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舞台は宇宙から大地へ、TBS系ドラマ『下町ロケット』あのシーンに出た農機や小道具も?! クボタの技術・撮影協力の裏話

2018 . 12 . 07 / Fri

あのシーンに出た農機や小道具も?! クボタの技術・撮影協力の裏話

文・写真:クボタプレス編集部

10月14日より放送がスタートしたドラマ、『下町ロケット』(TBS系)で、クボタは農業機械を提供し、撮影に全面協力しています。宇宙から大地に舞台を移す新シリーズで、佃製作所が製造に取り組もうとするのは「トランスミッション」。そこでクボタプレス編集部は、実際に技術指導などで撮影協力を務めたスペシャリストたちに、その舞台裏を伺いました。

撮影協力だけの予定が、エキストラとしても参加

クボタの農業機械・汎用機械(芝刈機、UV)に実装されるトランスミッションを製造しているのは、クボタ精機株式会社。製造部の小南賢二さんは、技術指導にあたったほか、撮影にエキストラ参加しました。

――クボタ精機では、普段どのようなことに携わっていますか。

「1993年に入社してから、建機シリンダー製造やHST性能テスト、トランスミッション工場の立ち上げ、品質保証などに携わってきました」(以下、小南さん)

生産ラインで技術指導をする小南さん

クボタ精機で東工場の立ち上げに携わった小南さん。普段からラインで技術指導することがあるそうです。

――なんと、エキストラ出演までされていますね。どのような経緯でそうなったのでしょうか。

「もともとは、技術指導のみの予定でした。しかし、エキストラの方たちは、部品の役割や触り方が分からないので、そういった情報の共有ができるよう、自ら参加することになりました。エキストラの皆さんから、いろいろな質問を受けてはお答えし、結果、立ち居振る舞いにリアリティが出たと思います」

――撮影協力とは、具体的にどのような内容だったのでしょう?

「『このシーンでは、どのようなセリフが適切なのか』台本内の技術的なセリフや用語をチェックしたり、トランスミッションを分解するシーンで部品の正しい持ち方・設備の使い方を演者に教えたりすることが、メインでした。ほかには、撮影の背景にある掲示物やホワイトボードの作成、リバースエンジアリングをするときのチェックシートの作成もしました」

撮影現場でスタッフと打ち合わせの写真

撮影現場では、技術的なセリフの確認が、スタッフから何度もあったそう。真剣な表情です。

――特に工夫した点は?

「ドラマ内で、特許侵害されているものがないかを調べるシーンがあります。その撮影の場で、どのパーツが侵害になっていることにするかを相談されました。突然だったので悩み、『ポペットリリーフ』を勧めました」

インタビューに答える小南さん

「ドラマの技術指導や撮影参加は、まるで宝くじに当たったような、めったにできないこと。とても良い経験になりました」と語る小南さん。

――なぜポペットリリーフを選んだのですか。

「トランスミッションは、たくさんの部品で構成されているのですが、トランスミッション専用のパーツは少ないのです。だから、特徴的で見た目にインパクトのあるものを選びました」

旋盤をする長谷川さん

撮影に使われたポペットリリーフは、一級旋盤士の長谷川昌博さんが手作業で撮影用に旋盤しました。

――撮影用に選ばれたということですね。

「はい。実は、このパーツ自体に特許はありません。ドラマではトラック用のトランスミッションを分解する設定だったため、実物より3倍の大きく撮影用に作成しました。今回のストーリーでキモになるアイテムだったので、撮影でも大きく映し出されていましたね」

技術協力だけでなく、農機やトランスミッションの提供も

技術指導に加え、農機やトランスミッションなど、ドラマ内で使用するさまざまなアイテムを提供しました。ほかにはどのような協力をしたのか。そもそもトランスミッションとは、どのような働きをするものなのか。ここから先は、クボタ油圧機器事業ユニットの中谷安信さんにお聞きしました。

――ここまで伺ったほかにも、クボタはさまざまな協力をしているそうですね。

「ドラマ内で撮影された8台のトランスミッション(HST)やバルブ、図面・CADデータ・仕様書・評価データ、トラクターの提供、製造ライン/オフィスなどロケ地協力などです」

実際にドラマ内でも使用された資料を持ち説明する中谷さん

中谷さんも小南さん同様、台本内の技術的なセリフやドラマ内で使用された企画書などのチェックを担当。

――ドラマ用に工夫されたものはありますか。

「トラクターはドラマのストーリーに合わせたカラーに塗装した、特別仕様にしています。また、話の内容に合わせて、提供している物の種類を変えています。例えば、バルブのコンペのシーン。複雑でちょっと高そうなバルブには、大型トラクターのパワーシフトバルブ。佃製作所が提案した必要な性能に抑えたものには、中型トラクターのGSTバルブなどに変えています。ドラマの設定ですから、見た目に違いが分かりやすいものを選びました。逆に、リアルさを伝えたいトランスミッションの図面などは、クボタ製品の本物の図面をそのまま使用しています」

――さて、トラクターにおけるトランスミッションは、簡単に言うと、どんな役割なのでしょうか。

「エンジンで発生した動力を伝えるための変換装置です。これがないことには、エンジンで作った動力を作業や走行に使うことができません」

実際のドラマ撮影現場

リバースエンジニアリングの場面。分解された各パーツは、クボタが提供したトランスミッションに使われているもの。

――トランスミッション内部に使われている油圧コントロールバルブの働きは?

「自動車と同じように、トラクターの変速コントロールにはMT・ATがあります。ATのエンジン変速は、油圧バルブが担っているんです。変速レバーで選択された変速段の信号を受け、電子制御により、変速バルブが油圧アクチュエータをコントロールすることでギアチェンジします」

――ドラマの中で、油圧コントロールバルブは重要なものとして扱われていますが、実際に高い技術力が問われますか。

「変速制御システムは応答性がよく、変速ショックが小さく、かつ頑強で信頼性がないといけない。変速制御システムのキーデバイスであるバルブ製造に、求められる技術的な要素は多いです」

トランスミッション製造現場と中谷さん

クボタ精機のトランスミッション製造ライン。オートメーション化された今日も、技術者の手で一つひとつ正確に組み立てられています。

――バルブの製造が非常に難しい印象です。しかし、ドラマの佃製作所は、さらにトランスミッションまで試みます。技術的には可能なのでしょうか。

「設計には、劇中の島津さんのような経験ある専門的な技術者が必要です。佃製作所はバルブやエンジン製造で、既に加工などの技術を持っていますから、可能性は高いかと思います」

ドラマは、いよいよフィナーレへ! トランスミッションだけでなく、無人農業ロボットの開発へ話題が進んでいきます。佃製作所が手掛けるトランスミッションが果たしてどうなるのか、目が離せません。自動運転トラクターとしてドラマ内で使用されているクボタの自動運転農機は、実際に昨年から販売されている最新農機 とのこと。クライマックスへ向かうストーリーともども、日本の最先端レベルの技術が結集したトラクターも、ぜひチェックしてください。

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