(フロリダコーストイクイップメント社)

ディーラーに寄り添った地道なサポート

クボタトラクターコーポレーション
サウスイーストディビジョン
地域担当マネージャー
マイク・スタンリー

現在、全米で約600のディーラーがクボタの建機を取り扱っている。KTCではディーラーを包括的に担当する、建機ビジネス推進マネージャーが全米の各地に配置されている。そ の一人が、マイク・スタンリーだ。フロリダ、ジョージア、サウスカロライナ、アラバマ、ミシシッピー各州の55ディーラーを担当している。

「私たちは建機専門のスペシャリストとしてディーラーサポートを行っています。具体的 には、販売、マーケティング、製品知識の向上などそれぞれにおいて、きめ細かいサポートを展開しています。各ディーラーの売上げ向上、つまりディーラーがクボタの建機を扱うことでビジネスを成功に導くことが私たちのミッションです。私がこのエリアを担当して6年目。この間ディーラーの事業は極めて順調であり、私の担当エリアでクボタ建機のシェアは確実に向上しています」(スタンリー)。

もちろん現状に満足しているわけではない。スタンリーがサポートする55ディーラーのうち、クボタ専業ディーラーは38。クボタ製品以外を取り扱っているディーラーに対して、クボタ専業に転換していくことも地域担当マネージャーの重要な役割だ。そのためには「ディーラーのセールス担当とエンドユーザーの接点を増やすことが大切」とスタンリーは言う。次章ではディーラーに目を向け、ユーザーに対してどのような取り組みを行っているのか見てみたい。

KTCとディーラーの頻繁なコミュニケーションこそが信頼関係を生む(フロリダコーストイクイップメント社)