この度、石綿疾病に関する医療支援構想の概要がまとまりましたので、下記の通りお知らせいたします。
記
1.支援の背景
当社は、見舞金・弔慰金のお支払いの機会などを通じて、中皮腫の治療を受けておられる方々やご家族、ご遺族の皆様方から、ご意見やご要望をお聞きしてまいりました。極めて厳しい中皮腫治療の現状、有効な治療法を早く確立して欲しいこと、有効な新薬開発を行って欲しいこと等切実なご意見やご希望を聞かせていただきました。
当社は、行政等への情報開示、見舞金・弔慰金制度、救済金制度に加えて、医療支援を具体化し、臨床・基礎研究の助成を通じて、かつて石綿を扱ってきた企業としての社会的責任を果たしていきたいと考えております。
2.支援先と治療・研究概要
(1)兵庫医科大学
研究プロジェクト『予後向上を目指した中皮腫治療の包括的臨床研究プロジェクト』
○支援概要:極めて難治性の中皮腫に対する治療法の確立と予防法の開発を目的として
同大学が実施する研究プロジェクトに対する寄付行為。
○期 間 :本年度から10年間
○寄付金額:総額 12億円(初年度 設備関係費2億円を含む)
(2)大阪府立成人病センター
研究プロジェクト『アスベストによる悪性中皮腫及び難治性の肉腫に対する革新的治療
法の開発研究』
○支援概要:同センターが大阪大学等と連携しながら推進する悪性中皮腫細胞だけを攻
撃するよう操作した腫瘍溶解性ヘルペスウイルスの研究開発プロジェクト
に対する寄付行為。(本研究は、同センターの研究者が組織する「肉腫中
皮腫先端治療研究センター」が(財)大阪成人病予防協会データセンター
からの研究助成を受けて推進するプロジェクト。)
○期 間 :本年度から5年間
○寄付金額:総額 5億円
3.支援先の選定理由
中皮腫は、全国でも大阪府と兵庫県に多発し、現在、多くの方が治療を受けておられます。両地域にあって、中皮腫の治療を多く手掛ける医療研究施設である兵庫医科大学と大阪府立成人病センターの中皮腫治療に関わる研究プロジェクトに対して支援いたします。
(1)兵庫医科大学
尼崎市に隣接する大学病院として、地域に根ざした中皮腫の中核的医療研究機関としての
役割を担っています。中皮腫に対する早期診断方法と治療方法の確立、及び発癌予防の実
現化に向けた研究を行なうことにより、社会的・医学的使命を果たしたいとの趣旨に賛同
し、支援させていただくこととしました。
(2)大阪府立成人病センター
大阪府のがん診療拠点病院であり、研究代表者らは肉腫標的破壊ウイルス開発の研究実績
があります。新規治療法の開発に向けた本プロジェクトは、治療に難渋している肉腫型悪
性中皮腫に的を絞った、独創的で臨床応用に近い研究であると考え、支援させていただく
こととしました。
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