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〈世界に羽ばたくクボタの社員たち〉全米ディーラーミーティングで光ったアメリカ駐在員エンジニアの活躍

2017 . 11 . 30 / Thu

全米ディーラーミーティングで光ったアメリカ駐在員エンジニアの活躍

文=クボタプレス編集部 写真提供=KTC

米国販売子会社・クボタトラクターコーポレーション(Kubota Tractor Corporation[以下、KTC]本社:テキサス州グレイプバイン市)が、例年10月に開催するナショナルディーラーミーティングは、1980年代に始まり、いまや全米約1,100社を数える規模のクボタディーラー網から約3,000人が集う一大イベント。クボタがアメリカ市場を切り拓いた歴史の重みと進化し続ける技術の強さ、ディーラーの高い士気が、今年は10月21日から5日間にわたって会場を埋め尽くしました【写真】。
ディーラーとクボタ従業員、いわばクボタファミリーが一堂に会する、年に一度の“お祭り的要素”もある反面、販売価値の高い製品をクボタが用意したか否かの判断がなされる、「厳しい評価の場」。日本の技術本部から派遣されている駐在員エンジニアは、そこで大きな役割を果たしています。

最大の開催趣旨は新製品の発表

ナショナルディーラーミーティング(以下、NDM)のプログラムは、非常に充実しています。アメリカらしい広大な会場に多数の実機を取り揃え、クボタの新旧機種あるいは他社製品との比較を行えるフィールド・デモンストレーション、試乗、展示会兼受注会を展開。開催の最たる趣旨は、新製品の発表です。オープニングセッションにて、巨大スクリーンを用いた紹介で注目を集めたトラクタ・小型建設機械・草刈機・ユーティリティビークルなど、次年度に販売するラインナップをフィールドでのデモ/試乗により、ディーラーに理解してもらいます。続く受注会の場では、翌年分の注文が決定します。その注文獲得の多寡が、米国内や日本におけるクボタ工場の生産量に直結するとあって、デモンストレーションを行うエンジニア、商談を導くセールススタッフはともに真剣勝負。ディーラーも「クボタのことをもっと知りたい。クボタのエンジニアに伝えたいことがある」と高いモチベーションで各セッションに臨み、予約の決断に至るのです。

打合せ・練習に熱が入ります

翌年分の受注が掛かり、イベントの成否を決するフィールドデモ。打合せ・練習に熱が入ります。

フィールドデモ

新製品の特長、改善点、他社優位性を見られるフィールドデモには、膨大な数の見学者が。何班にも分けて行われます。

製品の長所などを巧みに紹介

現地の使用方法を熟知するローカルスタッフが、製品の長所などを巧みに紹介。

フィールドデモの後は試乗

フィールドデモの後は試乗。機能・性能、現行機種/他社製品との違いなどをディーラー自身が体験します。

ディーラーにとっても、貴重な機会

ディーラーにとっても、NDMはクボタのエンジニアに技術相談や改善要望を直接伝えられる、貴重な機会。

カスタマーの志向に詳しいローカルエンジニア

全米各地の土壌や気候、カスタマーの志向に詳しいローカルエンジニア。彼らの知識が高い顧客満足度を支えます。

次年度受注の命運を握るNDMで、日本からの駐在員エンジニアは、潤滑油のように重要な貢献をしています。KTC Engineeringに赴任している原本淳史さん・倉地宏晃さん(それぞれ本イベント参加3度目)に、お話を伺いました。

徹底した現場主義、サーベイを通じてディーラーの声を聞く

日本で育ち、世界に認められたKUBOTAブランド。クボタの製品開発は、堺製造所の技術本部を中心に行われています。駐在員として活躍中の原本さんはトラクタ技術部、倉地さんは建設機械技術部からテキサスに派遣されています。日本での開発が主体であることに、ディーラーをはじめ米国のカスタマーとの距離を感じられるかもしれません。また、現地のニーズに対応するには言語の壁もあり、米国内の競合と比較して多少のハンデも懸念されます。それらを乗り越え、どのようにしてコンパクトトラクタや小型建機の北米市場を躍進しているのでしょうか。

「ディーラーから有意義なヒアリングができました」と倉地さん

「新製品や現行機種への改善要望、クボタのラインナップにない製品の導入希望、他社情報など、ディーラーから有意義なヒアリングができました」と倉地さん。

ミッションを語る原本さん

「ディーラーの方々に、新製品の特長や他社優位性を理解のうえ、自信をもって販売していただくためのフィールドデモです」とミッションを語る原本さん。

「私たちの強みの一つは、サーベイと呼んでいる、ディーラーやカスタマーの現場に出向いてのヒアリング活動です。NDMでも『クボタはエンジニアが頻繁に現場を訪ね、ディーラーの意見に耳を傾けて、次期製品に反映してくれる』とご評価いただきました。これは先輩技術者たちが長年実践してきたことで、もはや当然の感覚。実際の使われ方を知らないと、改善や他社との差別化ポイントが分からず、ディーラーやカスタマーの期待値と差が生じてしまいます。それでは苦労して開発したものが、売れない機械となってしまうでしょう。サーベイはクボタの技術を根底から支える、真摯な姿勢と機動力を特徴づけるものといえます」(倉地さん)。

