1973  > 1985 昭和48年 - 昭和60年

低成長時代に向けた体質強化

昭和48年の第1次石油ショックを機に、当社は事業の競争力強化や構造改革、省エネ・省資源などの体質強化に取り組みます。「技術立社」を標榜して先行・基礎研究を推進するなど自主技術開発を重視し、エジプトの砂漠開発プロジェクトでは当社の農業および水の総合力を結集したかんがいシステムが活躍。甲子園球場の400倍もの砂漠が緑の農地に生まれ変わる様子は映画にも収録され、多くの人々の関心を集めました。

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1973 昭和48年

久宝寺工場(現・久宝寺事業センター)を新設

 高度経済成長時代、当社の産業用はかりは幅広い分野で省力化・自動化設備に取り入れられ、事業として大きく成長。さらに主力の産業用だけでなく、家庭用や商業用、自動販売機などの開発・販売も軌道に乗り、多角化が進みました。
 しかし、昭和46年ごろから設備投資の減退や競争激化で業績が停滞。事業体質強化のため、手狭な船出町工場からの移転が急務となりました。そこで大阪府八尾市の旧日本鉄工所跡に建設したのが久宝寺工場です。船出町工場の約3倍の敷地で新たな取り組みを開始する一方、明治41(1908)年以来の船出町工場の名は、これをもって消えることになります。

光電子式デジタル表示料金はかり1号機「船出」

光電子式デジタル表示料金はかり1号機「船出」

久宝寺工場全景

久宝寺工場全景

久宝寺工場内に新設した自動販売機製造ライン

久宝寺工場内に新設した自動販売機製造ライン

1974 昭和49年

小型建機ミニバックホーの製造を開始

 昭和47年に日本列島改造ブームが起こったものの、大型油圧ショベルや大型クレーン分野で後発の当社は苦戦を強いられました。そこで建設機械事業の再建を図るため「小型重点志向」の方針を打ち出し、組織や生産拠点、販売体制まで一新。49年には当社のベースマシンとなる全旋回式ミニバックホー(小型油圧ショベル)KH1が完成します。
 昭和50年代に入ると生活環境整備を目的とした都市型工事や地方自治体発注の小規模工事が増え、ミニバックホーの活躍の場も拡大。先発である当社は着実に販売量を伸ばし、54年には技術・販売・製造を一本化した新生の建設機械事業部が誕生しました。

ミニバックホーKH1第1号機

ミニバックホーKH1第1号機

枚方機械製造所建設機械組立ライン

枚方機械製造所建設機械組立ライン

自走で船積み中のミニバツクホー

自走で船積み中のミニバックホー

昭和54年に新設した小型建設機械専門工場組立・検査ライン

昭和54年に新設した小型建設機械専門工場組立・検査ライン

フランスに農機・建機の販売拠点を設立

 低成長時代を迎えて国内市場の大幅な拡大が見込めなくなったため当社は活路を海外市場に求め、拠点の拡充に力を注ぐようになりました。 昭和49年、「丸紅株式会社」と合弁でフランスに「ヨーロッパクボタトラクタ販売有限会社」を設立。
 同社はその後、フランスだけでなく西ドイツ、オランダ、スイスなど欧州各国へのトラクタ輸出拠点となっていきます。このほか欧州では昭和54年に「英国クボタトラクタ販売株式会社」を、58年には「ドイツ・クボタ有限会社」を設立。また、オーストラリアやカナダにもトラクタの販売拠点を設けました。
 一方、アジア各国ではこの時期、農機の国産化に協力するため、インドネシアやフィリピン、タイなどに製造・販売会社を新設しました

ヨーロッパクボタトラクタ販売(株)

ヨーロッパクボタトラクタ販売(株)

英国クボタトラクタ販売(株)

英国クボタトラクタ販売(株)

カナダクボタトラクタ販売(株)

カナダクボタトラクタ販売(株)

カナダクボタトラクタ販売(株)のトラクタ展示会

カナダクボタトラクタ販売(株)のトラクタ展示会

芝刈りに使用されるトラクタL175

芝刈りに使用されるトラクタL175

1975 昭和50年

筑波工場を新設

 昭和40年代後半に「乗る農業」への転換が急速に進むなか、当社は第1次石油ショックで中断していた新工場建設プランを再開し、50年8月に筑波工場が完成しました。
 敷地面積33万7,000㎡の同工場には最新の自動化システムを導入し、高品質・低コストを徹底追求。トラクタ専門の研修センターを備え、環境保全や緑化にも配慮した先進工場となりました。操業わずか2年目でトラクタ生産累計10万台を達成し、昭和54年10月の「クボタトラクタ生産70万台突破記念式典」も同工場で挙行されました。

