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そもそもコンバインって?独自の進化で、農業生産性を劇的に向上させた立役者

2017 . 08 . 31 / Thu

独自の進化で、農業生産性を劇的に向上させた立役者

文:クボタプレス編集部

収穫の季節を迎えた田んぼや畑で活躍する、コンバイン。現代の農業にとって、 大地が与えてくれた実りをいただくために欠かせない、非常に重要な農業機械です。ただ、「稲や麦などを刈取りしたり、脱穀したりする機械」とは一応わかっているものの、それ以上のことをあまり知らないという方も、少なくないのではないでしょうか。そもそもコンバインって? 農業はコンバインの登場でどう変わった―― ?

コンバインには「普通型」「自脱型」の二種類がある

コンバインとは、一台で刈取・脱穀・選別の機能をもった農業機械のこと。刈取機(バインダー)と脱穀機を組み合わせた収穫機械で、combine(harvester)= コンバインと呼ばれます。

いま日本で活躍しているコンバインは、主に稲や麦の収穫に 使われる「自脱型コンバイン」と、アメリカやヨーロッパの大規模農業で使われて普及・発展し、稲・麦・大豆のほか、そばや小豆、菜種や雑穀など幅広い作物に対応する「普通型コンバイン」のふたつに大別されます。

1950年代後半(昭和30年ごろ) 、欧米で使われている大型の普通型コンバインが、農林省[ 現在の農林水産省]によって日本へ輸入されました。 普通型コンバインは、刈り取った作物全体(茎や葉も含む)が脱穀機を通過して、最後に穀粒だけが回収される構造です。それでは穀粒のロスが多く、当時まだ広く利用されていた稲ワラも使えなくなってしまいます。また、大型のボディは、狭くて地盤も軟弱な日本の水田だと走行しづらい場合もありました。

海外でもよく見られる普通型コンバイン、作物の全体を刈り取ります

一方、刈り取った稲の穂先だけが脱穀機を通過して脱穀・選別される仕組みの自脱型コンバインであれば、穀粒や稲ワラのロスが比較的少なくて済みます。そのような国内農業のニーズを背景に、国産の自脱型コンバインの試作1号機を農林省農事試験場の狩野秀男氏らが、1962(昭和37)年に開発。以降、国内農機メーカーによって自脱型コンバインが次々と開発され、改良を重ねながら高度成長期の日本全国に普及していきました。

日本の農業を変えたコンバイン 稲刈りと脱穀の労働時間は19分の1に短縮

コンバインとそれに先駆けて普及したバインダー(刈取機)は、日本の農業の生産性を飛躍的に向上させました。農林水産省の農業経営統計調査で、米づくりの作業別労働時間(10aあたり)*の「稲刈り及び脱穀」の項目を年代別に見てみましょう。

まだ日本の農家がコンバインを使っていなかった1960(昭和35)年、稲刈りと脱穀にかかる時間は、10aあたり57.4時間です。この頃は、稲刈り→はざ掛け(天日干し)→脱穀の工程をほぼ手作業で行っていました。

1960年代後半(昭和40年代)になるとバインダーの普及が進み、1970(昭和45)年時点で、35.5時間と一気にほぼ半減。70年代には、刈取りに加えて脱穀・選別もできるコンバインの普及が本格化します。それを受け、1980(昭和55)年には14.7時間まで大幅に短縮。2015(平成27)年にはわずか3.01時間に至り、コンバインがまだなかった時代 の実に19分の1まで短縮されました。また、手作業で発生していたモミこぼれによる収穫ロスは、コンバインで収穫することで改善されました。

年代別10aあたりの刈取り・脱穀にかかる時間と作業の内容の推移

ほどなく、稲以外に麦や大豆・そばなどの畑作でも、コンバインの普及によって同様に労働時間の短縮が実現。併せて、田植機やトラクタといった農業機械の普及も進み、農業の生産性はいっそう高まりました。農家は重労働が軽減され、家族や親戚を農業に総動員する負担から解放されたのです。農家の子弟などが農村から都市へと出ていき、日本の高度成長を支える貴重な力となりました。

一連の流れで “週末農業”という農業の兼業化が可能になり、農村部での工場や企業などの働き手も増加。一農家あたりの作業可能面積が拡大したことは、今日の大規模稲作農業にもつながっています。

第1号機から半世紀 クボタコンバイン販売50年記念スペシャル機が登場

日本の農業と担い手農家を長きにわたって支え続けてきた、コンバイン。歴史を再び 振り返ると、クボタが自脱型コンバイン第1号機「HT125」を発売したのは1968(昭和43)年にさかのぼります。4条刈りの前面刈りタイプで、ほ 場のどの方向からでも作物を刈り取れる、国産の自脱型コンバイン黎明期におけるエポックメイキングな機種でした。

そして、「HT125」の登場から50年目を迎える今年、2017年 。クボタは、半世紀にわたってクボタコンバインとともに歩まれた農家の皆さまへの感謝を込め、クボタコンバイン販売50年記念スペシャル機を発売しました。

最大の特長は、省力化・快適性を追求した機能を装備しつつ、お求めやすい価格を実現している点。これまでの機種でも搭載され、好評をいただている「楽刈3点セット」(楽刈ボタン・全面楽刈・楽刈フィット)も装備しています。

HT125

HT125

ER215スペシャル機(2条刈15.5馬力)

「楽刈ボタン」を使えば、刈取作業開始時のエンジン回転調整、脱穀クラッチ入り、刈取クラッチ入り、自動こぎ深さオンをボタン操作ひとつで行うことができます。さらに 、従来機よりも機体幅を小さく設計して刈幅を大きくしたことで、どこから刈っても未刈株を踏まずに済み、ほ場の入り口・四隅・あぜ際など、今まで手刈りしていたところもコンバインで刈ることが可能(「全面楽刈」)。加えて、デバイダ下部に装備した「ソリ」と刈取部を支える「サポートスプリング」の効果によって、刈取部の地面への突っ込みが抑制されます (「楽刈フィット」)。

高い次元での作業スピードと精度を実現する“優秀さ”と、煩わしい操作からの解放や快適性、安全性がもたらす“便利さ”―― 。1968年から50年が経過したいま、コンバインに求められている要素が凝縮された、クボタコンバイン販売50年記念スペシャル機。農家とともに進化を重ねてきた、日本のコンバインの歴史を背負う特別な一 台と言えそうです。

【脚注】
* 農林水産省 農業経営統計調査 農産物生産費

【参考資料】
米生産費の全国農業地域別・年次別・作業別労働時間[10a当たり]
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001014632&cycode=0
公益社団法人発明協会 戦後日本のイノベーション100選
http://koueki.jiii.or.jp/innovation100/index.html
日本大百科全書(ニッポニカ)
http://japanknowledge.com/contents/nipponica/index.html

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