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PEOPLE

オールブラックス・バレット3兄弟のお父様に緊急インタビュー!父として、酪農家として。
チャレンジし続けた30年の軌跡を辿る

2019 . 12 . 24 / Tue

父として、酪農家として。チャレンジし続けた30年の軌跡を辿る

写真・文:クボタプレス編集部

記憶に新しいラグビーワールドカップ2019。3連覇をかけ、大会に挑んだニュージーランド代表・オールブラックスで、ひと際注目を集めたバレット3兄弟の父であり、酪農家、そしてクボタユーザーでもあるケビン・バレットさんが、ワールドカップ期間の訪日中、急遽クボタ本社を訪問されるという情報をキャッチ! 「ぜひお話を伺いたい!」ということで、緊急取材を敢行しました。

プロのラグビー選手から酪農家への華麗な転身

ウェールズ代表との三位決定戦を2日後に控えた2019年10月30日。揃って代表入りを果たした、ボーデン、スコット、ジョーディの3兄弟の応援に駆けつけたケビンさんもまた、かつてはニュージーランドのラグビーチームでプレーしたプロのラグビー選手でした。そんなケビンさんは、現役を引退された現在、ニュージーランドの北東西海岸に位置するタラナキ地方で酪農を営まれています。

今回お話を伺ったケビンさん(写真中央)と奥様のロビン・バレットさん(写真右)。ガーランド・ケイリンさん(写真左)は、ケビンさんの酪農仲間。

「酪農は先祖代々受け継がれてきたビジネスで、私は4代目。現役引退から数えて30年以上この仕事に携わっています。今では400頭以上の牛を飼育し、その牛たちから搾乳した生乳を販売しています」(ケビンさん)

ニュージーランドの酪農は、温暖で降水量に恵まれた自然条件を生かし、草地を最大限に利用した放牧が中心。そこで作られた牛乳・乳製品は、ニュージーランドの総輸出額の約3割を占める、基幹産業のひとつとして位置づけられています。

「ニュージーランドの酪農地域のなかでも、特に私たちの農場があるタラナキ地方とお隣のワイカト地方は、1年中安定して雨が降るため、取り立てて水路を作って水を引いたりする必要がありません。ですので、牛たちは自然に育った栄養価の高い牧草をたくさん食べ、その牛から搾乳した生乳で作った乳製品もまた、世界的に高く評価されているんですよ」(ロビンさん)

特徴といえば、地域コミュニティを大切にする文化も、そのひとつなのだそう。

「ニュージーランドの酪農家の多くは世襲で、しかも隣の農場とは500mほどしか離れていないので、農家同士はみんな顔見知り。必然的に家族のようなコミュニティが形成されてきました。干し草や配合飼料のサプリメントを一緒に作るなど、互いに協力しながら牛を育てるのが、ニュージーランドでは当たり前の光景です」(ロビンさん)

「そうですね。今でこそ酪農も自動化が進み、50年前に比べてオペレーションの方法も変化していますが、それでも地域コミュニティを大切にする気持ちだけは変わっていません」(ケイリンさん)

環境に配慮した酪農、そしてオーガニック認定取得へ

ニュージーランドの人口は約480万人で、国内市場の規模が小さいため、生産者乳価や乳製品価格は、国際市場の影響を受けやすいそう。加えて、10年ほど前から高まっている環境への配慮を求める声に応えることが、グローバル競争を勝ち抜くための重要なファクターとなっています。

ニュージーランドの環境を取り巻く取り組み

ニュージーランドでは、酪農の拡大に伴い集約的な生産が増え、家畜排せつ物に起因する河川の水質汚濁が問題視されたことから、1991年に水質汚濁を防止するための水質管理に関する法律を制定。また温室効果ガス排出量については、2015年の京都議定書で削減目標を設定。2019年、国際約束に基づく温室効果ガス排出量の削減目標達成に向け、2050年までにCO2などの温室効果ガス(GHG)排出量をゼロとする法案を提出した。

「国を挙げて環境問題に取り組むことは、とても素晴らしいことですね。酪農家一人ひとりも真剣に課題と向き合ってきましたし、それが今のニュージーランド製品の国際的な信頼につながっているのだろうと思います。加えて、私の農場がUSDA*のオーガニック認定を取得したのは、消費者ニーズを常に満たしていかなければならないという考えによるところが大きいです。とくにアジア圏の若者は、飼育状況や加工・製造の過程を重視する傾向があり、その期待に応えることが製品に付加価値を生み出すカギになると考えています」(ケビンさん)

人手不足、担い手の高齢化といった問題は、ニュージーランドの酪農においても例外ではありません。酪農家もまた、時代の流れと顧客ニーズを的確に捉え、何をすべきかを自らで考えていかなければならないというメッセージが、ケビンさんの言葉から伝わってきます。

  • United States Department of Agricultureの略称。米国農務省の指導による、オーガニック認定全米統一基準。認定ガイドラインには、「3年以上農薬・化学肥料を使っていない耕地で栽培された、オーガニック原料を使っていること」「100%有機栽培で育てられた原料を使っていること」「水分と塩分を除き、重量ベースで95%以上がオーガニック原料を使っていること」の3つがある。

品質を左右する牧草地の管理ではクボタの建設機械が活躍

牛たちが快適に過ごせる環境整備こそ、酪農家の大切な仕事というケビンさん。品質の要となる牧草地の管理をはじめ、ニュージーランドの農場の多くでは、農場を整備するために建設機械が活躍しており、掘削作業にも使っているといいます。

「ニュージーランドの農場は、おおむね整地化されているイメージを持たれているかもしれませんが、私を含め酪農家たちは、まだまだ改善の余地があると思っています。そうしたメンテナンス作業において、建設機械はとても役立っています。私は土地の整備のためにクボタの建設機械を愛用していますが、小回りが利くので、狭い場所でも作業がしやすいですね。堺製造所でトラクタの製造工程を見学させていただきましたが、そこでクボタ製品の品質の高さや正確性のルーツを見たような気がします」(ケビンさん)

堺製造所では、初めて見るエンジンの製造工程に興味津々。そのまなざしは、真剣そのものです。

堺製造所では、初めて見るエンジンの製造工程に興味津々。そのまなざしは、真剣そのものです。

生産部門、研究開発部門、サービス部門のシナジー効果による製造を強みとする堺製造所は、ケビンさんの目にはとても新鮮に映ったようです。「整頓された職場環境もそうですが、モノづくりのお手本としたいですね」という言葉が印象的でした。

組み上がったばかりのトラクタに試乗し、笑顔で手を振るケビンさん。

組み上がったばかりのトラクタに試乗し、笑顔で手を振るケビンさん。

尽きることのないチャレンジ精神

「これからはオールブラックスの選手を何人か育てることにする」というのは、ケビンさんが現役を引退するときに発した有名な言葉。その言葉は現実のものとなり、酪農家となった今も、そのチャレンジ精神はとどまるところを知りません。

現状に満足せず、品質にこだわり、より良い製品を生み出す環境づくりをめざし続けるケビンさん。そんな酪農家としての姿勢は、どこか“クボタスピリッツ”と重なるところがあるように思えた取材でした。

堺製造所前で撮影した、ケビンさんとそのご家族、ご友人たちとの1枚。終始和やかな雰囲気のなかで、とても貴重なお話を伺うことができました。

堺製造所前で撮影した、ケビンさんとそのご家族、ご友人たちとの1枚。終始和やかな雰囲気のなかで、とても貴重なお話を伺うことができました。

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