GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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Chapter.3 [環境] 3233Ⅲ地球温暖化防止へのマイルストーン 浜松市中部浄化センター 下水汚泥焼却炉の燃料転換によるCO2排出削減への取り組み 2010年11月~12月にかけて、メキシコ・カンクンにおいて、「気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)」が開催された。近年のCOPは、1997年に京都で開催されたCOP3で合意をみた「京都議定書」(2005年発効)の約束期間が2012年で終わることから、その後の枠組み構築が主要課題となっている。「京都議定書」では、先進国の温室効果ガス削減目標(注1)を明確に定義しており、2008年~2012年の5年間で1990年を基準に、日本-6%、アメリカ-7%(未批准)、EU-8%等の削減目標値が定められた。日本国内の温室効果ガス排出量は、京都議定書発効後も高い水準で推移してきたが、2007年度の13億7,100万tをピークに減少に転じ、2009年度(速報値)は前年度比で-5.7%の減少をみた(12億900万t)。基準年の1990年に比較すれば-4.1%であり、削減目標である-6%の射程圏内に入ってきたといえる。今回のCOP16において勢いを増していたのが、京都議定書の約束期間を2013年以降まで延ばせばいいという単純延長論だ。日本は強く異議を唱えたが、それは間違いなく正論といえる。そもそも、温室効果ガスの主要排出国である中国と米国に削減義務がない現行制度に果たして実効性があるのかどうか。さらに、新興国や途上国の経済成長によって温室効果ガスの主要排出先は先進国に留まらない状況だ。ちなみに、2013年以降の地球温暖化対策の枠組み構築は、2011年末に南アフリカで開催されるCOP17に持ち越された。自然環境のみならず人類の未来さえも危うくする因子を孕む地球温暖化に対して、世界は果たして真摯に向き合おうとしているのだろうか。国際社会は、2050年までに世界の温室効果ガスを半分に削減することを目標に掲げている。日本が技術のみならず、その意識においても“環境先進国”であるならば、今後、公平かつ実効的な国際枠組み構築に向けて、中国とアメリカ、新興国、途上国各国に対し、粘り強い交渉を続けていくことが求められるだろう。 ロシア5%日本4%ドイツ3%カナダ2%英国2%イタリア2%豪州1%フランス1%その他の削減義務国6%米国20%中国21%サウジアラビア 1%その他19%28% 72% 南ア 1%メキシコ 2%イラン 2%韓国 2%インド 5%各国のエネルギー起源二酸化炭素排出量(2007) [京都議定書における削減義務国のシェア] 出所:環境省 平成22年版 環境・循環型社会・生物多様性白書10111213排出量2009(速報値)基準年比 -4.1%前年度比 -5.7%20082007200620052004基準年(原則1990年)[ ] (億t/CO2換算)12億6,100万t12億8,200万t12億900万t日本の温室効果ガス総排出量の推移 出所:環境省 2009年度(平成21年度)温室効果ガス排出量(速報値)(注1)京都議定書における排出量削減対象は、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、 パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類である。
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