<講評> 暮れの冷え込んだ湖面に霧が立って煩雑な背景が消され、主役の白鳥を引き立てています。湖面を静かに進む三羽の白鳥たちが、穏やかな冬の晴れ間を楽しんでいる様子を上手く捉えていて、いつもは主役に収まる富士山も、さすがにここでは脇役に甘んじています。冠雪した富士山、湖面を漂う薄霧、そして白鳥、といった「白」が支配色の作品ですが、不思議に単調さを感じることがありません。