GLOBAL INDEX
March 2015

FEATURE
"Myanmar"

05

農業の機械化で
ミャンマ ーを支える

ミャンマーの農家で人気のクボタコンバイン

ミャンマーの“農業”の基礎データ

農業はGDPの約4割を占め、就業人口の約6割が従事。
コメ栽培面積 635万ha(ベトナム782万ha 、カンボジア295万ha)
コメ収穫量 2.52t/ha(ベトナム5.60t/ha、カンボジア2.41t/ha)※精米ベース
コメ生産量 1,067万t(ベトナム2,765万t、カンボジア460万t)※同上
耕地面積に占める灌漑面積 18%
農作物輸出上位品目 乾燥豆(61.1%)、ゴマ(11.6%)、ヒヨコ豆(7.4%)、トウモロコシ(6.3%)、精米(3.4%)
(以上、JICA資料より)

ミャンマー農業の機械化を推進するAMD

ミャンマーの経済成長のためには、就業人口の約6割にも及ぶ農家の収入を上げることが至上命題だ。

ここでミャンマーの農業事情を記しておく。食糧管理制度はなく、自由に作物をつくり、売ることができる。主な農作物はコメ。三毛作として、コメ、豆、コメとつくる例が多い。これは単一作物により土壌が劣化するのを防ぐためであり、最近では、豆が輸出され高値を付けていることもある。畑作としてはピーナッツ、ゴマなど油が取れる作物やサトウキビ。未だ開拓の進んでいない土地も多く、政府はここに野菜やマンゴーなどの栽培を推進している。

コメの栽培面積・収穫量をミャンマーより機械化が進む隣国ベトナムと比較すると、栽培面積は635万haと約0.8倍の広さを誇るが、収穫量は2.52t/haとベトナムの約半分。さらに最近は、建設ラッシュが進む都心部に若年層の労働力が流れる傾向にあり、農業を魅力ある産業にするためにも、農業の効率化が渇望されている。

現在の機械化率は、機械化を推進しているネーピードー特別区でようやく、土を耕す機械が50%程度で、収穫する機械に至っては10%程度。トラクタは45馬力が主流だが、75〜90馬力のニーズも高まってきている。

クボタは、タイのサイアムクボタコーポレーション(SIAM KUBOTA Corporation Co.,Ltd.:以下、SKC)を通じて、農機を農業機械化局(Agricultural Mechanization Department:以下、AMD)や国内ディーラーに販売している。ミャンマー農業の機械化の状況を聞くためにAMDを訪ねた。AMDは農業灌漑省にあるミャンマー農業の機械化を推進する行政機関で、ネーピードー特別区、7州、7管区と全国を15地域に分けて管轄し、117カ所のトラクタステーションを持つ。副局長のパレ・マウング氏が語ってくれた。

左から、AMDの副局長:パレ・マウング氏、ディレクター:ウ・コ・コ・マウン氏、副ディレクター:ウ・アウン・ウイン氏

「AMDの業務は大きく分けて4つあります。まず、トラクタやコンバインの農機を購入し、賃料を取って買えない農家に貸し出すサービス(一部販売も行う)。次に、農地改革や土壌改良。さらに、ミャンマーに新しく入ってきた農機の活用研究と流通の整備。最後に、農家の人たちへの農機の技術指導とミャンマー国内企業への製造技術の普及です」

AMDでは、日本のクボタ以外に、中国、インドなどの近隣国メーカーからも農機を購入しているが、「クボタの農機は性能が良く、農家から人気があります。また、タイとミャンマーの農業は似ており、タイに拠点があるクボタからは、タイ式の農業指導も行ってもらっています」(ディレクター:ウ・コ・コ・マウン氏)と、クボタへの評価は高い。

