GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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2829Chapter.2 [水] 命の水源、巣湖の蘇生 Ⅱ民をはじめとした関係者の理解・納得が必要とされている。もう一方の課題は処理で生まれた副産物である液肥の問題だ。元来、汚水から生まれた肥料を嫌う傾向があることに加え、果たしてそれを農民がお金を払ってまで購入するかどうか。当面は無料配布などによって理解を浸透させることも検討されているが、価格やその運搬費など検討すべき事項は少なくない。 「私たちは中国の環境保全への寄与とともに、中国での環境ビジネスを拡大していくというミッションを持ちながら今回のプロジェクトを推進しています。しかし、ハードとしてのシステム自体の評価は高いものの、収集や課金、販売といったソフト面では、農民や事業者を含めた関係者間での様々な調整が必要となります。したがって、幅広く現地の人と“ビジネス”という意識を共有することが重要であり、その過程で新しいビジネスモデルを作っていきたい。このプロジェクトは、中国におけるクボタの環境ビジネスの試金石といえます。是非成功させて、中国という巨大市場に果敢に切り込んでいきたいと思っています」(水・環境システム事業本部海外プロジェクト管理部水処理EPCグループ長 寺尾康) プロジェクトはNEDOの資金によって進められることから、プロジェクトのフェーズごとに“STAGE GATE”と呼ばれるNEDOの審査があり、プロジェクトを続行していくためには、その審査をクリアする必要がある。今回のプロジェクトが採択されて具体的に始動したのが2009年6月。フェーズⅠでは現地調査や地元のニーズ・制度を詳細に検討、実地サイトを選定、省水型・環境調和型水循環システムの簡易設計を行うと同時に、現地政府のカウンターパートナーを選定、事業採算性の検討などを行った。このフェーズⅠの取り組みがNEDOの審査をクリアしたことで、プロジェクトは2010年4月からフェーズⅡに進んだ。フェーズⅡでは、フェーズⅠで選定したサイト及びシステムについて詳細設計を中心にプロジェクトは進められた。このフェーズⅡ(審査は2011年3月末)をクリアすることで、プロジェクトはいよいよ実証設備の建設と運営が開始されることになる。 「ここで留意してもらいたいのは、審査をクリアして建設実証設備の稼働から始まる プロジェクトの「横展開」 古い街並が残る水郷「三河古鎮」。巣湖に注ぐ豊楽河、杭埠河、小南河の 3つの河が近くに流れていることから「三河鎮」という名が付いた水・環境システム事業本部海外プロジェクト管理部水処理EPCグループ長/寺尾康水・環境システム事業本部海外プロジェクト管理部膜メタンチーム/谷川淳

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