2010  > 2014 平成22年 - 平成26年

さらなるグローバル展開に向けて

世界共通のグループ企業理念「クボタグローバルアイデンティティ」を掲げて事業のグローバル化を推進し、欧米での畑作農機事業、アジアにおける水・環境事業など各地域のニーズを見据えた活動を積極的に展開。また、厳しさを増す排ガス規制への対応で世界をリードするなど、環境への配慮も一層充実させました。一方、コメの輸出促進やICT(情報通信技術)の導入で国内農業の活性化に向けた取り組みも強化。グローバル経営体制を推進するとともに「食料・水・環境」の各分野で国内外の課題解決に大きく貢献しています。

  • 2010
  • 2011
  • 2012
  • 2013
  • 2014

2010 平成22年

水耕栽培事業を営む特例子会社を設立

 障がい者の自立支援や地域社会との共生、さらに耕作放棄地の活用による日本農業の活性化を目指して水耕栽培事業会社「サンベジファーム株式会社」を設立しました。当社では2社目の特例子会社として従業員12名でスタートし、レタスや水菜、小松菜などを地元スーパーや小売店へ出荷しているほか、クボタグループ社員食堂への提供や従業員向け販売もおこなっています。
 また、遊休農地を利用した同社の「かなん農場」では、環境負荷を低減するため、太陽光発電システムや水の蒸発による冷却を利用した空冷システムなどを採用しました。

水耕栽培事業を営む特例子会社を設立

環境省より「エコ・ファースト企業」に認定

 環境保全に関する取り組みを環境大臣に約束し、業界のトップランナーとして先進性が認められた企業が認定を受ける「エコ・ファースト制度」。当社は「食料・水・環境」の分野で社会に貢献する企業グループとして、地球温暖化防止や循環型社会の形成に向けた取り組み、化学物質の適正な管理、生物多様性の保全に向けた活動などを約束し、この年「エコ・ファースト企業」に認定されました。

環境省より「エコ・ファースト企業」に認定

タイでコンバインの生産を開始

 アジアを中心とした生産拠点の拡大をさらに推進するため、タイの「サイアムクボタトラクタ(SKT)」(現・サイアムクボタコーポレーションCo.,Ltd.)で普通型コンバインの生産を開始しました。
 農家の所得増加や人手不足によって農業の機械化が急速に進むタイ国内の市場に応えるとともに、インド、ベトナムなど周辺国への販売拡大に備えて供給体制の拡充を図ったものです。

タイでコンバインの生産を開始

中国にポンプの製造・販売会社を設立

 急速な人口増加に加えて都市への人口集中が進み、水不足や水質汚染が問題となっている中国において、日本の社会インフラ構築で蓄積した技術を活かすため、現地メーカーと合弁でポンプの製造・販売会社「安徽久保田三聯ポンプ有限公司」を設立しました。
 当社からは水中ポンプの製造技術を新会社に供与して中国の下水道や雨水排水などに使用されるポンプを製造・販売するとともに、大都市から地方都市へインフラ網の拡大が進む東南アジアでの事業展開にも取り組みます。

中国にポンプの製造・販売会社を設立

2011 平成23年

世界で初めて米国CARB第4次排ガス規制に対応

 地球環境保全の意識がますます高まるなか、米国カリフォルニア州大気資源局(CARB)のノンロードディーゼル第4次排ガス規制(56~130キロワットクラス)に対応。4リッター以下の産業用ディーゼルでは世界で初めて規制適合認証を受けました。
 排出ガスに含まれるPM(すすなどの浮遊粒子状物質)を現行の1/10以下にする厳しい規制に対し、コンピュータで燃料噴射を制御する「コモンレールシステム」や排気ガスの一部を吸気に戻してNOXの排出を抑える「EGR(排出ガス再循環)システム」などを採用。コンパクトな設計を踏襲しながら、出力向上や低騒音化も実現しました。

世界で初めて米国CARB第4次排ガス規制に対応

中国で水処理会社2社と地域統括会社を設立

 中国の人口増加や経済発展を見据え、2010年のポンプ製造・販売会社に続いて合弁と独資の水処理エンジニアリング会社2社を開設しました。合弁会社の「久保田国禎環保工程科技(安徽)有限公司」は当社の高度水処理技術のコア製品である膜装置の生産やエンジニアリングノウハウを活かした水処理事業を展開。独資の「久保田環保科技(上海)有限公司」では産業排水再利用や農村部の環境対策などに取り組んでいます。
 また成長著しい中国市場で、より戦略的な事業展開を図るため、中国国内の既存6社を統括して総合的なマーケティングを実施する当社初の地域統括会社「久保田(中国)投資有限公司」も立ち上げました。

