GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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0405激動の20世紀を突き動かした 科学文明の飛躍的発展 地球と人類の危機的状況の中 今問われているのは“生存の道” Prologue21世紀の地球、 69億人で歩む未来への旅路 20世紀の曙である1901年。ダイナマイトの発明で知られるアルフレッド・ノーベルの遺言によって創設された、「ノーベル賞」の第一回授与式がスウェーデン・ストックホルムで開かれた。人類の進歩に顕著な功績を示した人に贈られるとされる「ノーベル賞」が20世紀と共に始まったことは、“科学の世紀”であった20世紀の行く末を暗示していたのかもしれない。20世紀の飛躍的な科学文明の進歩を用意したのは、18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命だった。技術革新をトリガーとする産業革命は世界中に拡大し、それは資本主義社会、工業化社会を成立させるなど、社会経済の仕組みをドラスティックに変えていった。やがて列強各国は海外に市場、すなわち植民地を求め、世界分割を巡る覇権争いに突入していく。それは結果として2度の世界大戦を引き起こし、甚大な破壊と混乱をもたらしたことは、20世紀人類の過ちとして深く刻印されるべきことだろう。 一方で20世紀の科学文明は目覚ましい進展を遂げた。宇宙ロケット、飛行機、船舶、自動車、高速鉄道など輸送機器の飛躍的進歩は、空へ、海へ、宇宙へと、人類の行動範囲を大きく拡大した。さらに、科学文明は様々な分野において画期的な技術・製品を生み出し続けた。高分子化学の確立によって化学合成は発展し、その技術は合成繊維や創薬にとどまらず、広く“モノ”作りに適用された。医学や生物学におけるDNAやゲノムなどの遺伝子工学・生命工学の進展は、病の克服と延命を実現した。そしてコンピュータの登場は、18世紀の産業革命以来ともいえる決定的なインパクトを世界に与えた。集積回路の発明、情報工学・通信技術の発達は、人類社会に新たな進化の一ページを開いたといえる。こうした科学文明の恩恵を享受し、“より一層の豊かさ”を求めて邁進してきたのが、20世紀我々人類の姿だったといっていい。それは、輝かしい未来を約束するかにみえた。しかし20世紀後半から人類は、新たな、そして困難な課題に直面することになる。 科学文明の進展は先進国において産業の発展をもたら食・水・環境のグローバルな課題解決に向けて FOOD
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