<講評> 山の辺の道に咲く桃の花を、抑制を効かせた穏やかな色合いで綺麗に写し撮り、季節のリアリティーを感じさせます。折からの雨が上がり、古代のロマンに満ちた歴史の地に靄が流れて、この作品に静かな動きを与えています。この場所に立ち、悠久の時間に向き合った作者の気持ちの昂ぶりが、手に取るように伝わってきます。