GLOBAL INDEX 2013 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
24/44

タイの国土面積は日本の約1.4倍である5,131万ha。このうち農地の面積は1,980万haであり、全体の38.6%を占める。日本の農地面積の約4.3倍にあたるこの広い農地が、タイ農業を支えてきた(※3)。また熱帯・亜熱帯の温暖な気候は1年を通じた作物栽培を可能とし、中部平原を中心とする灌漑可能な水田ではコメの二年五作や三期作など、収穫回数も複数回にわたる。しかし、1970年に25.9%を占めていたGDPにおける農業(農林水産業)の比率は、その後の製造業やサービス業などの急速な発展により低落傾向が続いており、2010年には12.4%にまで低下している(※4)。一方製造業はGDPの約34%、輸出額の約90%を占めている(※5)。とはいえ、タイの農業就業者は全体の約42%、約1,600万人にのぼる(※6)。また、穀物自給率は144%を数え、世界でも上位、東南アジア圏では最高位を占める(※7)。現在のタイは確かに工業国としての顔がクローズアップされがちだが、今後のさらなる機械化の普及による農業の発展にも、大きな期待が寄せられている。このタイの農業が機械化に向けて動き始めたのは1960年代以降。機械化といっても、ほとんどが輸入された耕うん機で故障が多い上、交換する部品もなく、タイ政府は農業用エンジンの国産化が急務だと考えていた。一方でクボタは、汎用型耕うん機をタイに輸出し、メンテナンスサービスを提供していた。その実績を高く評価したタイ王室系のコングロマリット「サイアムセメントグループ」は、クボタをパートナーに選び、1978年、合弁会社「サイアムクボタディーゼル(SKDC)」を設立、1980年から農業用ディーゼルエンジンの製造販売を開始する。その後、耕うん機の製造販売、トラクタやコンバインの販売、そして製造へと事業を拡大し、2010年に子会社を統合、新会社「サイアムクボタコーポレーション(以下「SKC」)」として新たなスタートを切った。クボタのタイでの歴史は、タイの農業機械化の歴史そのものといっても過言ではない。節目となったのは2002年。水田向けトラクタとコンバインの販売を開始し市場は一気に爆発、2003年から2008年までのトラクタの販売増加率は40倍にも膨れ上がった。しかし、未だその普及率は全農家の数%程度に過ぎない。現在のタイの農業の本質的な課題は何24タイの経済・生活を支える農業。農家が「幸せの実感」を得るために二期作でたわわに実る稲穂。一般的に二期作は、乾期作(2月~5月)、雨期作(7月~11月)で行われる収穫された大量の米。1日天日干しして精米所に送られ、袋詰めされるタイ・現地化の確立農家のためにⅠⅠ

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です