中国で水処理会社2社と地域統括会社を設立

「エコプロダクツ認定制度」の運用を開始

 地球環境の保全を事業経営の最重要課題として位置付ける当社では、「省エネルギー(CO2削減)」「省資源・再資源化」「環境負荷物質の削減」の3項目について、社内基準を満たす製品を自社認定する「エコプロダクツ認定制度」をスタートさせました。
 日本国内で販売されるクボタグループの全製品を対象として前述した3項目の評価点を算出し、合計が基準点以上の製品を環境配慮性能のレベルによって2段階で認定。認定した製品には独自のロゴマークと環境配慮に関する取り組み内容を表示して、エコプロダクツ製品の拡充を推進しています。

「エコプロダクツ認定制度」の運用を開始
「エコプロダクツ認定制度」の運用を開始
「エコプロダクツ認定制度」の運用を開始

サウジアラビアで鋳鋼製品工場が竣工

 石油化学プラントでエタン・ナフサの分解に用いる耐熱鋳鋼製の反応管を生産・販売するため、「クボタサウジアラビアカンパニー有限責任会社」を設立しました。
 中東では豊富な原油埋蔵量を背景に反応管の需要拡大が見込まれており、コスト競争や納期短縮、サービス向上が強く求められていました。また、サウジアラビアには世界展開する屈指のエチレン会社があり、地理的にも欧州や北アフリカに近接しています。
 そこで、現地生産体制を確立し、同国内の需要獲得だけでなく世界展開への足がかりとしました。

サウジアラビアで鋳鋼製品工場が竣工

中国で小型建設機械の生産工場が完成

 急速な経済成長が続き、建設機械の需要伸長が見込まれる中国で、当社は2003年に小形建設機械の販売会社を設立し、2009年からはレンタル工場で現地調達部品の部分組付けをスタート。さらに、コスト競争力の強化や為替変動リスクの回避、需要拡大に向けた供給力の増強を図るため、現地生産拠点「久保田建機(無錫)有限公司」を開設しました。
 これによって小型建設機械の生産拠点は日本・ドイツ・中国の3極体制となり、需要変動に即応するグローバル体制の構築に向けて大きく前進しました。

中国で小型建設機械の生産工場が完成

香港に日本産米の輸入精米販売会社を設立

 日本の農業にとって大きな課題である海外需要の拡大を支援するため、香港に日本米の輸入精米販売会社「久保田米業(香港)有限公司」を設立しました。
 同社では玄米を冷蔵倉庫で保管し、注文を受けてから自社製精米設備で精米して鮮度の高い状態で出荷。品質にすぐれた日本米を、よりおいしく供給することで海外需要の拡大に貢献します。

香港に日本産米の輸入精米販売会社を設立
香港に日本産米の輸入精米販売会社を設立

2012 平成24年

ノルウェーの作業機器メーカーを子会社化

 今後の食糧増産に不可欠であり、規模は稲作の7倍ともいわれる世界の畑作市場。当社は将来性に満ちたこの新市場へ積極的に進出するため、ノルウェーのトラクタ用作業機器(インプルメント)メーカー「クバンランド社」をM&Aで子会社化しました。
 充実した品ぞろえとすぐれた技術力を持ち、ヨーロッパで高いブランド力を誇る同社の販売網と日本で培った当社のノウハウを融合させて大型機械や畑作機械のラインナップを充実させ、新市場開拓を図ります。

ノルウェーの作業機器メーカーを子会社化

アジアの需要増に応えて中国にエンジン生産拠点

 中国を中心としたアジアで農業機械や建設機械、産業用機械の市場が拡大し、エンジンの大幅な需要増が見込まれることから、中国で立形ディーゼルエンジンの生産をおこなう「久保田発動機(無錫)有限公司」を設立しました。
 拡大する市場に向けた供給力の増強はもちろん、海外生産比率の向上によるコスト競争力の強化や為替変動リスクの低減を図ったもので、エンジン事業のさらなる拡大・発展を目指します。

アジアの需要増に応えて中国にエンジン生産拠点

世界共通の企業理念やロゴタイプを制定

 経営のグローバル化が進展するなか、世界各国に展開するクボタグループ社員が国境や世代、階層を超えて基本的な理念や考え方を共有し、共通の価値観のもとで事業活動を推進できるよう「クボタグローバルアイデンティティ」を制定しました。
 その内容は「スピリッツ(私たちの精神・姿勢)」「ブランドステートメント(私たちの約束)」「ミッション(私たちの使命)」からなり、ブランドステートメントの「For Earth, For Life」を強力に訴求していくため、ロゴタイプのデザインを変更。またミッションとして、人類の生存に欠かせない「食料・水・環境」の分野で課題解決に貢献していく強い意思を表明しました。

