耳で覚えた中国語で、失敗を恐れず、とにかく場数を踏む

2019 . 12 . 24 / Tue

PEOPLE

連載第5回:初めての海外駐在でつかんだ「マイ外国語上達法」!〈中国語編〉 耳で覚えた中国語で、失敗を恐れず、とにかく場数を踏む

写真・文:クボタプレス編集部

グローバル市場で活躍する日本人ビジネスパーソンの全員が、必ずしも最初から外国語が堪能だったわけではありません。語学力に不安を持ちながらミッションを背負って海外へ赴任し、どんな方法で“現場での語学力”をアップさせ、国境をまたいだ仕事を進めていったのか。そんなビジネスパーソンの「マイ語学上達法」をシリーズでお届けします!

第5回〈中国語編〉にご登場いただくのは、久保田農業機械(蘇州)有限公司(以下、KAMS)に赴任して約4年になる、トラクタ海外営業部の廣岡 将太さんです。廣岡さんの中国語は社内でも評価が高く、加えて中国文化への精通ぶりは、現地の方から「中国通」と言われているほど。これはぜひ中国語上達のコツを伺わねばと、クボタプレス編集部は廣岡さんに会いに中国へと向かいました。

赴任後の猛勉強で、いまやHSK5級

中国での農機生産拠点として設立されたKAMSに、廣岡さんが赴任したのは2015年のこと。中国のほぼ全省を網羅する110社あまりの販売代理店との窓口として販売促進を、そして主にトラクタおよび農業ソリューションのマーケティング担当として従事されています。そんな廣岡さんのご実家は兼業農家。中国に赴任となる前は、作業時期になると帰省し、農機を運転していたそう。もちろん、トラクタ・田植機・コンバインともクボタ製とのことです。

出張で中国全土を飛び回る日々。アプリでつけていた記録によると、飛行機での移動距離は2011年から現在までで約26万㎞。合計飛行時間は470時間に及びます。

「中国語は、大学在学中に第二外国語として2年間学習しました。その頃は、『発音がきれい』と褒められた記憶もありますが、クボタに入社してしばらくは中国語を使う場面がありませんでした。そして、いざトラクタ輸出部(現:トラクタ海外営業部)に異動となり、2010年に中国担当として初めて出張したときには、学習した内容はすっかり忘れていましたね」(廣岡さん)

――ほとんど忘れてしまっていた状態から、どのように中国語を上達させていかれたのですか。

「日本での業務期間中は、出張を通して少しずつ単語や文法を思い出したり、知らない単語を習得したりする程度で、きちんとした学習はしてきませんでした。ですので、赴任後は職場でのOJTに加え、毎週1~2回程度の家庭教師と猛勉強。おかげで、現在はHSK※15級を取得するまでになりました。帰任するまでには最高位である6級にもチャレンジしたいですね」

業務に関する中国語は耳にする機会も多く、自然と身についていったそうですが、世間話などにはなかなか入っていけず、悔しい思いもされたといいます。

業務に関する中国語は耳にする機会も多く、自然と身についていったそうですが、世間話などにはなかなか入っていけず、悔しい思いもされたといいます。

※1 中国政府教育部(日本の文部科学省に相当)直属の機関である「孔子学院总部/国家汉办」が主催し、中国政府が認定する資格。初級レベルの1級から上級レベルの6級まで6段階に分かれている。

――現在はご家族と一緒に中国で生活をされているそうですね。

「一家4人揃って蘇州での生活を始めたのは2016年からです。当初は、普段の生活で家族に頼られる場面が多く、それもまた中国語上達に一役買ってくれたと思います。家族も初めて住む異国の地で不安も大きかったはずですが、仕事に集中させてくれる環境を提供してくれました。家族には本当に感謝しています」

中国語は関西弁だと思うと理解できる?!

KAMSでは、販売マーケティングに関する情報や資料は、当然ながらすべてが中国語。読解力に加え、スタッフとのコミュニケーションも重要になるため、高いヒヤリング力が求められる場面も多かったはず。廣岡さんはどのように対応されたのでしょうか。

「自分が思ったことを正しく伝える力を身につけるのは相当な努力が必要なため、重要な場面では通訳の方にお願いすることもありますが、議論が大好きな中国の方としっかり向き合うことも大切です。そこでスタッフや代理店の方と会話やメールをするときは、間違っていてもいいので、できるだけ中国語で試みるように心がけました。そうすると相手もゆっくり、分かりやすい表現で話してくれるので、より理解が深まったと感じています」

――どのようなメンバーで、トラクタのマーケティング業務にあたっているのでしょうか。

「私と市場部の現地スタッフ2名、そのうちの1名は通訳も兼務していて、私は主にこの3人でチームを組んで活動しています。現場で毎日浴びる中国語のシャワーや、市場調査を通じて各地の文化に触れる経験が、中国語の上達にいい影響を与えてくれました。また、同じタイミングでKAMSに赴任となった同期は、ネイティブレベルの中国語の使い手。場面ごとにうまく分担しながら業務を進めていますが、2人揃っての赴任で良かったとお互いによく言い合っています。彼らがいなければ今の私はなかったと思います」

