クボタアグリフロントで農業経営シミュレーションゲーム「アグリクエスト」を体験する子どもたち

2024 . 01 . 18 / Thu

NEWS

KUBOTA AGRI FRONTシリーズ第4回 農業経営の魅力とおもしろさを体験
農業シミュレーションゲーム「AGRI QUEST」

写真・文:クボタプレス編集部

農業のリアルな姿を伝えるタッチポイント

2023年6月、北海道ボールパークFビレッジ内でグランドオープンを迎えた農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT(クボタ アグリ フロント)」。その施設内を巡るツアープログラム「AGRI QUEST(クボタ アグリ フロント)コース」の中で体験できるのが、今回紹介する農業経営シミュレーションゲーム「AGRI QUEST」です。

もともとKUBOTA AGRI FRONTは、次世代に向け、食と農業の未来と可能性を学ぶことを目的とした施設です。食や農業の重要性は理解しやすいものの、一方で農業といえば農作業を中心としたイメージを持つ方が多く、実際の農業生産の現状や、農家の方が日々何を行っているのかを知ることは難しいのも事実です。そこでクボタはKUBOTA AGRI FRONTを、今のリアルな農業の姿を身近な形で知ってもらうタッチポイントにしたいと考えました。

「アグリクエスト」が楽しめる、クボタアグリフロント2階の「フィールド」というスペース

KUBOTA AGRI FRONTの2階にある「FIELD」。ここで1チーム最大8名の5チームに分かれて「AGRI QUEST」を体験します。このゲームの体験と施設見学がセットになった80分間のコースへの参加は小学校4年生以上の児童・生徒・学生限定。

ではなぜ、その施設のメインプログラムに経営シミュレーションゲームを取り入れることになったのでしょうか。「AGRI QUEST」の制作を担当したクボタKESG推進部の関根正海さんは、次のように述べます。

「農家の方々は確かに、農作物を作ることに多くの時間とエネルギーを費やしていますが、それ以外に、例えばどのような手法で農作物を作るのか、作った農作物をどこで販売するのかといったことも考えなければなりません。さらに、農作業者の育成・指導や投資の判断といったスキルも必要であり、まさに経営そのものを行っていると言えます」

「AGRI QUEST」の制作に携わった関根正海さん

「AGRI QUEST」の制作に携わったクボタKESG推進部の関根正海(せきね まさみ)さん。

「このような農業の実態を単に解説するだけでは、子どもたちの心には響きません。もっと経営としてのダイナミックな農業の魅力を楽しみながら、学んでもらえる体験型のプログラムにしようと企画チーム内で話がまとまり、自然にゲームを取り入れる方向へと進んでいきました」

特にAGRI QUESTを通じて感じてほしいのは、生産・流通・消費の三つのバランスの大切さだと関根さん。ここでは「つくる(生産)」と「売る(流通)」に焦点を当て、どちらにもさまざまな選択肢があることを伝えたかったと語ります。

農業経営シミュレーションゲーム「AGRI QUEST」とは

AGRI QUESTは参加者がチームに分かれて作物や販売先などを選びながら、農業経営に挑むシミュレーションゲームです。まず初めに各チームが中央のテーブルで話し合い、じゃがいも、お米、いちごの三つの中から作物を選び、農場名を決めると、映像を通じて1年目の経営が始まります。

タブレットで作物を選んでいるところ
各チームが決めた作物と農場名が表示された画面を見る子どもたち

左:タブレットで三つの中から作物を選んでいる様子。
右:1年目の農場経営が始まったところ。農場のレベルは「駆け出し」からやがて「ベテラン」に変わり、大成功を収めると固有な農場名に進化することもあります。

上:タブレットで三つの中から作物を選んでいる様子。
下:1年目の農場経営が始まったところ。農場のレベルは「駆け出し」からやがて「ベテラン」に変わり、大成功を収めると固有な農場名に進化することもあります。

作り方には手作業で丁寧につくっていく「こだわり農業」もあれば、大規模な農場で機械を使うことで省力化を図る「スマート農業」もあります。一方、売り先にも、街の青果店、大手スーパーマーケット、食品加工工場、デパート、高級レストランなど、多様な販路があります。みんなで話し合って、「つくる」と「売る」の二つのバランスを考えながら組み合わせを選び、ポイントを積み重ねていきます。時に天候不順などのピンチが発生したり、人財育成や社会貢献などの投資が求められたりとさまざまな判断を行いながら5年間の経営を体験します。

作物の売り先となる選択肢について解説した、「売る」ゾーン

「FIELD」の一角にある「売る」ゾーン。自分たちが作った作物をどこに売るかを決めるヒントになるように、選択肢について解説しています。

カードに書かれた選択肢から自分に合った作物の作り方を選んでいる子ども
タブレット端末を見ながら、選択肢の中からどれを選ぶかを相談する子どもたち

左:ワークシートに書かれた質問に答えていくと、「こだわり農業」と「スマート農業」のどちらが自分に向いているかがわかります。
右:グループ内で相談しながら、タブレット端末で選択肢の中から自分たちの農場に合ったものを一つひとつ選んでいく様子。

上:ワークシートに書かれた質問に答えていくと、「こだわり農業」と「スマート農業」のどちらが自分に向いているかがわかります。
下:グループ内で相談しながら、タブレット端末で選択肢の中から自分たちの農場に合ったものを一つひとつ選んでいく様子。