「アメリカに駐在していても、全米は自分で回り切ることのできない広さですから、あらゆるエリアのディーラーが一堂に会するNDMは、ギャップを埋める絶好の機会です。日本あるいはテキサスの拠点近郊にいては知ることができない、各地からの意見に触れることで、さまざまな要望や時代に即した相談にも適切に対応できます。現場へ直接赴くのとは異なるものの、私たちが大切にしている、ユーザー視点での開発業務に十分役立ちます」(原本さん)。

工場内での精緻なモノづくりにとどまらず、研究開発の分野でも“現場主義”を徹底するクボタ。カスタマーが欲する製品を実現するために、真に求められるのは、現場での技術対応も研究開発も牽引できるエンジニアです。今日グローバル化が進み、ディーラー網やカスタマーは世界中に拡がっていく一方で、現場と密接に関わって理解をもつ機会を捻出することは、難しくなっています。ニーズを知り、技術を有し、いかに現実的な製品を創り出すか――全米、そして日本からの期待が、KTCのパフォーマンスに注がれます。

駐在員とKTCローカルスタッフが切磋琢磨するチーム

現地でクボタが高い顧客満足度とマーケットシェアを保持している背景には、もう一つの強みがあります。それは、高度な技術と製品知識をもつ駐在員がリーダーシップを執ってローカルスタッフを育て、切磋琢磨しながら開発やサービス業務に取り組む風土です。

「日本の技術本部にいるエンジニアと私たちのような数人の駐在員だけでは、北米市場にマッチした製品開発など、とても及びません。アメリカのニーズを知っているのは、やはり本国在住のアメリカ人。ローカルエンジニアに備わるマーケット側からの経験・知識と、駐在員の確かな製品知識と技術力を良い形で合わせることによって、ディーラーやカスタマーに受け入れられる製品・サービスが生まれると確信しています。また、NDMのデモンストレーションは、ローカルスタッフが中心となって作り上げます。現地の土壌や用途を体得している彼らから学ぶことは多く、チームワークのたびに新たな発見がありました」(原本さん)。

「ローカルエンジニアの大胆な発想やスピード感には、学ぶところが多いですね。お互いに敬意を払いながらKTCのチームとして共同作業をしていくことが、製品・サービスの向上、延いてはKUBOTAブランドの浸透に繋がっていると思います。
NDMのフィールドデモは、各製品に携わるローカルスタッフが一丸となってつくり上げます。今回、直前にハプニングがありました。テキサス州とアリゾナ州の土壌の違いで、準備していた建設機械のデモ内容のうち、一つが想定通りの結果にならなかったのです。製品の特長や他社優位性をその条件下で伝え切るにはどうするか、直前まで彼らと試行錯誤を重ねました。フィールドデモの成否が受注の明暗を分けるため、必死の対策を講じたことはチーム成長の糧となりました」(倉地さん)。

さて、トラクタやユーティリティビークルなどの本機以上に、多くの問い合わせを受けているのが、アクセサリー品。NDMのフィールド/展示会場でも、アタッチメントやインプルメントに関する反響は顕著でした。それらの製品あるいは部品の選定・調整は、現地採用のアメリカ人エンジニアの貢献によるところが大きく、カスタマーの志向・使い勝手を的確に捉えた成果が現れています。今後の新製品開発に際しては、本体だけでなくオプション品とのセットで競合他社との差別化を図ることも、検討される可能性が出てきました。

「現場やNDMに赴くと、時にはディーラーから厳しい意見もいただきます。それは、クボタが期待されているからこそ。真摯に受け止めて製品・サービスに反映し、さらなる信頼を全米から獲得していけるよう、ローカルエンジニアと力を合わせて邁進したいと思っています」(原本さん)。

次年度ラインナップに関連するサービスの拡充、その先の製品開発を見据えています

参加者総勢3,000人の興味関心と高い満足度が伝わる5日間でした。KTCは既に、次年度ラインナップに関連するサービスの拡充、その先の製品開発を見据えています。

繋がりを欲するディーラーの参加率は、ほぼ100%でした

NDMの副題は、Kubota Connect。「クボタをもっと知りたい。クボタのエンジニアに伝えたいことがある」と繋がりを欲するディーラーの参加率は、ほぼ100%でした。

KTC人事担当に聞く

「現地を知り、日本の技術部門との北米市場の架け橋に」

日本の技術本部で経験と実績を積んだ駐在員エンジニアと、KTCのローカルエンジニアとでは、クボタ製品の知識にひらきがあり、今後も引き続き、駐在員によるリードは不可欠です。原本さん・倉地さんのように、「海外赴任先で、積極的にローカルスタッフや全米各地のディーラーと協力し、現地のニーズを汲む良い製品を開発したい」という気概のある方には、ぜひ駐在員となって、一緒に北米のマーケットに挑んでほしいと思います。
日本からの出張ベースでも、一時的に似たような経験はできます。しかし、短期の出張と居住は異なり、アメリカに住んで生活様式を体感しながら、日常の製品やサービスの使い勝手、アメリカ人の志向などへの理解は深まっていくものでしょう。グローバル市場で優位を保つには、製品力にとどまらず、サービスや付加価値・ブランドなど、企業の総合力が要求される時代を迎えました。帰国後は現地ユーザー視点で研究開発に携わり、 日本からプロジェクトをサポートしてくれることを期待しています。

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