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これからのワークスタイルを考えるより働きがいのある職場へ
加速するオフィス改革
2022 . 02 . 15 / Tue
文・写真:クボタプレス編集部
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの働き方は一変しました。在宅勤務を余儀なくされ、対応に奔走した企業も多かったのではないでしょうか。
不確実性が高まる世の中で、企業には環境、社会、ガバナンスに配慮しながら持続的な成長をめざす「ESG経営」が求められています。このESG経営の源泉となる従業員の働きがい向上をめざして、クボタは2020年7月からオフィス改革プロジェクトを開始しました。今回のクボタプレスでは、その一つとして位置づけられるクボタ東京地区のオフィス改革に迫ります。
多様な働き方ができるオフィスをめざして
クボタの次なるワークスタイルを作り、従業員の働きがいやパフォーマンスの向上、会社の生産性向上を実現するために立ち上げられた「KOX(Kubota Operation Transforming)プロジェクト」。その先陣を切って行われた東京地区のオフィス改革では、3つのテーマが掲げられました。
東京地区オフィス改革 3つのテーマ
- グループ一体経営におけるシナジー効果の創出
- 働き方の多様性を取り入れたオフィスの構築
- ペーパーレス、ペーパーストックレスの徹底
このオフィス改革の狙いは、都内に点在していた子会社を含むオフィスを東京本社に集約してシナジー効果を生み出すことと、ペーパーレス化することで空いたスペースを活用し、従業員の働く環境を整えること。改革後のオフィスには、多様な働き方ができる空間が生まれました。
オフィスを集約したことで、東京本社の在籍者数は以前の約1.4倍に膨らみましたが、削減率約80%という徹底したペーパーレス化によって、キャビネットや袖机、固定席を削減。空いたスペースにワークエリアを設け、全従業員が出社しても業務ができるようにしました。ペーパーレス化によって生まれたスペースは約700m2、コンビニ5店舗分に相当します。オフィス環境に加えて、フリーアドレスの導入や在宅勤務制度の見直しも行われました。
従業員の声から生まれた新たな課題
今回のオフィス改革で描いた、働きがいのある企業としてのオフィス像とはどのようなものだったのでしょうか。
2021年まで東京総務部長(現、久宝寺事業センター所長)を務めた国政瑞樹さんは、「働く時間や場所を選べるABW(Activity Based Working)という働き方を実現したいと考えました。生活も仕事も充実させながら、一人ひとりが主体性を持ってチャレンジできる環境をめざしています」と話します。
ABW実現のためにオフィス環境と働く制度が整備された一方で、今回のオフィス改革に対して従業員からさまざまな意見や要望が寄せられたと話すのは、当時総務部課長としてプロジェクトをけん引した佐野順さんです。
「グループ会社間の距離が物理的に近くなったことで、相談や連携が非常に容易になったことが大きな成果の1つです。一方で、フリーアドレス化により、誰がどこにいるのかわからなくなったという声も多く寄せられています。この課題に対しては、スマートフォンでQRコードを読み取ることで自分の居場所が他の人にもわかるようにするなど、ITを導入したりしながら解決を図っていこうとしています」(佐野さん)
コミュニケーション面における成果と課題の両面が浮かび上がった改革後のオフィス。この中で総務部が今後取り組もうとしているのが、従業員同士のコミュニケーション機会の醸成です。
Withコロナの時代に考える、出社する目的
クボタでは以前より在宅勤務制度が整えられていましたが、コロナ禍以降に本格活用が進み、多くの企業と同様に、急速に在宅勤務が浸透していきました。リモートワークが定着しつつある中で、あえて会社に行く意義を伺うと、佐野さんはある企業に視察に行った際の出来事を話してくださいました。
「コロナ禍でオフィス改革を行ったモデル企業に見学に行きました。その会社には、照明やモニターなどすべてが揃った完ぺきなソロワークエリアがある一方で、人が多かったのは、従業員が好きなところに座って時折雑談しながら仕事をするエリアでした。担当者の方から『当初はソロワークエリアが人気でしたが、自宅でも同じことができるためか、利用する人はどんどん少なくなっていきました』とお聞きして、そうか、会社はコミュニケーションを取りにくる場所なんだと改めて実感したのです」(佐野さん)
佐野さんは視察後、ソロワークエリアを広く取っていたオフィスコンセプトを一転させ、コミュニケーションが取れるエリアを拡大させました。
「従業員同士のつながりによって、自由な発想やイノベーションにつながるきっかけが生まれるのは、会議や打ち合わせよりもっとカジュアルなコミュニケーションが取れる空間なのだと思います」(佐野さん)
国政さんも、仕事においては従業員同士のコミュニケーションが重要という考えを強く持たれています。「今回のオフィス改革で、従業員同士の物理的な距離を近づけて、偶発的なコミュニケーションが生まれる場を提供することができたと思います。今後は、より一体感を強める仕掛けが必要だと考えています」と、この先に取り組むべきことを語ります。
以前は従業員のコミュニケーションを深める機会として文化体育活動などを開催してきましたが、現在はコロナ禍によりストップしているとのこと。
「仕事でしか会わない人、顔は見たことがあっても話したことがない人は、社内にたくさんいます。そういった従業員同士がコミュニケーションを取れる場の提供を私たちが創出していきたいと考えています。従業員間のつながりが生まれることで、積極性や生産性の向上にも結びつくと信じています」(国政さん)
若手がいきいきと働く会社にしたい
インタビュー終盤、お二人が口を揃えて答えてくださったのが、若手がいきいきと働ける場所にしたい、という思いでした。
「若い方は、自分の好きな場所でどんどん働く柔軟性を持っています。彼らが活躍できる環境を我々が整えますので、これからのクボタグループを背負って立つ20代、30代の方たちが中心となって、たくさんのアイデアやシナジーを生み出していってほしいと思います」(佐野さん)
「クボタでは、1 on 1ミーティングを行ったり、課長と従業員の間にセクションリーダーを置くなど、従業員をケアする仕組みを整えています。若い方々が自身のやり方でいきいきと働き、これからのクボタに魅力を感じて、それを社外に発信していただきたいと思います」(国政さん)
大きなオフィス改革こそ一段落したものの、新たに生まれた課題や要望に対しては「一歩ずつ、誠実かつクイックに対応していきます」と国政さん。若手、そして全従業員がいきいきと働く環境を創り上げるために、総務部のオフィス改革はまだまだ続きます。
編集後記
プロジェクト発足からわずか1年3カ月で行われたオフィス改革。その背景には、プロジェクトチームやグループ会社の尽力がありました。
佐野さんは「グループ会社の総務課長や実際の業務に携わられた方々、従業員の方々、そしてプロジェクトの事務局員の協力なしに、今回のプロジェクトの推進はなし得ませんでした。良いチームで取り組めたこと、各セクションのキーパーソンが前向きに取り組んでくださったことに心から感謝しています」と振り返っていました。
時代に即した働き方を取り入れ、できる限り多くの従業員が働きやすい環境を整える。働きがいのある会社にしようという、強い思いが形になったと実感した取材でした。