クボタサンベジファームで働く障がい者スタッフ

2021 . 11 . 29 / Mon

PEOPLE

一人ひとりの違いを新しい価値に変える「個」に寄り添う
クボタの障がい者雇用

文・写真=クボタプレス編集部

昨今、さまざまなメディアで「ダイバーシティ(多様性)」という言葉が使われています。

ダイバーシティは今や、社会・組織で非常に重視されている概念です。持続的な成長のためにESG(環境・社会・ガバナンス)に重きを置いた経営をめざす企業は、「ダイバーシティ・マネジメント」に力を入れ、企業が従業員の個性を活かしてさまざまな価値を生み出そうとしています。

今回のクボタプレスでは、このダイバーシティ・マネジメント実現に向けた取り組みとして、クボタグループにおける障がい者活躍の環境づくりにスポットライトを当てていきます。

ダイバーシティを推進するクボタ

ダイバーシティの推進は、クボタのESG経営において重要な項目です。

クボタは国籍や人種をはじめ、言語や文化、性別、価値観などの異なる人材が活躍できる機会の創出に力を入れており、障がい者雇用もそのうちの一つです。国内のクボタグループでは2015年以降、障がい者雇用率が年々上昇しています。

国内のクボタグループ適用会社における障がい者雇用の推移を表したグラフ

クボタグループにおける障がい者活躍の場の一つとなっているのが、特例子会社*1であるクボタワークス、クボタサンベジファームです。

*1 障がい者の雇用の促進および安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別に配慮をした子会社。


クボタワークスはクボタグループ各社から仕事を受注し、主に名刺や文書の印刷、オフィスサポートや清掃業務を実施。クボタサンベジファームは地域との共生や遊休農地の活用をめざし、水耕栽培による安心・安全な野菜づくりを行っています。

両社がめざしているのは、一人ひとりの特性に応じた働きやすい職場づくりと自立支援です。これらを実現するためにどのような取り組みがなされているのでしょうか。

障がい者が活き活きと働ける環境づくり

クボタワークスでは、働く障がい者の自立をサポートする指導者が重要な役割を担っています。同社のオフィスサポート部に所属する社会福祉士の森實聡子さんもその一人です。

「一人ひとりのスタッフが安心して働くための環境づくり、各人の困りごとへのサポート、業務指導、請け負った業務の調整が指導員の主な役割です」(森實さん)

クボタ阪神事務所でインタビューに応じる、クボタワークスの森實聡子さん

森實聡子(もりざね さとこ)さん。就労移行支援事業所を経て2018年にクボタワークスに入社。日々の細やかなコミュニケーションを通じて、障がい者スタッフを全面的にサポートされています。

森實さんがクボタワークスに入社して最初に取り組んだのは、スタッフがより働きやすい環境づくり。中でも重視したのが、スタッフが円滑に業務を進めるためのコミュニケーション方法を職場に浸透させることでした。

「たとえばオフィスサポート部では発達障がいをお持ちの方も働いていますが、スタッフたちの中には口頭だけの指示を記憶したり、的確にメモしたりすることが苦手な方がいます。そこで、周りの人には必要なことを簡潔にゆっくり話すことを心がけてもらったり、長い説明はホワイトボードやレジュメで視覚的な工夫をして伝えてもらうようにしています」(森實さん)。

チームでの働き方が自主性を育む

2017年は2名だったオフィスサポート部の障がい者スタッフも、今では55名が働いています。指導員に対し、障がい者スタッフの人数が増えてきた中で導入されたのが、チームによる働き方でした。阪神事務所のオフィスサポート部で働くスタッフたちは3人でチームを組み、週に1回のミーティングを設けて、自分たちで仕事の役割や進め方を決めています。難しい業務はチームメンバーで助け合ったり、得意な人が積極的に引き受けるなど、それぞれの適性に合わせながら業務を遂行しています。

「チームで働く上では、スタッフ同士でお互いの特性を理解し合うことが大切です」と語るのは、クボタワークスの総務部門に所属する精神保健福祉士の横溝香苗さんです。

クボタ阪神事務所でインタビューに応じる、クボタワークスの横溝香苗さん

横溝香苗(よこみぞ かなえ)さん。精神障がい者を対象にした職業訓練や職場定着支援に携わったのち、2018年にクボタワークスに入社。クボタ本社、本社阪神事務所、東京本社の3拠点で、障がい者がより能力を活かして働くことができる職場づくりを行うための橋渡し役を担われています。

横溝さんが例として挙げたのは、作業マニュアルを作成するケース。クボタワークスではスタッフがディスカッションをしながら、自分たちが使うマニュアルを作成しています。

「スタッフたちにとってはエネルギーが必要な作業ですが、真摯に取り組みながら意見を交わしています。ディスカッションの中でお互いの適性を把握し、フォローすべき部分を理解し合いながらチームでマニュアルを作り上げているのです」(横溝さん)