農業経営相談に携わるプロから見たゲームの魅力と子どもたちの反応

AGRI QUESTを通して、農業の多様な在り方や、農業は経営そのものであることを知ってもらうためには、農業と経営それぞれの実態を知る監修者の存在が不可欠だったと関根さんは言います。今回その監修役を務めたのが、農業経営コンサルタントとして幅広く活躍中の佐川友彦さんです。

アグリクエストの監修を行った佐川友彦さん

AGRI QUESTの監修を行ったファームサイド株式会社代表取締役の佐川友彦(さがわ ともひこ)さん。東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。阿部梨園(栃木県宇都宮市)のマネージャーを務め、農家の右腕として注目を集めました。現在は講演活動や経営コンサルティングのため全国各地を回り、農家の経営改善運動を全国へ展開中。

佐川さんは、現実の農業経営とゲームには共通点があると語ります。

「農業者の皆さんは日々、畑でも事務所でも無数の決断をしているはずです。正しい情報を得て正しい決断ができれば、経営状態はよくなります。タイミングや活用するツール、チャレンジをするかしないかで、未来が変わっていく。農業とはそれほど選択肢が幅広く自由度が高い、やり甲斐がある職業だということをシミュレーションするには、ゲームは最適な手段だと思います。いちばんこだわったのは、いかにリアルに体験できるかという点です」

監修を行ううえで佐川さんが大切にしたのは、全体のバランス。「たとえば、このイベントの後にこんなことが起こったらいいのではと、ゲームとしてのおもしろさばかりを追求すると現実離れしてしまい、実際の農業の自由度の高さを伝えたいという意図に反してしまいます。どの選択肢を選んでも誰もが楽しめ、現実的な範囲内に収まることを意識しました」と佐川さん。

リアリティのある内容が盛り込まれた本格的なゲームではありますが、関根さんによると、子どもたちはゲームの意図を深く理解し咀嚼したうえで、十分に楽しんでいるとのこと。「当初から、子ども向けのゲームだからと単純なシミュレーションゲームにはしたくないという考えが基本でしたが、そこはこちらの狙いどおりです。体験後の感想を見聞きしても、期待をはるかに上回る言葉が多いですね」と関根さんは言います。

アグリクエストを体験中の子どもたちの様子

AGRI QUESTを体験した子どもたちからは「食料を生産する大変さや、一つの食料が届くまでにさまざまな人たちが関わっていることがわかった」「育てる側の立場に立って、米について考えるのが楽しかった」「もっと農業のことを調べてみたいと思った」など、予想を上回る反響が寄せられています。

次世代のアクションにつなげる──KUBOTA AGRI FRONTへの期待と展望

最後に、施設全体が果たすべき役割について、佐川さんから次のような期待の声を寄せていただきました。

「フードバリューチェーンの生産者と消費者の間には、まだ各プロセスが分断され、うまくつながっていない部分があります。KUBOTA AGRI FRONTにはそれらをつなぐハブ的な役割が求められていると思います。1人だけ、1社だけでは解決できないことも、ここがさまざまな人が集まる基地となり、化学反応が起こる触媒のような場所になればいいのではないでしょうか」

*  フードバリューチェーン=食物が生産されてから消費者の食卓に届くまで、加工・製造、貯蔵、流通など、多くの人が関わって成り立っている一連の流れを包括したもの

佐川さん

「KUBOTA AGRI FRONTのような、食と農業というテーマに特化したオープンな場所はなかなかないので、全国からいろいろな人が集まる合宿所のような場になってくれたら」と語る佐川さん。

また、やはり一般の方は農業者に対して限定的なイメージを思い浮かべがちだと佐川さんは言います。そうした先入観を払拭するためにも、子どもの頃から農業の可能性と幅広い選択肢を見ておくことの大切さに触れ、次代を担う皆さんにはぜひ、KUBOTA AGRI FRONTをそうした農業の多様性や楽しさを知る場として活用してほしいと語ってくれました。

クボタKESG推進部の関根正海さん

「こちらが伝えたいメッセージをしっかり受け取って満足そうに帰っていくお客様を見ると、ちゃんとバトンが渡っているといううれしさを感じると同時に、クボタが今後進もうとしている方向はまちがっていないことを再認識します」と語る関根さん。

KUBOTA AGRI FRONTを訪れる子どもの中にはすでにリピーターがいて、「全自動の農園をつくるのが夢なので、今日は自動運転の話が聞けてよかったです」と話す小学生もいるというから驚きです。そういう子はきっと将来、何らかの形で農業やフードバリューチェーン全体に貢献する存在になってくれるのでは、と笑顔で語る関根さんは、こうしめくくってくれました。

「農業には多種多様な関わり方があり、道は一つではありません。AGRI QUESTを通してゲームから興味を持つもよし、そこから食や農業に関心を持ってもらえればうれしいですね」

AGRI QUESTは今後、何度体験しても楽しんでもらえるよう、進化を続けていく計画とのこと。AGRI QUESTを核としたKUBOTA AGRI FRONTが蒔いた種が、やがて “食と農業”に明るい未来をもたらすことが大いに期待できそうです。

クボタのトラクタが置かれた「つくる」ゾーンを見たところ

KUBOTA AGRI QUESTコース(80分)内容:KUBOTA AGRI FRONTの施設見学と農業経営ゲーム「AGRI QUEST」の体験 対象:小学4年生以上の児童・学生 料金:1人300円 定員:40名/回 ※個人でも参加可能ですが、問い合わせフォームからの予約お問い合わせは20名以上のグループに限ります。個人でご参加希望の場合は直接お越しいただき、当日の空き枠の状況をご確認ください。

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