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これが答えだ!8000個の卵でたどりついた鉄板テク。本当においしいゆで卵の作り方

2017 . 04 . 19 / Wed

これが答えだ!8000個の卵でたどりついた鉄板テク。本当においしいゆで卵の作り方

文/クボタプレス編集部 撮影/横山新一

卵料理の基本中の基本、ゆで卵。あのラーメン屋の煮玉子ぐらいのとろとろ半熟にしたい。殻をキレイにペリッと剥きたい。半熟をスパッと美しくふたつに切りたいーー。
大して難しいことじゃないはずなのに、やりたいことがどれも微妙にうまくいかないという人も少なくないはず。この歯がゆさに、一発で答えを出してくれる卵ハックはないものか……。

ということで、聞いてきました。狙った通りにおいしいゆで卵を作る方法と、なぜそう調理するべきかの「理由」。教えてくれるのは、実に約8000個もの卵を使ってレシピ検証を地道に積み重ねた著書『新しい卵ドリル』を上梓した、フード・アクティビストの松浦達也さんです。

松浦達也さん
フード・アクティビスト、編集者&/ライター。『dancyu』などの食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで、「調理の仕組みと科学」「食文化」「食から見た地方論」など幅広く執筆、編集を行う。テレビ、ラジオでの食トレンド/ニュース解説も。著書に『新しい卵ドリル』『大人の肉ドリル』(マガジンハウス)、参加調理ユニット「給食系男子」メンバーとして『レッツ!粉もの部』(KADOKAWA)、amazon.co.jp総合ランキング一位を獲得した『家メシ道場』、『家呑み道場』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

「毎週たった2個のゆで卵でも、1年間だと約100個、30年なら約3000個、50年なら約5000個に。ちりも積もれば山となる。ゆで卵の出来ばえで、人生の気分だって変わります」(松浦さん)。いますぐ使えてずっと役に立つ、“決定版・ゆで卵の作り方”をご紹介しましょう!

用意するもの

用意するもの

・卵
・鍋とお湯
・ザル
・卵の穴あけ器(100円ショップで売っているもの・上写真手前)/押しピンなど
・キッチンタイマー(スマートフォンのタイマーなどでも可)
・スプーン
・糸(黒や赤など、白以外の色のもの)

仕上がり別・ゆで時間の目安(卵がMサイズの場合)

まずは写真を参考に、“自分が食べたいゆで卵”のゆで時間目安を把握しよう。「これはMサイズの卵を使う場合のゆで時間です。Sサイズなら20秒程度をマイナス、Lサイズなら20秒程度をプラスしてください。また、卵が冷蔵保存か常温保存かなどによっても少し違いが出ますので、最初のゆで卵の仕上がりを見て微調整するといいでしょう」

【超半熟〜やや固の半熟】

超半熟〜やや固の半熟

左から 5分30秒・6分30秒・7分15秒
5分30秒は黄身全体がとろとろの「超半熟」。6分30秒は、黄身の外側だけ少し固まって内側はとろとろの「半熟」。7分15秒は、6分30秒よりも黄身がややしっかりした感のある「やや固の半熟」。

【固め半熟〜固ゆで】

固め半熟〜固ゆで

左から 8分30秒・10分・12分
8分30秒は、黄身が流れない「固め半熟」。10分は、固ゆでの一歩手前の「やわらかめの固ゆで」。12分は完全な「固ゆで」。

作り方

1 卵を用意。冷蔵庫から出してすぐ使ってOK

卵は、冷蔵庫から出してすぐ使ってOK。常温になるのを待つ必要はなく、塩も酢も必要なし。「よく、お湯に酢や塩を入れるとゆで卵が固まりやすくなると言われますよね。さまざまなパターンで何度も検証しましたが、入れても入れなくても特に変化はありませんでした」

ちなみに、卵を冷蔵庫で保存する際は、扉のポケット部分ではなく他の食材と同様に棚へ置いた方が良いとのこと。「ポケットは扉の開け閉めする振動で細かいヒビが入る可能性があり、温度変化が大きい場所です。卵は10℃で保存すると57日間生食が可能という研究結果がありますが、10℃以上になると温度に反比例して生食日数が短くなっていく。なるべく温度変化の少ない場所に置きましょう」

2 卵の“お尻”に穴を開ける

卵をさっと水で濡らし、100円ショップで売っている卵の穴あけ器や押しピンで、卵の“お尻”(尖っているほうではなく、ふくらんでいるほう)に穴を開ける。これは、ゆであがった卵の殻をむきやすくするため。

「むきにくいのは、卵の白身部分に多く二酸化炭素が含まれているからなんです。この二酸化炭素を外に追い出すルートを作って、むきやすくするのがこの穴あけ作業です。そのままゆでるとお湯で温められたときに殻の中の空気が膨張して、大きなひびが入ったりすることも。それを避けるためでもあります」

