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管路更新計画策定に係る水道事業体職員の作業負担を大幅軽減 クボタ、工事区間を適切に自動分割する技術を神戸市水道局と共同研究、実用化へ

2023年10月17日
株式会社クボタ

株式会社クボタ(本社:大阪市浪速区、代表取締役社長:北尾裕一、以下 当社)は、水道管路の更新計画策定業務において、複雑に入り組む水道管路網を任意の規模(工事費、管路延長等)の工事区間にAIを用いて自動分割(=グルーピング)する技術「適正工事発注グルーピング」を神戸市水道局との共同研究を経て開発しました。
この技術を活用することにより、人手不足が顕在化する水道事業体の技術職員による工事区間設定作業の負担を大幅に軽減することが可能です。また、自動分割した工事区間単位で評価する更新優先度を用いて、将来の漏水事故件数をシミュレーションでき、漏水事故を抑えるために必要な管路更新率*の設定をより高い精度でサポートします。これにより、年間の工事量をできるだけ抑えながら将来の想定漏水事故件数も抑えることのできる管路更新計画が作成できます。 なお、神戸市水道局では、今後の更新計画策定業務への本技術の活用を検討しています。

  • (導・送・配水管の)管路総延長のうち、1年間に更新された管路の割合。2019年度の全国平均は0.67%。出典:水道統計

1.開発の背景とねらい

  • 日本の水道管路は老朽化が進み、法定耐用年数である40年を超えて使用されている水道管は全体の20%にのぼり、その比率は年々増加することが予想されます。全国の水道事業体では老朽化した管路の更新工事を進めていますが、現在のペースでは全ての管路を入れ替えるのに150年程度かかる見通しで、今後ますます老朽化が進むことが懸念されます。
  • また、多くの水道事業体は資金不足の問題も抱えていることから、経済的・効率的に将来の漏水事故を抑制できる更新計画の立案が求められています。
  • 現在、多くの水道事業体では管路ごとに老朽度等を診断・評価した結果をもとに、更新工事の優先順位を決定しています。一方、実際の更新工事は、発注に適した規模(延長、金額等)や工事期間中に止水をするために必要なバルブの位置などを総合的に勘案しながら、それぞれの工事区間を設定する必要があります。多くの水道事業体では技術職員がこの作業を膨大な時間と労力をかけて行っています。
  • また、更新優先順位の高い管路は、それぞれが複雑に入り組んだ水道管路網に点在していることが多く、工事効率や住民生活への影響の観点から、優先順位の高い管路以外の周辺管路(更新管路)も含む形で、工事区間を設定することが一般的です。
  • このように実際の工事区間を設定する時点で管路更新の優先順位以外の要素が多く入ってしまうため、改めて管路単位の更新優先度を工事区間単位の優先順位付けに反映させる技術が求められていました。
  • 「適正工事発注グルーピング」は、AIを活用して対象管路全体を工事の発注規模や工事の効率を考慮した適正な工事区間設定となるように自動でグルーピングするため、管路更新計画の策定に伴う工事区間設定の労力と作業時間を大幅に減らすことができます。
  • さらに、管路単位の老朽度等の評価結果を活用しながら、工事区間単位の更新優先順位付けができるため、対象管路全体の中で優先度を把握することができます。また、年間の更新率などの検討条件を変更して管路更新のシミュレーションを繰り返すことによって、事業体が目安にする年間の漏水事故件数や耐震化率などを見据えた更新計画の策定に活用することができます。
  • 当社は、費用対効果の高い管路更新計画の策定に資する「適正工事発注グルーピング」技術を用いて、水道事業体の職員の作業負担を軽減しつつ、老朽化が進む日本の水道管路の更新を後押しし、強靭な水道インフラの維持に貢献してまいります。

2.「適正工事発注グルーピング」の特長

  1. 工事規模に合わせて管路を短時間で自動グルーピング可能(従来20kmのグルーピングに職員1名で2週間程度要していたのに対し、管路延長約600kmのグルーピングが約1時間で可能。※クボタ調べ)
  2. 各工事区間の規模は、工事費や管路延長により任意に設定でき、幹線管路と配水支管を分けてグルーピングも可能
  3. 工事の効率を考慮した適正な工事区間(同一地域の管路がまとまり、極端な飛び地がない)を作成でき、加えて、工事に関わる調整が難しい国道や一級河川をまたがないといった固有の条件の設定も可能
  4. 老朽度だけでなく、耐震性や重要度などを加味した総合評価による工事区間単位の更新優先順位付けも可能
  5. 50年等の長期にわたる漏水事故件数の推移等をシミュレーションすることで、漏水事故件数を許容範囲内に抑制するために必要となる更新率を把握可能
  • グルーピングの例。更新対象の管路を工事区間単位で色分けして表示できる。

ご参考

2023年10月18日(水)~20日(金)に東京ビッグサイトで開催される「2023東京水道展」のクボタグループブースにて、グルーピング技術についてご紹介します。

本件に関する問い合わせ先

株式会社クボタ パイプシステム東日本営業部 東京営業第一課 TEL:03-3245-3173

以上

ニュースリリースに記載されている情報は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承下さい。

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