KAMSのスタッフとも積極的にコミュニケーションをとり、和気あいあいとした雰囲気。廣岡さんは話題の中心となって、盛り上げ役になることが多いそう。

――生まれが兵庫県姫路市と、コテコテの関西人である廣岡さんですが、この関西人であることが、中国語を上達させるうえで大きなアドバンテージになったとか。その真意はどこにあるのでしょう。

「うまく言えないのですが、中国語と関西弁ってなんだかニュアンスやスピード感が似ているんですよ。中国の方と会話をしていても、関西弁に置き換えてみるとスッと頭に入ってくるから不思議(笑)。『不可能』を『できるわけないわ!』みたいな雰囲気でよく言われています」

中国語は「目」より「耳」で習うのがおすすめ

――特に中国語の難しい点はどこだと感じていますか。

「中国語での難関は四声※2とピンイン※3ですが、これを教科書通りに発音しようとすると、中国の方には聞きとりづらいようです。ですから、中国語の会話や歌などを耳で聞いて、そのままマネをするほうが上達は早いと思います。そして、伝えたいという情熱が大事。その際、仮に四声やピンインが間違っていたとしても、身振り手振りを加えて一生懸命伝えれば相手は正してくれるので、自ずと発音や文法は上達します。とにかく場数を踏むことですね。相手が聞き取れなかったときでも、めげずにトライすることが重要です」

正しく中国語を理解するためにも、電子辞書の音声ガイドは欠かせないという廣岡さん。こまめに耳に発音を慣れさせ、語彙力を高めていったといいます。

正しく中国語を理解するためにも、電子辞書の音声ガイドは欠かせないという廣岡さん。こまめに耳に発音を慣れさせ、語彙力を高めていったといいます。

※2 声調とも呼ばれる中国語のアクセント。この抑揚によって語句の意味が異なる。

※3 ローマ字式の中国語の発音表記法。


――廣岡さんは中国の全省を担当されていますが、地域によって方言はあるのですか。

「中国には大きく分けて7つの方言があるといわれていて、それぞれ異なる言葉に聞こえるくらい複雑です。聞き取れないときは、現地のディーラーがまず中国の標準語に直し、それを通訳さんが日本語に直す、という伝言ゲームのようになります。ちなみに、省によって文化も異なるのですが、主食が米のところもあれば、パンのところ、麺のところもあります。南の方には虫を食べる地域もあり、私が『虫を食べたよ』と他の地域の方に話したところ、ものすごく驚かれました」

中国に赴任してからお茶好きになったという廣岡さん。特に緑茶のひとつである浙江省の龍井茶(ロンジン茶)のさわやかな香りがお気に入り。

中国に赴任してからお茶好きになったという廣岡さん。特に緑茶のひとつである浙江省の龍井茶(ロンジン茶)のさわやかな香りがお気に入り。

――文化という点では、やはり中国と日本では違う部分も多いと思いますが、特に気をつけていることはありますか。

「上下関係を重んじる中国では、事前の準備、すなわち根回しが非常に重要です。誰から誰への指示なのかといった背景、またアウトプットの内容や期限を明確にしなければ、物事がうまく進まないことが多いと実感しています」

廣岡さんのデスクに飾られている1枚のイラスト。「中国の農村風景に、オレンジ色のトラクタ、つまりクボタのトラクタが当たり前にあるのが私の目指すところです」。

廣岡さんのデスクに飾られている1枚のイラスト。「中国の農村風景に、オレンジ色のトラクタ、つまりクボタのトラクタが当たり前にあるのが私の目指すところです」。

赴任前の自分にメッセージを贈るとしたら

「マイ外国語上達法」シリーズで恒例となっている質問を廣岡さんにも聞いてみました。

――もし中国への赴任が決まった直後の自分自身に会えるとしたら、どのようなアドバイスを贈りますか。

「ひとつ目は『語彙力をしっかり身につけておけ』ですね。語彙は多ければ多いほど良いのは間違いないですが、ビジネス用語以外の語彙力も重要だと伝えたいです。本音で議論するには相手の懐に飛び込むことが重要になってきます。幅広い話題に対応できる準備があってこそ、人間関係も広がるし、結果的に仕事にもプラスになります。もうひとつは、『日本のことをよく調べておけ』。中国の方って日本にすごく興味があって、『日本の政権はどうなんだ』『若者はどう考えているんだ』といった政治的な話題から、おすすめのサプリメントや化粧品まで、とにかくよく質問されます。こうした場面でサッと答えられるよう、日本についてもっと詳しくなっておけばよかったです」

――最後に今後の抱負を教えてください。

「中国の方から見ると、クボタのトラクタは『欲しいけど手が届かない存在』。これには2つの意味があって、ローカルブランドに比べて価格が高いこと、そしてすべての製品が中国で買えるわけではないということです。お客様は本当によくご存知で、『この製品は中国では買えないのか』という声をよく聞きます。こうした声は、クボタへの期待があるからこそだと思うので、その期待に応えるべく、クボタのシェア拡大に尽力していきたいです。今年「MX1304」という130馬力の高性能トラクタが市場に導入され、新しい風が吹いているところ。これを追い風に、中国の農村風景をクボタカラーに染めていきます」

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