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Kubota
[命の源・水のハンドリング]
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世界の水問題とクボタ



「20世紀の戦争が石油をめぐって戦われたとすれば、21世紀の戦争は水をめぐって戦われるであろう」。当時世界銀行の副総裁であったイスマイル・セラゲルディン(⇒Ismail Serageldin Website)氏がそう警告したのは、1995年だった。それから10年以上が経ち、世紀をまたいだ今、セラゲルディン氏の警告は現実になろうとしている。水資源が枯渇している実態と、拡大を続ける水ビジネスの現状に、クボタの水事業の歴史と展望を重ねた。

世界の水危機とは

 いうまでもなく、水は限られた資源である。地球は「水の惑星」とも言われるが、WMO(世界気象機関)(⇒国際研究計画・機関情報データベース>WMO)によると、地球上に存在する水の97.5%が海水で、淡水は残り2.5%。しかも、その2.5%の大半は極地や氷河の氷で、それ以外の水の多くも水蒸気や雲といった形で大気中にある。私たちが利用できるのは川・湖・降雨などの表流水と呼ばれる水で、それは地球上に存在する水のわずか0.01%に過ぎない(図1)。
 一方、20世紀のはじめに25億だった地球の人口は増え続け、60億人を突破した。国連の予測では2025年には80億人に達するとされている。人口の爆発的な増加は地球規模の環境破壊や水質汚染などを招き、そうした要因が貴重な水資源をさらに減少させる悪循環を止めるための有効な手立てを、今の私たちは持てずにいる。
 水問題にかかわる国連機関と国連条約事務局が共同でまとめた『世界水発展報告書』(注1)によると、人口増加や水質汚染・地球温暖化などが原因で、地球は今世紀半ばに深刻な水不足に直面、影響を受ける人口は、最悪の場合60カ国・70億人に達するという。

〈図1〉地球上の水の量

〈参考資料〉地球上の水の量

〈図2〉安全な飲料水を手に入れられる人の割合

 さらにWHO(世界保健機関)のデータは、世界には安全な飲料水を利用できない人たちが11億人、下水道などの衛生施設を利用できない人たちが24億人もいることを指摘している。その9割以上がアジアとアフリカに集中しており、こうした水の配分をめぐる貧富の差もまた、世界の安定を脅かし、「戦争」を誘発しかねない要因である(図2)。
 巨大河川が国境をまたぐ地域では、水資源の分配をめぐって国際紛争に発展するケースも珍しくはない。例えば、インドとパキスタンの間にはカシミールの領有権を巡る紛争があるが、カシミールはインダス川上流に位置し、その水源が両国にとって譲れない権益であることも紛争を長引かせている。
 そして天然資源としての「水」の希少価値が高まれば高まるほど、石油と同様の市場原理が生まれるのもまた、必然的な現象かもしれない。

(注1)世界水発展報告書
世界の水資源の全体像(直面する状況や必要な対応など)を紹介した報告書。第1版の『Water for People, Water for Life(人類のための水、生命のための水)』(⇒PDFダウンロード)は、23の国連機関と国連条約事務局が作成し、2003年3月の「第3回世界水フォーラム」で発表された。その後、2006年の「第4回世界水フォーラム」(⇒外務省>第4回世界水フォーラム)では、第2版となる『Water, a shared responsibility』(⇒Executive Summary PDFダウンロード)が発表され、世界の水の状況を再評価している。