クボタ阪神事務所で、ホワイトボードを使いながらコミュニケーションを取る障がい者スタッフたち

オフィスサポート部では、指導員やスタッフたちがホワイトボードを活用し、綿密なコミュニケーションを図りながら業務を進めています。

チームでの業務を円滑に進める上では、指導員の舵取りも重要になります。「当初、ミーティングを開いても誰がどのように発言していいのかわからず、ミーティングが成立しないことがありました。そのため、最初は指導員がファシリテートしたり、他人を攻撃せずに自分の意見を伝えるアサーティブコミュニケーションを身につけていただきました」と森實さん。今では自分たちだけで司会や書記を決め、順番に発言する自発的なグループワークのスタイルが身についています。

指導員のサポートとグループワークが生み出す安心感

こうした指導員の細やかなサポートによって、安心感を持って働くことができるという声が多く聞かれます。

ある方は「クボタで働こうと思ったのは、指導員がいることが大きかったです」と話します。障がいを抱えながら仕事を行うことに不安を感じていたため、業務だけでなく障がいの面でも相談できる指導員の存在は心強く感じられるようです。

またある方は、「仕事をする際には必ずチーム全員で進めるため、一人で不安を抱えながら仕事をすることがない」と言います。「業務でイレギュラーが出た際にも、チームの皆さんや指導員の方がいつでも相談に乗ってくださるので、常に安心して仕事ができていると感じています」。こうした環境づくりによって、オフィスサポート部のスタッフの定着率は約90%に上っています。

農福連携を実現するクボタサンベジファーム

障がい者と地域社会のつながりを生み出すという点においては、クボタサンベジファームが大きな役割を果たしています。

大阪府南河内郡河南町にあるクボタサンベジファームは、水菜やレタス、ほうれん草といった作物を知的障がい者が生産しています。パレットに種をまく播種、スポンジ状の苗に植え付ける定植、成長した野菜の収穫といった集中力が求められる細かい作業も、スタッフたちは根気よく徹底的に続けることができます。

クボタサンベジファーム内のビニールハウスで収穫作業を行う障がい者スタッフ

クボタサンベジファームのビニールハウスで、丁寧に収穫作業を行うスタッフ。

クボタサンベジファームで生産された農作物は従来、クボタグループ社内で販売されていました。それが2021年からは近隣にある障がい者支援学校や「道の駅かなん」に卸され、たくさんの人々の元に届けられています。

道の駅かなんに並ぶ、クボタサンベジファームで収穫されたリーフレタス、ほうれん草、水菜

道の駅かなんでは、クボタサンベジファームで生産された野菜が露地栽培の市況価格と同じ値段で販売されています。

道の駅かなんの駅長・石原佑也さんは「農福連携と言われる昨今、障がい者の方の雇用に少しでも寄与できればと思い、農作物を置かせていただいています。たくさんのお客さまに購入いただいていますよ」と話します。クボタサンベジファームの野菜は多くの消費者に受け入れられ、地産地消につながっているのです。

障がい者が活躍できる場の拡大をめざして

障がい者雇用を継続するためには、障がい者の働く場を拡大していくことが重要です。「昨今の企業は利益の追求だけでなく、社会的責任を果たすことも求められています。クボタグループもそれは変わらないことをグループ各社に説明し、グループ全体で障がい者が働く場を作っていく意識が浸透してきています」と話すのは、クボタワークスとクボタサンベジファームの代表取締役社長を務める増田卓司さんです。

クボタ阪神事務所でインタビューに答えるクボタワークスおよびクボタサンベジファーム代表取締役社長の増田卓司さん

増田卓司(ますだ たくじ)さん。損害保険会社、自動車メーカーを経て2013年8月にクボタに入社。工場などで人事領域を中心に担当したのち、ダイバーシティ推進室長などを経て現職に就かれています。

特にクボタグループから業務を受注するクボタワークスでは、グループ各社からどれだけ仕事を受注できるかが、働く場の拡大に大きく関係します。グループ内の障がい者活躍に対する理解は、その土台となっているのです。

一方で、クボタワークスとクボタサンベジファームも、子関連会社からのさらなる業務受注や生産物の品質向上を実現するため、スタッフの業務レベルの向上に取り組んでいます。

「清掃では、プロに指導を受けてさらなる上達に努めています。ゆくゆくはクボタの事業所全体の清掃をクボタワークスでできたら良いですね。オフィスサポートでは日々の業務に加え、障がい者スタッフが職場などで培った技能を競うアビリンピックでのメダル獲得もめざして練習を重ねています」と増田さん。クボタサンベジファームについても「農作物を販売できる場所をどんどん広げていきたいです。そのためにも、品質を保証するGAP認証*2を取りたいと考えています」と展望を語ってくださいました。

*2 食品安全・労働環境・環境保全に配慮した、持続的な生産活動を営む農場や企業に与えられる認証。GAPとはGood Agricultural Practice の略。


周囲の理解を得るだけでなく、スタッフ自身も自らの業務の質を向上させようと、日々努力を重ねています。

編集後記

障がい者の活躍は、単に雇用して終わりというわけではありません。会社として小さなことから一つずつサポート体制を整えることで、個々が活き活きと働くことができる場の創出や自立支援につながります。

その根底にあるのは、一人ひとりの「個」を認め、障がい者が自信を持って業務を行うための取り組みに労を惜しまない姿勢ではないでしょうか。一つ一つの取り組みの積み重ねによって、新しい価値を生み出していき、多様な人材が一体となっていくことが大切であると実感した取材でした。

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