GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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2829運営されるプラントが“実証設備”であることです。プラントを運営する中でデータ収集や性能確認、品質保証などの“実証”作業に約2年間費やされる。これは、いわば“社会実験”ともいえます。それを経て契約交渉、実機設置、事業運営という運びとなります。しかし、私たちは2年間を単に“実証”の時間と捉えているわけではありません。予定される実証フェーズは合肥市に対して契約締結に向けたアピール作業であると同時に、他地域に向けたデモンストレーションの期間でもあると考えています」(水・環境システム事業本部海外プロジェクト管理部膜メタンチーム 谷川淳) すなわち、クボタが目指すのは、今回のプロジェクトをきっかけに、周辺地域にとどまらず中国全土に「環境調和型水循環システム」をニーズに応じてカスタマイズしつつ、“横展開”していくことである。潜在的かつ顕在的でもある膨大なビジネスチャンスがそこにはあるが、日本国内企業のみならず欧米系の水メジャーと呼ばれる企業の存在など、競争は熾烈だ。そこを勝ち抜いていくためにも、高い優位性を持った高機能・高品質のプラントであること、そして「ビジネスとしての持続的発展性を実証し訴求していくこと」(前出・寺尾)が求められている。 実証、実機サイト・官亭鎮 政府が推進する「新農村」建設 合肥市肥西県官亭鎮工業園区の実機建設予定地。ここで官亭鎮中心部2万人の下水が処理され、近隣の新農村約6,000人分の生活排水もつながれる■合肥市および巣湖周辺地図処理水は中水として、南に隣接する出稼ぎ農民のための起業団地(日本でいう工業団地)で再利用される 実証設備および実機が建設されるサイトは、合肥市の中心部から車で約1時間、合肥市肥西県官亭鎮にある。官亭鎮が選ばれたのは、半径10km以内から生活排水、家畜糞尿、生ごみ、レストランごみが収集できるエリアだったからである。官亭鎮中心部の人口は約2万人、豊祥・馬河湾新農村には約6,000人が生活しており、周辺の街には約100軒のレストランがある。また周囲10km圏内に乳牛場、養豚場、と畜場もある。我々は、実際に乳牛場やと畜場も訪ねたが、家畜排泄物処理の現場やと畜で発生する血液処理の現状を見ることは叶わなかった。情報によれば、現状では牛糞は一部メタン発酵に利用されているが、その多くは未処理のまま地面に放置され、一部が肥料に転用されているという。 巣湖市 姥山島 合肥市 官亭鎮 巣 湖 三河鎮 0020mi20km

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