1986  >  1993 昭和61年 - 平成5年

事業構造の改革期

昭和60年に始まった円高基調のなか、当社は収益構造の改善と事業構造の改革を柱とした「クボタ革新運動」を展開し、技術・製品・市場・社員意識などの変革を推進。コンピュータなど落下傘型の新規事業にも進出しましたが、その後、撤退を余儀なくされます。一方、円高を克服するための海外戦略はさらに加速し、アメリカ、ドイツ、カナダでの生産拠点拡充や部品の海外調達などを積極的に展開しました。

  • 1987
  • 1989
  • 1990
  • 1992
  • 1993

1987 昭和62年

コンピュータ事業に参入

 昭和61年、成長分野への進出を目指してコンピュータを中心とするエレクトロニクス、新材料、バイオテクノロジー、地域開発などの分野について情報収集を開始。グラフィックス・スーパーコンピュータを開発する米国のベンチャー企業「アーデント社(旧社名デーナ社)に投資するとともに、極東地域における独占販売権などを取得し、62年4月、事業母体として当社全額出資の「クボタコンピュータ株式会社」を設立しました。
 しかし、充分な成果を得ることができず、平成6(1994)年以降、当社はコンピュータ事業から順次撤退していくことになります。

クボタコンピュータ(株)山梨工場

クボタコンピュータ(株)山梨工場

コンピュータの検査・調整

コンピュータの検査・調整

コンピュータ用外部記憶装置製造ライン

コンピュータ用外部記憶装置製造ライン

1989 平成元年

竜ヶ崎工場を新設

 わが国の自動販売機市場は昭和61(1986)年1,827億円、62年2,326億円、63年2,900億円と拡大し、月産能力3,000台の久宝寺工場では需要に追いつかなくなりました。そこで平成元年、茨城県に新設したのが竜ヶ崎工場です。
 新工場は敷地面積4万8,000㎡で、生産能力は月産5,000台。コンピュータ制御のPOSシステム(生産時点情報システム)による多品種混流生産や塗装工程の内作化、無人搬送台車や溶接ロボットによる省力化・合理化を実現しました。平成元年には新機種として、屈まなくても缶を取り出せる「上取り出し式缶自動販売機」を発売しています。

滝ヶ崎工場全景

竜ヶ崎工場全景

コンピュータ用外部記憶装置製造ライン

上取り出し式缶自勁販売機

ドイツで小型建機の製造を開始

 当社の小型建設機械は昭和53(1978)年に英国へ初出荷して以来、欧州全土に普及。昭和63年度の欧州向け販売台数は2,800台を突破し、欧州市場で販売シェア第1位となりました。
 こうしたなか、EC委員会で日本製ミニ油圧ショベルの完成品輸入問題が取り上げられるようになり、当社は西ドイツのラインラント・プファルツ州に「クボタバウマシーネンGmbH(KBM)」を設立。平成元年から小型建設機械の現地製造を開始しました。

クボタバウマシーネンGmbH(KBM)全景

クボタバウマシーネンGmbH(KBM)全景

KBM建設機械製造ライン

KBM建設機械製造ライン

北米でトラクタ用作業機の製造を開始

 また日米間でも同様の貿易摩擦があり、現地ニーズに即した製品開発の必要性もあったため、昭和63年、米国ジョージア州にトラクタのインプルメント(作業機)製造会社「クボタ・マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ(KMA)」を設立。平成元年4月に製造を開始しました。

クボタ・マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ(KMA)全景

クボタ・マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ(KMA)全景

1990 平成2年

創業100周年・「クボタ」に社名変更

 創業100周年を機に、当社は「株式会社クボタ(英文名KUBOTA CORPORATION)と社名を改めました。鋳物業で創業して以来、鉄管や各種機械、さらに新たな事業へと次々に参入し、「久保田鉄工株式会社」の社名が業態にそぐわなくなったためです。
 社名変更と同時にVI(ビジュアル・アイデンティティ)システムを導入して新シンボルマークを制定。社員バッジをはじめユニフォームや営業用車両、看板・広告などのデザインも一新し、堅実・重厚とされる社風に柔軟さやスマートさを付け加えていく姿勢を内外に表明しました。

100周年記念事業として、大阪で開催の「国際花と緑の博覧会」に噴水・裂水装置「アレフ」を出展

100周年記念事業として、大阪で開催の「国際花と緑の博覧会」に
噴水・裂水装置「アレフ」を出展

第100回創業記念式典で式辞を述べる三野社長

第100回創業記念式典で式辞を述べる三野社長

1992 平成4年

東大工学部に初の寄付講座 「国際環境計画」開設

 環境問題が地球規模の視点で認識されるとともに、先進国と開発途上国の考え方の相違など新たな課題が浮上してきました。そこで、東京大学では国際的な環境計画のあり方を学問的に究明し、国際的に活躍できる人材の養成を計画。これに賛同した当社は、寄付講座の開設を申し込んで文部省から認められました。平成4年10月から7年9月まで3年間にわたって開設された講座は、砂漠の緑化や環境施設事業に多くの実績を持つ当社の理念に合致した社会貢献活動として、各方面から高い評価を得ることができました。

東大工学部に初の寄付講座 「国際環境計画」開設

1920 大正9年

21世紀への経営指針 「創業2世紀ビジョン」発表

 明治時代半ばに創業した当社は、近代国家の形成や戦後の復興、さらに高度経済成長のなかで暮らしと社会の発展に貢献してきました。そして、バブル経済を経て日本が大きく変化しようとするなかで迎えた創業2世紀、新しい時代に、より存在感のある会社を目指そうと発表したのが「創業2世紀ビジョン」です。同ビジョンでは重点事業領域や経営に関する重点方針を表明。これらは、各事業本部が展開する事業などを通して具現化されていきました。

「クボタ創業2世紀ビジョン」1990年創業100周年を迎えて

「クボタ創業2世紀ビジョン」1990年創業100周年を迎えて

ディーゼルエンジンで世界初
・米加州排ガス規制認証を取得

 昭和40年代半ばから始まっていた乗用車向けエンジンの規制と同様に、産業用ディーゼルエンジンに対しても排ガス規制の目が向けられ、米国カリフォルニア州では平成7年1月から25馬力未満の汎用エンジンに「CARB ULG排気ガス規制」が実施されることになりました。すでに設計・製造の両面からクリーンなディーゼルエンジンの開発を進めていた当社は、独自のE-TVCS燃焼室の開発や燃料噴射系部品の改善などを通して、世界で初めて同規制をクリア。以後、段階を追って厳しくなる規制に対しても、常にいち早く認証を取得していきました。

ディーゼルエンジンで世界初・米加州排ガス規制認証を取得

1973 > 1985

1986 > 1993

1994 > 2002