GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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3839 「施設を運営する担当者にとって一番怖いのは、炉の運転が停止してしまうことです。今回の燃料転換の工事で炉の停止期間が長くなり、取り返しのつかない事態になる可能性も拭いきれませんでした。また工事が終了し稼働したとしても、本当に炉は安定稼働するのかどうか。現場の関係者の中に不安が大きかったのは事実です」(浜松市上下水道部下水道施設課課長 齋藤正樹氏) 費用削減や工期短縮、技術的な課題のクリアといった取り組みと同様に、現場関係者の理解・納得を得ることは、燃料転換を実現する上で実は大きなポイントの一つだったのである。リニューアルの具体的内容、クボタの考え方等を丁寧に説明すると同時に、実稼働までの試運転の期間を長く設けてリスクを排除していく全体工程を提示するなど、徹底して現場関係者の理解を求めていった。また、炉の稼働停止期間も極力短縮する工程とした。工事の期間は約半年だったが、実際に焼却炉の稼働を停止したのは20日間程度に過ぎない。工事のシミュレーションを行って無駄を徹底して省き、効率的に作業を進めた結果だった。 「過去に事例がない中で、クボタの技術者は、オーダーに対して親身になり、熱意を持って取り組んでくれたことが強く印象に残っています。私たちのニーズを的確に理解し、迅速に対応してもらったことで、燃料転換が実現できました。また、灯油と天然ガスの両方が使用できるのは、価格のみならず天災等へのリスクヘッジという観点からも極めて有効だと思っています」(浜松市上下水道部下水道工事課専門監・課長補佐 坪井秀之氏) こうして2009年8月、燃料転換した下水汚泥焼却炉はリニューアル稼働、そして大幅なCO2排出量の削減を実現した。2009年度のCO2排出量は、2005年度比で39.38%の削減を達成。その結果、中部浄化センター全体でも21.17%の削減となり、前述の「CO2・CO2(こつこつ)ダイエット作戦」にも大いに貢献した。 現在、浜松市の地球温暖化防止計画は、公共施設への新エネルギー設備の導入、公用車両における低公害車(ハイブリッドカー、天然ガス車など)の採用、住宅用太陽光発電システム設備等に対する助成、浜松市エコ下水処理施設を 再生可能エネルギーの供給拠点へ Chapter.3 [環境] 地球温暖化防止へのマイルストーン Ⅲ脱水汚泥の一部は清掃工場の燃焼溶融炉でごみと混焼し、砂状のスラグ(下)にして、アスファルトなどの材料に利用される-浜松市西部清掃工場にて浜松市上下水道部 下水道工事課専門監・課長補佐/坪井秀之氏浜松市の公用車として利用されている電気自動車(EV)-浜松市役所にて浜松市上下水道部下水道施設課課長/齋藤正樹氏
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