GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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ダクタイル鋳鉄合成樹脂塗料層耐食層4041 次世代ダクタイル鉄管「ジェネックス」の開発コンセプトは明確だった。それは「管路布設費の低減」「施工性の飛躍的向上」「長寿命」の実現である。全国の水道管耐震化を促進していくためには、まず管路布設費の低減がポイントとなる。管路布設費の4割を占める土木工事費は、“掘削溝幅”を狭くできれば大幅なコスト縮減を実現する。そのためジェネックスでは、直管の継手構造を新たに開発し、小さな挿入力でも接合を可能とした。その結果、管上のレバーブロック1本の操作で接合ができるようになり、狭い溝幅でも施工を可能としたのである。また同時に、挿入力の低減は、施工性の大幅な向上と工期の短縮化にも貢献。耐震性・水密性を確保しつつ、トータルコストも一般管の布設にかかる費用並に抑えることが実現した。 「長寿命化」の実現に向けてクボタが目指したのは、“100年”の使用に耐えうる耐震管だ。現在の防食方法は、布設現場で厚さ0.2mmのポリエチレン製チューブをダクタイル鉄管の全長にわたって装着するというもの。しかしチューブが破れたときの劣化など懸念材料もあり、鉄管自体で防食性を高めていくことが求められていた。クボタは独自の着眼によって、ダクタイル鋳鉄外面に耐食皮膜を形成することを目指した。従来、耐食皮膜は亜鉛で溶射を行うのが一般的だが、今回クボタは、亜鉛に独自配合のスズとマグネシウムを添加することで優れた耐食性を確保する皮膜を生み出した。さらに、腐食の原因となる皮膜の小さな空隙等を無機粒子で埋める“封孔処理”を施すことで防食持続時間を大幅に向上させた。ジェネックスは一般的な埋設環境(山地を除く国土の95%)において耐食皮膜の寿命70年以上、鉄部の寿命30年以上、管材料として100年以上の寿命が期待できる。 ここまで見てきたように、クボタが生みだした次世代耐震管ジェネックスは、耐震性能を確保した上で、低コスト化や施工性の向上、長寿命化を実現するなど、更新の時期を迎えた日本の水道管路に待望されていた製品といっても過言ではない。また見逃してならないのは、ジェネックスの持つこれら特性によって、省資源化・炭素排出量削減といった環境負荷低減にも大きく寄与する製品であるということだ。2010年10月、その優れた性能と品質が評価され、日本ダクタイル鉄管協会においてジェネックスは「新耐震管(GX形)」として業界の規格化製品となった。ジェネックスは、クボタにとっては鉄管開発の新しい歴史の幕開けであり、将来の安心・安全な生活環境を地下から力強く支えていくことになるにちがいない。今後、クボタでは大口径管も含めたラインアップの充実、管路更新技術の深耕、新材料の開発など、新たな課題にも挑戦していく考えだ。 “水の世紀”といわれる21世紀。2025年には世界の人口の3分の2が水不足に陥ると予測されている。ジェネックスをはじめ、クボタが創業以来培ってきた水道管路技術は、今後も世界各国の水道整備促進に大きく貢献していくことだろう。低コストと施工性の向上 そして100年耐えうる長寿命化の実現へ 日本の水道管路の切り札「GENEX」が 安心・安全な生活環境を地下から支える 外面耐食管のイメージパイプシステム事業部鉄管研究部第1グループ長/船橋五郎耐食層の成分工夫により、管自体の防食性能を高めている「防食性能を発揮する最適な合金組成の追求に加え、溶射のために合金を線材に加工することは高いハードルでしたが、ノウハウのない中で果敢に挑戦しクリアしたことで、開発は大きく前進しました」東京都内における試験施工の見学会。ジェネックスの高い施工性は、訪れた業界関係者から大きな好評を得た

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