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クボタが考える
「資源循環ソリューション」

廃棄物処理の課題を解決し、資源循環型社会の実現に貢献するトータルソリューション

私たちが社会生活を送る上で、廃棄物を排出することを避けては通れません。
排出された廃棄物を適正に処理することは、公衆衛生や生活環境を支える基盤と言えます。

人々が快適に暮らすことのできる持続可能な社会をめざすためには、廃棄物の排出抑制や適正な処理、
資源としての再利用が必要です。しかし、現代の廃棄物処理は、多様化する廃棄物への対応、廃棄物のリサイクル率の低さ、
最終処分場のひっ迫といった課題に直面しています。

クボタは生活環境の保全や公衆衛生の向上のため、
時代によって変化し続ける廃棄物処理の課題と60年以上向き合ってきました。
長年にわたり培ってきた技術と経験によって、現代の廃棄物処理が抱える課題の解決と、
環境への負担が少ない資源循環型社会の実現、持続可能な社会の構築に挑戦していきます。

Our Challenge

現代の廃棄物処理が抱える課題

現代の廃棄物処理は、経済発展に伴う大量生産・大量消費社会から生まれた課題に直面しています。資源を採掘し、ものを作って捨てるリニアエコノミー*1から脱却し、サーキュラーエコノミー*2への転換が求められています。

  1. *1.資源を元に製品を生産し、消費したのちに廃棄するという、直線的(リニア)にモノが流れる経済活動。
  2. *2.生産し、消費する経済活動の中で廃棄されていた製品や原材料を、資源として循環(サーキュラー)させる経済活動。新たな資源の投入やエネルギーの消費を抑え、環境負荷低減をめざす。
多様化する廃棄物の適正な処理

世界的な経済発展やデジタル化が加速し、さまざまな資源が消費されるようになるとともに、現代の廃棄物は多様化しています。

例えば近年では、電気製品や電子機器が廃棄物となった「E-Waste」の排出量が増加傾向にあります。2014年に世界で4,440万トンだったE-Wasteの排出量は、2019年には5,360万トンと増加、2030年には7,400万トンになると推測されています*3。しかし、このE-Wasteが適正に処理されていない国は少なくありません。E-Wasteをはじめ、有害物質を含むさまざまな廃棄物が環境や人体へ影響を及ぼさないよう、適正に処理する必要があります。

  1. *3.国際連合大学「The Global E-waste Monitor 2020」
廃棄物のリサイクル率の低さ

世界的に資源の消費量やエネルギー需要が増大する中で、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄社会から、持続可能な形で資源を利用するサーキュラーエコノミーへの移行が求められています。

昨今では、E-Wasteに含まれる貴金属やレアメタルといった有用な金属資源を鉱山に見立て、「都市鉱山」と呼ばれています。しかし、この都市鉱山から資源が回収・再利用される割合はいまだに高くありません。2019年の世界におけるE-Wasteのリサイクル率は17.4%に留まっています*4

サーキュラーエコノミーを実現するためには、あらゆる廃棄物から資源を回収し、再利用する仕組みが欠かせません。特に、日本などエネルギー資源や金属資源に乏しい国では、限りある資源の効率的な回収・再利用が望まれています。

  1. *4.国際連合大学「The Global E-waste Monitor 2020」
最終処分場のひっ迫

最終処分場とは、リサイクルやリユースがなされなかった廃棄物を、安全に管理しながら埋立処分する場所を指します。日本国内における最終処分場は、残余年数が8年だった1989年以降、徐々に改善傾向にありますが、2020年時点での残余年数はわずか22.4年*5です。

残余年数に限りがある一方で、最終処分場の新設は困難です。特に大都市圏においては土地の確保が難しく、また海面埋め立てを行うには膨大なコストがかかるなど、高いハードルが存在しています。さらに、最終処分場は埋立終了後も長期にわたる安全管理が継続的に必要となります。

  1. *5.環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)」

Our Approach

課題解決に向けたアプローチ

直面する課題を解決し、資源循環型社会を実現していくためには、あらゆる廃棄物を適正に処理し、可能な限り資源化する仕組みが欠かせません。クボタは長年培ってきた技術と高品質の製品・サービスによって、課題解決に向けた3つのアプローチを行っています。

  1. 高度な破砕・選別 有価物の回収やスラグ・メタル生成のベースとなる、廃棄物の高度な破砕と選別を実施する。
  2. 安定した溶融処理 高度な技術が必要な溶融処理を安定的に継続運用し、廃棄物を無害化・減容化する。
  3. 有価物の回収・生成 熱処理した廃棄物から有価金属やエネルギー、肥料の回収および溶融スラグの生成を行う。

Our Strength

サーキュラーエコノミー実現のために発揮されるクボタの強み

60年以上にわたり廃棄物処理と向き合ってきたクボタの強みは、高度な技術と高品質の製品、そしてこれらのソリューションを一手に提供し、安定運用させることが可能な点です。クボタだからこそできる廃棄物処理によって、資源循環システムの構築をめざしています。

