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クボタが考える
「スマートアグリソリューション」

農家が直面する課題を解決し、持続可能な食料生産を実現するスマート農業

私たちが生きていく上で、食料は欠かすことができません。
この食料を生産する農業、そして農業を営む農家の方々は、なくてはならない存在です。

人々が安心・安全な食料を安定的に口にすることができる社会を実現するためには、持続可能な農業が必要です。
しかし、日本、そして世界の農業は、就農者の高齢化、担い手が占める農地の大規模化、労働力やコストの削減、環境への負荷上昇やフードロスなど、さまざまな課題に直面しています。

クボタは、稲作と畑作の両方を手掛ける世界有数の農業機械メーカーとして、農家に寄り添い続けながら、ニーズに即した農業製品やソリューションを長年開発し続けてきました。
これまで培ってきた技術と製品・ソリューションと、ロボット技術やICTなど先進技術を組み合わせることによって、農業が抱える課題の解決、環境負荷の低いサステナブルな農業の実現、そして持続的な食料生産に貢献していきます。

Our Challenge

現代の農業が抱える課題

現代日本の農家は、点在した多数のほ場*1の適切な管理、収量や品質の向上、コストや労働負担の軽減、生産品の高付加価値化など、多岐にわたる課題に直面しています。また、農業従事者人口の減少、地球環境への負荷低減は、日本のみならず世界的な課題です。

  1. *1.農産物を育てる田畑や農園。
さまざまな課題に直面する日本の農業

超高齢化社会が進行する日本。2023年の就農者の平均年齢はおよそ68歳*2です。2000年に230万戸だった販売農家は、2015年に130万戸、2020年には102万戸*3まで落ち込んでおり、この傾向は今後も続くと見られています。

それに伴い、離農した農家が持っていた農地、休耕地を引き受けた農家や営農集団が抱える農地の割合は、年々拡大しています。例えば、担い手が占める農地の割合は年々上昇しており、2021年には58.9%*4に達しています。

  1. *2.農林水産省「農業労働力に関する統計」
  2. *3.農林水産省「経営体に関する統計」
  3. *4.農林水産省「担い手の農地利用集積面積の推移」
食料需要は増加傾向にある一方、農家の人手不足、高齢化は深刻化

世界の農業に目を向けると、日本と同じように高齢化や人手不足に悩まされています。2000年におよそ10億人とされていた世界の農業従事者人口は、2019年にはおよそ9億人まで減少*5しています。

農家の人手不足、高齢化が進む一方、世界の人口は増加傾向にあり、それに伴って食料需要量も今後増大していくと見られています。一方で、十分な栄養が確保できない人の割合はおよそ11人に1人*6とされています。世界の人々が安定的に十分な食料を得るためには、持続的な農業の実現と、フードロスの削減が必要です。

  1. *5.国連食糧農業機関(FAO)「STATISTICAL POCKET BOOK」
  2. *6.国連機関「世界の食料安全保障と栄養の現状」(2023年版)
農業の環境負荷低減は世界的な課題

農業が環境に与える影響も無視できません。農業分野における、土地利用を含めた温室効果ガス(GHG)排出量は、世界の総排出量の約24%*7に上ります。

農業における環境負荷低減のためには、耕地土壌からの二酸化炭素や一酸化二窒素の抑制、水田土壌などから排出されるメタンガス、農機の燃油消費抑制といったさまざまな取り組みが必要です。また、防除などで利用される化学農薬の使用低減、環境汚染やGHGの発生につながりうる化学肥料の過剰施用の抑制、有機農業の推進、農機の動力の脱炭素化など、求められる取り組みは多岐にわたります。

  1. *7.農研機構「農業由来温室効果ガス排出削減技術の開発」

Our Approach

課題解決に向けたアプローチ

農家が抱えるさまざまな課題を解決し、持続的な農業を実現するためには、ロボット技術やICTを活用し、超省力化・高品質生産を可能にするスマート農業が欠かせません。クボタは長年培ってきた技術とソリューションを進化させるため、3つのアプローチを行っています。

スマート農業とは

スマート農業は、ロボットやAI、IoTといった先端技術を駆使した農業です。スマート農業に必要な各種データの連携を基盤に、作業の自動化、情報共有の簡易化、農作業におけるデータ活用を行います。これにより、農作業の超省力化、誰でも可能な高付加価値の農産物生産、高度な農業経営を実現します。

クボタが考える、農業の課題解決に向けたアプローチ

  1. 農機の自動化・無人化 農機の自動運転化、無人運転化を推進し、農業の超省力化と効率化、作業品質の平準化を実現する。
  2. データ活用による精密農業 農業に関するさまざまなデータを活用し、誰でも簡単に質の高い農産物を生産できる、精緻なPDCA型農業を可能にする。
  3. 地球にやさしい農業の実現 データの利活用により、作業の効率化や化学農薬、肥料の使用量を最適化し、農産物の収量・品質の安定化と環境負荷低減を両立する。また、農機の脱炭素化により、カーボンニュートラルに貢献する。

