GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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耕谷アグリサービスで収穫された綿花。真っ白で柔らかい綿花は、東北の農業復興のシンボルだ22農業のREVIVAL「雨水による除塩の取り組み」 耕谷アグリサービスでは今回の除塩以外にも、復旧・復興に向けた様々な取り組みを進めている。その一つが「東北コットンプロジェクト」だ。塩害対策が実施できない被災農地で、“耐塩性”の高い綿(コットン)を栽培するというもの。耕谷アグリサービスをはじめとする農業生産者とアパレル関連業16社が、栽培から紡績、商品化、販売を共同で推進、農業から震災復興を目指すプロジェクトである。綿による“六次産業”の展開ともいえるものだ。 「綿栽培はまったくの未経験、チャレンジする気持ちでスタートしました。現在、プロジェクトは全国的な動きになっており、東北の農業復興の象徴の一つとなりつつあります。綿の真っ白な花は、震災で荒廃した農地に癒やしと勇気をもたらしました。綿栽培を継続していくことで、東北の農地・農業復興の一助になればと思っています。私たちは被災者であるものの、まずは自助努力で一生懸命復興に向けて頑張ることが大切。自らのことは自らの責任で行動し、一歩でも二歩でも前進しなければなりません」 そう語る佐藤氏は、農業経営そのものについても明快なビジョンを持つ。 「震災以降、離農する人も増えたことから、当社の土地の集積率が上がっています。現在の農地面積はおよそ100ha。私たちは、水稲を中心に麦、大豆など2年3作のローテーションで生産効率の向上を図ってきました。これを実践するには個人では限界があります。圃場の拡大、集約化によって点から面へと展開することが、これからの農業に求められています。今後、農業の継続のためには法人化は必要不可欠なものとなるでしょう。それは農業後継者の夢を育むものになると思っています」 耕谷アグリサービスのスタンスは、前章で紹介した相馬市の稲作農家、小島さんの考えともおおよそ一致する。国の支援を待つよりも、自ら変わろうとするその姿勢だ。日本の農業を取り巻く環境は、農家数・農業就業人口の減少、高齢化、担い手不足、食料ニーズの変化、国際化の進展など、多様な課題が山積している。こうした状況での、「東日本大震災」の発災。状況は一層厳しさを増してきたが、ポジティブに考えれば大きく変われるチャンスでもある。 クボタは様々な形で震災からの農業復興支援を継続する中で、今後も、課題解決の提案と実践による多彩なソリューション活動を積極的に展開していく。それが地域農業の発展、そして日本の農業の再生につながると確信しているからこそだ。東北の農業復興に向けた「コットンプロジェクト」課題解決に向けた多彩なソリューション活動の推進

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