世界共通の企業理念やロゴタイプを制定

「クボタ化水」を設立して水処理事業を強化

 創業以来、水関連事業に携わり、世界的な「水」問題の解決をミッションの一つとして展開してきた当社は、これをさらに加速させるため水処理エンジニアリング会社「富士化水工業株式会社」を完全子会社化し、「クボタ化水株式会社」として営業を開始しました。
 国内では、当社が培ってきた公共上下水分野の総合力に対象会社が持つ民間産業排水分野の技術とノウハウが加わり、アジア各国においては当社の高度な水処理製品・技術と対象会社のエンジニアリング拠点を融合。国内外における水・環境事業の領域が一段と拡大しました。

「クボタ化水」を設立して水処理事業を強化

2013 平成25年

タイに部品の調達・供給会社を設立

 グローバルな事業競争が激しさを増すなか、世界各地から良質でリーズナブルな部品を安定的に調達する体制が不可欠となり、トラクタやコンバイン、エンジンなどを生産しているタイに「Kubota Procurement & Trading (Thailand) Co.,Ltd.」を設立しました。
 同社はタイの調達先から、タイ国内はもちろん日本および世界の生産拠点へ部品を供給するグローバル調達体制を担うもので、これまで拠点ごとにおこなっていた部品調達業務を一元化することによるスケールメリットを価格交渉や品質改善に活かし、各国市場での競争力アップにつなげています。

タイに部品の調達・供給会社を設立
タイに部品の調達・供給会社を設立

米国で中型トラクタの生産工場を新設

 当社のトラクタ事業にとって最大の市場であり、今後は韓国、中国、インドなど新興国企業との競争激化が予想される北米の事業体制を強化するため、40馬力クラスのトラクタを生産する新拠点を開設しました。
 1972年、米国に海外初のトラクタ販売会社を設立した当社は、その後、小型トラクタやトラクタ装着用作業機器(インプルメント)などを生産する2工場を設立して北米市場を開拓してきました。今回設立した中型トラクタ工場では、タイからの部品調達など世界最適地調達をおこなうことでコスト競争力を強化し、さらなる事業拡大を図っていきます。

米国で中型トラクタの生産工場を新設
米国で中型トラクタの生産工場を新設
米国で中型トラクタの生産工場を新設
米国で中型トラクタの生産工場を新設

日本産米の輸入精米販売会社をシンガポールに設立

 日本では食生活の多様化や人口減少などでコメの消費量が減り、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。当社では、コメの海外輸出を支援して日本の農業を活性化するため、香港に続く日本産米輸出拠点としてシンガポールに輸入精米販売会社「Kubota Rice Industry(Singapore)PTE Ltd.」を設立しました。
 シンガポール国内に精米工場を建設して日本産の玄米を輸入し、現地で精米することによってシンガポールの消費者においしいコメを提供。日本産米のファンを増やして、輸出拡大を支援します。

日本産米の輸入精米販売会社をシンガポールに設立
日本産米の輸入精米販売会社をシンガポールに設立

カンボジアとラオスに農機販売の新会社

 当社とタイ企業の合弁子会社である「サイアムクボタコーポレーションCo.,Ltd.(略称:SKC)」は、カンボジアに「Kubota Cambodia Co.,Ltd.」、ラオスに「Kubota Laos Co.,Ltd.」を、それぞれ100%出資で設立しました。
 カンボジアとラオスはコメやサトウキビを中心とした農業国であり、農村部の労働力不足から農業の機械化が急速に進んでいます。両国のディーラーにトラクタやコンバイン、小型ディーゼルエンジンなどを販売してきた実績を活かし、新会社の設立でディーラー網の拡充やアフターサービスの強化を図り、事業の拡充を推進します。

カンボジアとラオスに農機販売の新会社

2014 平成26年

フランスに大型畑作用トラクタの生産会社を設立

 畑作穀物市場へ本格参入するためのステップとして、フランスのダンケルク地区に「クボタファームマシナリーヨーロッパS.A.S.」を設立しました。
 フランスは欧州における需要の中心地であり、ダンケルク地区は港に近く北米などへの輸出にも適した立地です。この地を拠点に欧米での大型畑作農機事業を拡大し、水田稲作市場と畑作穀物市場の双方でグローバルに活躍する総合農機メーカーを目指します。

フランスに大型畑作用トラクタの生産会社を設立

ICTによる農業支援システムと対応農機を開発

 今後、日本の農家は大規模化やコスト競争力の強化、農作物の高付加価値化を推進して、安心・安全でおいしい農作物を効率よく生産することが求められます。こうした変化をいち早く促すため、当社ではICT(情報通信技術)を活用した営農・サービス支援システム「クボタスマートアグリシステム(略称:KSAS)」を開発。同時にKSAS対応農機として農地ごとの作業記録や機械の稼働情報を通信できるトラクタ、モミの食味・収量測定機能付きのコンバイン、肥料散布量を電動で調整できる田植機を発売しました。
 これらの農機を通してKSASに蓄積された情報を営農計画に活用することでコメの品質や収量向上に貢献します。

ICTによる農業支援システムと対応農機を開発

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2010 > 2014

主要製品 機械部門