Our Strength

農業の課題解決のために発揮されるクボタの強み

長年、農業の課題と向き合ってきたクボタは、稲作だけでなく畑作、果樹など、作物に応じたスマート農業一貫体系の構築をめざしています。クボタだから提供できるスマート農業によって、農業における各課題を解決し、持続可能でレジリエントな食と農業の実現をめざします。

農機の自動化・無人化による超省力化

農業の超省力化、農作業の効率化を実現するために、農機の自動化・無人化は必須項目と言えます。クボタは、農林水産省による農機の自動化・無人化の3段階のレベルに沿ったロードマップを描いて研究開発を重ねています。

  • クボタが考える自動・無人化のステップの図

このロードマップにおける3つのステップのうち、クボタはStep2にあたる「有人監視下での自動化・無人化」をすでに製品化しています。2024年には、世界で初めて*8人が搭乗することなく自動運転で米や麦の収穫作業が行えるコンバインを市場投入し、トラクタ、コンバイン、田植機のすべてに無人運転仕様をラインアップしました。さらに、2026年をめどに遠隔監視における無人運転農機を実用化するために、官学の研究機関とも連携して研究開発を進めています。

  1. *8.2023年6月14日現在、クボタ調べ

クボタが推進する農作業の超省力化は、稲作に留まりません。例えば、畑作用大型トラクタの自動運転化、AIやロボット技術を活用した果樹の自動収穫システム、中山間地向け不整地走行ロボットの開発など、農業のさまざまな領域で作業の省力化・効率化を推進しています。

データを活用した精密農業の実現

クボタはデータ農業のコアとなり、農業経営を見える化する精密農業システム(FMIS=Farm Management Information System)を手掛けています。この精密農業システムは、ICT技術を搭載した農機が取得したさまざまなデータを収集し、それを活用して作物情報の可視化や作業効率の向上、施肥量や水管理の最適化、農産物の品質向上を実現します。

データを活用した農業をさらに進化させるために、必要な時に外部データと組み合わせて活用できるよう、精密農業システムのオープンプラットフォーム化を推進しています。こうした取り組みを通じて、複雑でさまざまな環境条件の影響を受ける農業において、データによるきめ細やかな管理を実施し、誰でも質の高い作物が生産できる農業を可能にしています。

  • 農業経営を見える化する精密農業システムの図

環境に負荷をかけない農業

数多くの産業と同様に、環境負荷低減は農業においても避けては通れない社会課題となっています。クボタは、耕地や水田からのGHG排出抑制、化学農薬や化学肥料の使用量低減、農機における環境負荷の低い燃料の活用など、さまざまな技術や取り組みを通じてカーボンニュートラルで環境にやさしい農業の実現に貢献しています。

例えば、農機の自動化およびGPSの活用による農作業の効率化、直播や稲わらのすき込み、不耕起栽培の推進を助ける技術や製品群で、土壌からのGHG排出抑制に寄与。また、精密農業システムを通じた施肥量や化学農薬、化学肥料の使用量の最適化で、環境と土壌への負荷軽減を実現しています。農薬等の使用を低減することで土壌も豊かになり、質の高い農産物の生産にもつながります。

今後は、農機の電動・ハイブリッド化や燃料電池化など、動力の脱炭素化に向けた研究開発を推進。加えて、クボタの持つ廃棄物から有価物(リン)を抽出する技術、稲わらからバイオマスエネルギーを抽出する技術を活用するなど、異なる事業領域のソリューションも用いながら、農業でのサーキュラーエコノミー構築を進めていきます。

Vision

クボタが描くスマートアグリソリューションの未来

食料需要の増加、農業人口の減少、カーボンニュートラルなど、食料分野においてさまざまな課題が立ちはだかる今、クボタは農作物生産の分野だけでなく、フードバリューチェーンにおける持続可能な食料システムの構築への貢献をめざしています。

例えば、精密農業システムが、クボタの農機や他社の機器がセンシングしたデータ、市場などの外部データを集積したビッグデータを解析し、生産から消費までのフードバリューチェーン全体を見据えた、最適な営農計画・事業計画を提案するソリューションなども構想しています。

これにより、求められている農産物を求められている量だけ安定的に生産する、精緻なPDCA型農業経営が可能になると同時に、フードロスの削減にも貢献します。

  • クボタがめざすスマートアグリソリューションの図

これからもクボタは、最先端の技術を駆使した「スマートアグリソリューション」を通じて、農業を魅力ある産業へと進化させるとともに、農機のクリーンエネルギー化、水・環境分野のソリューション活用などによって、環境に配慮したサステナブルな農業の実現に貢献していきます。

そして日本の農業のみならず、欧州、アジアなど他地域においても現地に根ざしたソリューションを提供し、地球環境と共生した食料システムの構築に貢献することをめざします。