長年培ってきた破砕・溶融・回収技術

1961年の水道研究所の発足をきっかけに、クボタは下水やし尿、都市ゴミの処理に関する研究をスタートしました。以来、経済成長に伴う環境問題が顕在化する中で、海外からの破砕機や溶融に関する技術導入などを通じて、破砕・溶融・回収技術の開発・研さんに注力し続けています。

クボタの技術は、特に溶融において力を発揮しています。運転管理に高度な技術が必要な溶融炉を安定的に稼働させるノウハウや、廃棄物を溶融して生まれるスラグからメタルを分離・回収する独自の技術によって、廃棄物の効率的な資源化を実現しています。

  • 溶融によって廃棄物が有機物になるまでのフロー図

重大な社会課題に応じた実績

香川県豊島
1980年代以降、約90万トンを超える産業廃棄物が不法投棄され続け、1990年代には大きな社会問題となった香川県豊島の不法投棄問題。何が投棄されているのかわからず、焼却すると有害物質が発生するリスクがある中、処理技術の一般応募に唯一入札したクボタは現場の完全修復に乗り出しました。

溶融炉の運転データを24時間リアルタイムで公開するという、廃棄物処理業界で初*6の取り組みを実施。高い耐久性と制御技術により年間340日の安定稼働を実現し、2003年10月から2017年6月まで13年9ヵ月をかけて廃棄物の全量資源化を達成しました。資源化した有価物は大量かつ多岐にわたり、例えば銅を含む溶融スラグは約47万トン、市場価格6.5億相当分に上りました。

  1. *6.2003年10月時点

福島県双葉町
2011年の東日本大震災により発生した災害廃棄物を処理するため、国は2014年より仮設焼却炉を設置し、処理を進めています。クボタは2020年3月より特定共同企業体(特定JV)の一員として、廃棄物の処理を行う仮設灰処理施設・仮設焼却施設の建設・運営を行っています。

この施設では、放射性物質に汚染された焼却灰やばいじん(煤塵)を溶融することで放射性物質を取り除き、減容化を行っています。溶融による汚染物質の処理には高い技術が必要ですが、クボタは安定的な運営を続けています。

効率的な廃棄物処理に貢献する高品質の製品群

クボタの廃棄物処理は高い技術を有するだけでなく、高品質の製品群を取り揃えています。例えば、クボタの破砕機は耐久性、破砕した廃棄物の粒度の細かさや均一性、きめ細やかなアフターサービスを特長としており、常に廃棄物を受け入れて稼働し続ける必要があるリサイクルプラントで強みを発揮しています。

また、クボタの溶融炉は、一般廃棄物と産業廃棄物それぞれから有価物を取り出し、再び社会へ還元する「ディープリサイクル」をめざしています。これにより、廃棄物中の極低濃度のメタルを濃縮回収して濃度の高いメタルを生み出したり、下水汚泥から90%という高い回収率で農業用肥料(リン)を生成したりするマテリアルリサイクルを実現。さらに、廃プラスチックを溶融炉の助燃剤として利用することでCO2の排出量を抑え、カーボンニュートラルにも貢献します。

選別から資源化までのソリューションを一手に提供可能

クボタは廃棄物の破砕・選別から処理・資源化まで、高い技術と高品質の製品を揃えた一連のソリューションを、自治体や民間事業者に対して一手に提供することが可能です。

導入時には、製品の性能を引き出す設備の設定や最適な配置も含め、プラント単位での全体設計を行います。また、高い技術をベースに健全なプラント運営を行うアセットマネジメントも可能です。例えば、2022年より稼働開始した長野県千曲市のごみ焼却施設「ちくま環境エネルギーセンター」の建設にはクボタグループとして参画し、安心・安全・安定的な運営が可能なごみ焼却施設の実現に貢献しています。

Vision

クボタが描く資源循環ソリューションの未来

人々が社会生活を営む中で生まれる廃棄物を処理するためには、一定のコストが必要です。しかし、廃棄物の効率的な破砕・選別、適正な処理、溶融による資源化を行うことで、廃棄物処理事業は資源という「価値あるもの」をつくり、利益を生み出す産業に転換しうる可能性を秘めています。クボタは強みを活かした「資源循環ソリューション」によって廃棄物処理における課題を解決し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。

  • クボタがめざす資源循環ソリューションの図

クボタがトータルソリューションとして描く「資源循環ソリューション」では、自社の製品・技術だけでなく他社の技術やAI・IoTを組み合わせ、あらゆる廃棄物をエネルギーや肥料、有価物へと循環させていきます。クボタは「命を支えるプラットフォーマー」として、この「資源循環ソリューション」を社会実装し、人々が快適に暮らすことのできる持続可能な社会の実現に貢献することをめざします。