GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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0405し、豊かさの象徴である“大量生産・大量消費”の社会を生み出した。その豊かさの実現のために求められたのが経済成長である。先進国はもちろん、それに続く開発途上国が追求した経済成長は、化石燃料の大量消費を推し進めた。この化石燃料の大量消費が、CO2をはじめとした温室効果ガスの急激な増大という事態を招いていることは周知の事実だ。それによって惹起された地球温暖化がもたらす深刻な環境問題は、今や人類が解決すべき最重要課題といっても過言ではない。地球温暖化による影響はすでに多方面で顕わになりつつある。気温や海水温の上昇、海水面の変動、洪水や干ばつ、酷暑やハリケーンなどの頻発する異常気象、生物種の絶滅……さらに水資源の枯渇、砂漠化の進行と森林の喪失、農業・漁業への影響がもたらす食料資源の減少など、地球温暖化は気象や自然環境のみならず、それらと切り結んでいる社会や経済、生活など広範囲に深刻なダメージを与えるものだ。 これら地球温暖化がもたらす環境問題と密接な関係があるのが、食料問題であり、水問題である。20世紀初頭に25億人だった地球人口は、今世紀60億人を突破(2011年現在で69億人)。2020年には77億人、2050年に92億人と増加を続け、それによって地球規模での深刻な食料不足が起こると予想されている。人口増加と連動するように、人類の生存にとって必要不可欠な水も世界各地で不足の度合いを増している。人々が利用できる水は、地球上の水のわずか0.01%にすぎない。世界には安全な水を利用できない人が11億人、下水道などの衛生施設を利用できない人々が24億人いるといわれている。今後の人口増加を考えると、地球規模での深刻な水不足は解決すべき喫緊の課題だ。そして、こうした地球全体の未曾有の危機的変化に歯止めがかからないときに訪れるのは、人類の破局にほかならない。 未来への輝かしき希望と夢を抱いて始まったであろう20世紀とは対照的に、21世紀は、2001年のアメリカ・同時多発テロによる不安と恐怖によって幕を開けた。そのことがあたかも暗示するかのように、21世紀は地球環境問題のみならず、解決困難な課題が山積している。宗教間・民族間の争い、テロリズム、人類を何度も滅亡させることができる核兵器の存在、不治の感染症、南北問題に代表される裕福な国と貧しい国の格差……、その中で人類に今問 WATER
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