GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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2627合肥市環境保護局総工程師/趙順瑣氏いこう。まず生活排水(低濃度排水)はMBR(膜分離活性汚泥法)で処理される。クボタの液中膜は、MBR用の膜として国内のみならず欧米をはじめ世界の水処理施設で活用されており、処理水質が安定して得られると高く評価されている。従来の水処理に比べ施設がコンパクトにできること、処理水は工業用の中水などに再利用可能であることも大きなメリットの一つだ。MBRから排出される汚泥や家畜の排泄物についてはメタン発酵技術を導入する。また、農村部におけるレストラン等の生ごみの処理も大きな環境問題になっていることから、これらを回収し、液中膜を用いた膜型メタン発酵によって効率的かつ安定的にバイオガス化を行う。こうした処理によって生まれた副産物は有効活用される。MBRで発生した処理水は中水として工業用水、灌漑水、景観水に再利用する。メタン発酵で得られたバイオガスは自動車用燃料に、同じく膜メタン発酵で発生する消化液は窒素やリンなどの肥料成分が豊富に含まれているので、液肥として農地に還元する。 こうした「省水型・環境調和型水循環システム」を、将来的には重点対策流域において適所分散配置することにより、大都市周辺部の農業由来の窒素・リン等の水系への排出を抑制し、流域河川・湖の水質改善、および地域における安全な水源の確保に寄与するというものだ。このプロジェクトの実質的な中国サイドの担当者である合肥市環境保護局・総工程師(日本の技術部長に相当)の趙順瑣氏は合肥市の出身。 「幼い頃は巣湖の水を飲んで育ち、巣湖で水遊びをしました。美しい巣湖は私にとって故郷の原風景であり、命の水源なのです。ですから、その水質改善は自分自身に与えられた使命と感じて取り組んでいます。プロジェクトには様々な課題はありますが、我々とクボタがより深くコミュニケーションを取って、問題意識を共有して課題解決に臨めば、プロジェクトは必ず成功すると確信しています」 そう語る趙氏だが、彼が指摘したプロジェクトの課題解決は、決して容易なことではない。課題の一つは生ごみや家畜排泄物の収集の問題だ。従来、その多くは埋め立てか放置・投棄されていた。誰がどのような形で収集を実施するか、その際の費用はどうするか。つまり収集という社会システムと課金システムの整備とともに、農 水質汚染による富栄養化、そしてアオコの発生。中国の多くの湖沼では、飲用水の安全問題が広がっている巣湖の水質は、国の環境保護部とオンラインで結ばれた水質監視センターで常時測定されている

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