穴をあけなくてももちろんゆで卵は作れるが、「うまくむけず、ボコボコになってしまったゆで卵は美味しそうに見えないですよね。あの失敗が100円グッズとひと手間で減らせるなら、やる価値があると思いませんか?」と松浦さん。なお、うっかり卵の尖っているほうに穴をあけると、穴あけの効果が期待できないばかりか、ゆでたときに中の白身がにゅるっと出てきてしまったりするのでご注意を。

ちなみに、意外と知られていないのが、「新しい卵より古い卵のほうがむきやすい」という事実。
「卵のむきやすさは、殻の内側にある膜と白身の結びつきの強さで決まります。卵の殻には小さい穴がたくさんあいていて(=多孔質)、時間がたつにつれて内部の二酸化炭素が抜けていく。そうして卵内部のpHが高く(アルカリ性が強く)なると、膜と加熱した白身の癒着が弱くなり、むきやすくなるんです」

3 卵をザルに入れ、95~98℃のお湯で茹でる

穴をあけた卵をザルに入れ、95~98℃(温度計がない場合は、“静かに泡が立っている状態”を目安に)のお湯に入れる。それと同時に、キッチンタイマーやスマートフォンのタイマーをスタート。目標のゆで時間に向けて計測を開始!

「95~98℃のお湯で加熱して、まず卵の外側の白身を固めます。それに遅れる形で、卵黄は60℃前後から粘性を増し、70℃前後で大半が凝固します。卵黄がどの程度固まったタイミングで取り出すかで、とろとろ半熟や固め半熟、固ゆでなど、狙い通りに美味しく仕上がるかどうかが決まるわけですね。

卵をザルに入れる理由は、まずひとつが鍋に入れるときに衝撃を与えないため。もうひとつは、複数の卵をまったく同じ時間で茹でられるから。ひとつの卵をお湯に入れるのに5秒かかったら、4個でトータル20秒近くずれることになり、卵ごとに仕上がり具合が変わってしまいます」

4 流水で一気に急冷する

目標のゆで時間が来たら、流水で一気に卵を急冷。なぜ流水かといえば、汲み置きの水だと卵の温度がなかなか下がりきらず、余熱で(とくに半熟卵が)思ったよりも固く仕上がってしまうから。

「それに加えて、急冷すると卵の白身がキュッと少し縮まるんです。殻にはごく小さな穴がたくさんあいているので、その縮んだ部分(殻と薄皮の間)へと水が入っていきます。これと、最初に卵のお尻にあけた穴との相乗効果で、さらに殻がむきやすくなるわけです」

5 スプーンの背中で殻に細かくヒビを入れる

スプーンの柄の端を軽く持ち、手首のスナップを効かせて、トントンと卵の殻に細かくヒビを入れていく。半熟卵をつくる場合には欠かせない工程。

「固ゆでの場合は、机の上を転がしたり、タッパーに入れてガシャガシャ降ったりすればOKですが、半熟の場合はこれがベスト。卵のお尻に空気が溜まっているので、お尻の周辺からヒビを入れていくといいですね。細かいヒビが入ることで、殻のカケラひとつひとつのR(曲線)が小さくなり、殻に卵が引っ張られる面積が減ります。白身がくっついたままベリッと大きく殻をむいてしまい、がっかりするあの失敗を減らせるわけです」

6 流水の中で皮をむく

卵の薄皮と白身の間に流水をながしこみながら、らせん状に殻をむいていく。ただし、流水でむくのが不慣れだと大きく白身ごと殻をむいてしまうことがあるため、難しいと思ったら溜め水に漬けてむいてもOK。

「さらにものすごく細かいアドバイスとしては、殻をはさんだ親指と人差し指にぐっと力をこめて、殻をさらに細かくしながらむいていくようにするといいですね。場所を変えてむき始める瞬間に起きがちな失敗を減らせます」

7(半熟卵は)糸で切って、できあがり!

半熟卵の場合は、卵に糸を二周させ、糸の片端をぐっと引っ張ってカット。完成!

「固ゆでは包丁でOKですが、半熟はやわらかいので、ぜひ糸で切ってください。切り口の仕上がりもきれいです。白い糸だと白身と重なってよく見えなくなるので、黒や赤など、色付きの糸を使いましょう」

一見簡単そうだが奥が深い、ゆで卵の作り方。各工程とその背後にある理由を一度頭の中に叩き込んでしまえば、狙い通りのゆで卵を作れるだけでなく、他の料理を作るときに応用して参考になることもあるはず。ぜひ、“自分史上最高のゆで卵づくり”にトライしてみてください!

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