「クボタは1970年代からミャンマーに入ってきているので、農家以外の人もよく知っています」と、この国での知名度の高さも信頼に繋がっているようだ。

現在AMDで稼働しているクボタ農機は、コンバイン、トラクタ。ここ1~2年でAMDに納入された農機のうち、クボタが一番多いという。「国の予算が付けば、トラクタをさらに150台、コンバインを50台増やしたい。農業の機械化が進めば、農家の収入が増え、農家自身が農機を買うこともできるようになる」とウ・コ・コ・マウン氏は、ミャンマー農業の発展に希望を膨らませる。

AMDは、2カ所の研修所を持ち、クボタなどと共同で技術者への集中研修を行っているが、急速に増えた新しい農機、そして、農家からの貸し出しニーズに、アフターメンテナンスが追い付いていない状況が窺えた。クボタに望むことは「技術サポートと、より迅速なスペアパーツの供給体制」という。「農家にもローンが組めるようにできないか」など、農業機械に関するさまざまな相談が持ちかけられる。AMDのクボタに対する期待の高さが分かる。

AMDの外観

クボタが欲しい―農業現場からのラブコール

トラクタステーション No.47所長
ウィン・タン氏

【AMDトラクタステーションNo.47】

農業現場の声を聞くために、我々はトラクタステーションに向かった。最初に向かったのがトラクタステーション No.47。所長のウィン・タン氏はクボタの筑波工場にも訪れたことがある知日派だ。ネーピードー特別区の中で2市を管轄し、対象農地は67,000エーカー(1エーカー:約4,050㎡)を超える。トラクタは約100台、コンバインは約10台を保有する。地区内の約7%の農家に貸し付けを行っている。

「クボタのコンバインは、他社と比べて耐久性があり、農家からもクボタを要望されています。また、この辺は雨期でも乾期でもコメをつくります。刈りにくいとされる短い稲の場合でも、クボタは刈り取りやすい」とウィン・タン氏は絶賛する。

クボタのコンバインはすべてきれいに刈り取れるうえに、脱穀までできると好評だ。このため、ネーピードーでは、コンバインのほとんどがクボタ製だ。

クボタのトラクタが本格的に導入されたのは2012年と、機械はまだ新しい。しかし、トラクタは1年間に約2,000エーカーも稼働し、けん引や耕うんなどさまざまな目的で酷使されるため、スペアパーツの要望が多い。クボタでは、新機種導入時に研修を強化していくと同時に、故障の場合のデータを取ることを指導するなど、メンテナンスの重要性を伝えている。

「建築関係に働き手を奪われ、農家は人手不足となっている。だからコンバインが欲しいという人も増えた。紹介したいが、どこに連絡したらいいのでしょうか?」

我々が取材している最中にもこのような相談事が寄せられた。ミャンマー農業の機械化が加速する勢いが感じられた。

トラクタステーション No.47の管轄農家のみなさん
AMDからトラクタ4台、コンバインが5台貸し出されている。申請した順番に交代で使用する。取材には多くの農家の方が集まってくれた。35エーカーの土地を保有する大規模農家もいる。「土地を売ってでも、クボタの機械が欲しいぐらいだ」という声もあった。

【AMDトラクタステーション No.84】

同じくネーピードー特別区のトラクタステーション No.84を訪ねた。75,000エーカー(農地は約70,000エーカー)、4市をカバーする。保有する農機は、トラクタ約30台、コンバイン約10台である。ここでは、地区内の約10%の農家に貸し付けを行っている。

クボタの評価はこちらでも高く、クボタ農機を導入してからは人気が殺到しているという。

トラクタステーションNo.84では、コンバインの研修を実施して欲しいという要望が出た。農家の人たちが十分に理解するのに、また、一人でも多くの農家に使い方を習得してもらうために、一定の期間の研修が必要だという。農家はみな技術習得に積極的で、本格的な収穫時期が始まる前の10~11月を研修時期として希望している。クボタでは、農機の使い方のオペレーションのみならずメンテナンスの研修も含め、今後もサービスの充実を図っていく。

トラクタステーションNo.84のみなさん
AMDとトラクタステーションNo.84を表すマークが入ったクボタトラクタ