GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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1819していると指摘する学者もいるほどだ。果たして今後も、メコンデルタは持続的な“豊穣”をもたらしてくれるのだろうか。また富裕農家を除けば、米価格が高騰しても農家の所得水準は低いままだ。それを補うために賃労働などの兼業が進み、さらに工業化・都市化の進展や情報の流通に伴い、豊かさを求めて若者を中心に都市部へ人が流出する。農業人口の減少は農村を疲弊させる要因になりかねず、事実、都市と農村の格差は確実に進行している。メコンデルタが真の意味で“豊穣”を持続するには、新しい道を模索する必要があるだろう。メコンデルタの蘇生、それが今求められている。 メコンデルタの中心都市ミトーにある巨大なつり橋から、茶色に濁り茫洋と流れるメコン河を一望した。青い空に雲が浮かんでいた。メコン河はその空にのびていくかのように、何を語ることもなくただ静かに流れていく―。
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