完成当時の筑波工場全景

完成当時の筑波工場全景

筑波工場トラクタ製造ライン

筑波工場トラクタ製造ライン

筑波工場のエンジン加工に威力を発揮したトランスファーマシン

筑波工場のエンジン加工に威力を発揮したトランスファーマシン

海外研修生の技術研修風景

海外研修生の技術研修風景

筑波工場公害防止設備

筑波工場公害防止設備

トラクタ生産70万台を達成

トラクタ生産70万台を達成

1976 昭和51年

ニューヨーク証券取引所に株式上場

 低成長下の経営で必須条件となるのが、財政面から企業体質を強化することです。当社は昭和51年2月、米国で公募による転換社債7,500万ドルを発行。この際、格付け機関「スタンダード・アンド・プアーズ社」からA格の評価を受け、SEC(米国証券取引委員会)の厳しい審査にも合格しました。こうした実績に基づき、同年11月、世界の資本市場で最も巨大なニューヨーク証券取引所に日本企業として3社目の上場を果たしました。
 一方、事業の国際展開を図るには品質やPL(製造物責任)に厳しい欧米市場の評価が欠かせません。そこで昭和49年2月にTQC(全社的品質管理)を導入、51年11月、堺製造所と内燃機器研究本部が農機業界で初めてデミング賞受賞の栄誉に輝きました。

ニューヨーク証券取引所に株式上場

ニューヨーク証券取引所に株式上場

デミング賞委員会による蕃査風景

デミング賞委員会による蕃査風景

1976年度デミング賞授賞式

1976年度デミング賞授賞式

デミング賞事業所表彰牌

デミング賞事業所表彰牌

1977 昭和52年

本社新館(現・クボタビル)完成

 昭和35年に大阪本社ビルを建設したときの従業員数は730人でしたが、その後、次第に増加して50年には1,600人に達したため新館の建設に着手。Gコラムやアルキャスト、空調機器、中水道システム、噴水装置など自社製品を取り入れた16階建ての建物が52年10月に竣工しました。
 昭和54年には新館1階フロアに「新製品展示コーナー」を開設し、当社の新製品・新技術を社内外に紹介。55年には当社の歴史を物語る記念すべき製品も加え、常設展示するようになりました

1階フロア、新製品展示コーナー

1階フロア、新製品展示コーナー

昭和52年建設した本社新館、新館西側の時計噴水と中水道設備による人口滝

昭和52年建設した本社新館、新館西側の時計噴水と中水道設備による人口滝

1980 昭和55年

エジプトより砂漠緑化システムを受注

 地球上の乾燥地域に住む人々にとって、砂漠を緑化して食糧を自給することは長年の悲願でした。当社が農業と水の分野で培った技術を活用し、砂漠の緑化システムを事業テーマとしたのは昭和51年。かんがい技術で定評のある米国のレインバード社とも技術提携し、受注活動を開始しました。
 昭和55年、エジプト・シェルケア州政府のプロジェクトに当社システムが採用され、甲子園球場の約400倍の砂漠を開発して農作業の機械化を進めることが決定。栽培作物ごとに最適なかんがい方法を導入して緑化を進め、着工から2年後の58年に完成しました。緑の大地に生まれ変わった農場では今、さまざまな野菜や果物が育っています。

現地測量

現地測量

井戸を掘り水中ポンプを据えつけ

井戸を掘り水中ポンプを据えつけ

エジプト・カッターラ地区、向かって右が農場開発後

エジプト・カッターラ地区、向かって右が農場開発後

ビニルパイプの配管工事

ビニルパイプの配管工事

牧草・ビール麦用のサイドホイール式スプリンクラー

牧草・ビール麦用のサイドホイール式スプリンクラー

トラクタによる牧草の収穫作業

トラクタによる牧草の収穫作業

収穫したキャベツ

収穫したキャベツ

1985 昭和55年

堺臨海工場を新設

 第2次減反政策などで農機の需要が落ち込むなか、当社では自社製品への搭載が多かった小型エンジンの外販を強化・拡充することになりました。生産能力とコスト競争力を高めるため、堺市築港新町に新工場を建設。わずか180人の従業員で空冷ガソリンエンジン、水冷ディーゼルエンジン合わせて年間50万台を生産できる高効率な工場が完成しました。
 さらに、製造業としてはわが国で初めて協力会社との間をVAN(付加価値通信網)で結び、また、独自の調達物流システムを構築するなど先進的な試みを数多く導入。通産大臣の私的諮問機関から「昭和60年度優秀情報処理システム」の表彰を受けたほか、日経新聞社の「1985年日経優秀先端事業所賞」も受賞しました。

堺臨海工場全景

建設当時の堺臨海工場全景

空冷ガソリンエンジンの組立ライン

空冷ガソリンエンジンの組立ライン

クランクケース加工用フレキシブル・トランスファーライン /

クランクケース加工用フレキシブル・トランスファーライン

アルミダイカストマシン

アルミダイカストマシン

システム開発会議風景

システム開発会議風景

電子計算センターのコンピュータ室

電子計算センターのコンピュータ室

電子技術センターでの電子制御ユニット開発風景

電子技術センターでの電子制御ユニット開発風景

1985年日経優秀先端事業所賞表彰状

1985年日経優秀先端事業所賞表彰状

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