GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
37/48
3637 「最初の問い合わせは、そもそも天然ガスに燃料を転換できるのかどうかということ。同時にCO2削減量やコストを検討してほしいという依頼でした。そこで関連部署に協力を仰いで提案資料を作り、すぐに先方へ伺ったのです。試算では、CO2の排出量がかなり削減できることがわかりました。また、天然ガスに変えても、技術的にも維持管理面でも問題なく安定稼働ができる、ということが前提条件としてありました」(上下水エンジニアリング営業部・大阪営業課担当課長 山田哲豊) 灯油から天然ガスへの燃料転換というのは、端的に言えば、バーナーを灯油用から天然ガス用へ変える試みである。課題となったのは、費用の低減と工期短縮。その実現のために、関連部署のスタッフが知恵を出し合い設計等の検討を進めていったが、最も効果的だったのは、バーナーそのものへの工夫だ。バーナーには起動時に使われるメインバーナーと燃焼時に常時使われるガンバーナーがある(図1)。当初は両方とも天然ガスに切り替える方針だったが、中部浄化センターはほとんど連続運転して使われていることから、起動時のみ使われるメインバーナーは灯油対応のままにしておくことを提案。つまり、灯油と天然ガスの“ハイブリッドバーナー”である。それによって工事量を圧縮できることから、浜松市の要望である費用低減、工期短縮が可能となったのだ。技術的な課題もあった。ガスの供給条件への対応、使用するバーナーの法律の規定が循環流動炉に適用されるかどうか、ガスの圧力に伴うバーナーの選定、バーナーと循環流動炉の使用特性との検討など一つひとつ課題をクリアしていく中で、灯油バーナーを残したまま天然ガスの供給設備を設置するアイデアが生まれたのである。ただ、施設を運営する現場関係者は手放しでクボタの提案やアイデアを受け入れたわけではない。現場の関係者が抱えていたのは、初めての試みからくる“不安”だった。下水汚泥焼却というのは、言うまでもなく、安定稼働が求められるからだ。 焼却炉監視操作卓のモニター画面循環流動炉(基部)脱水汚泥(脱水ケーキ)の投入口。1時間に2.5tが連続焼却されるのぞき窓から見た炉の内部。循環流動炉では、従来炉の通常焼却(800℃)から高温焼却(850℃)に転換することにより、N2O排出量を約6割減少させることが可能となるガンバーナーに供給される都市ガスの圧力計焼却炉にはガンバーナー(ガスガン)のユニットが3カ所設置されている
元のページ