GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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4445Special Interview今、人類は決断と覚悟を迫られている 地球温暖化による地球の破局を回避する道は、いうまでもなく温室効果ガスの抑制にあります。世界は、そのロードマップを明確に示しています。すなわち、温室効果ガスの排出量は2015年をピークとしてその後急激に下げ、2050年には1990年比で50%まで減らし、21世紀末には80%減、そして22世紀にはゼロとするものです。しかし温室効果ガスの中でもCO2には大きな問題があります。大気中に放出されたCO2の約25%は、数千年から数万年、大気中に残留するという研究結果が報告されています。つまり仮にCO2排出量をゼロにしても大気中に残留するCO2によって地球温暖化は進行することになります。そのため、まず早急にCO2排出をゼロにする“カーボンゼロ”、さらにCO2を回収して大気中のCO2を低減する“カーボンマイナス”まで視野に入れた取り組みが求められています。そしてその実現のための技術や資金を世界は保有しているのです。しかし、既得権益の確保や経済成長による豊かさへの欲求など、“人間の持つ欲望”が徹底した地球温暖化対策を阻害する要因になっています。したがって、地球や人類・生命を守る取り組みは必然的に本質的な価値観の転換を迫るものとなり、哲学的・倫理的なものにならざるを得ません。人類は“懺悔と回心”によって、地球は絶体絶命の危機的状況にあることを正しく認識することが極めて重要なのです。 悲観的に言えば、今後10年ぐらいで気候の非常事態による破局が訪れる可能性が少なくありません。それを阻止するために欧米を中心に検討されているのが、“ジオ・エンジニアリング”です。これは太陽光を反射させることによって地球の表面温度を冷却するというもので、たとえば成層圏に亜硫酸ガスを年間150万t注入するという方法があります。これによって約3℃の冷却効果が得られるとされています。しかし仮にこの方法が実施されれば、青空や星空は見えなくなり、太陽光発電量は激減、さらに農作物にも甚大な影響が及ぶとされています。地球温暖化対策は、すでに、このような“非常”な側面も顕わになりつつある中、果たして我々日本人はどこまで事の重大さに気付いているのでしょうか。 カーボンゼロからカーボンマイナスへ 求められているのは本質的な価値観の転換
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