GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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1819 ベトナムにとって米生産量の向上が必須なのは、日本のような少子高齢化が進む国と違って、年間100万人以上のペースで人口が増えているからだ。2020年には1億人(2009年:8,602万人)達成が予測されており、国内の需要量を確保することが大きな政策課題としてある。2007年にベトナム政府が米の輸出量に制限を加える「数量割り当て」の制度を導入したのも、国民の主食である米を確保することを第一と考えたからだ(この制度は事業者の反発に会い、2009年に撤廃)。タイに次いで世界第二位の米輸出国であるベトナムの輸出規制は、世界の米需給の逼迫化をもたらし国際価格高騰に拍車をかけ、当時の世界食糧危機の震源の一つともいわれた。言い換えれば、ベトナムの米政策は世界の食糧事情に多大な影響を及ぼすということである。世界食糧危機後、ベトナムは米の生産と輸出を増加させることに成功したが、それが今後も続くという保証はない。懸念されているのは、米作そのもののあり方だ。3期作が広く普及している地域では乾季でも水田と水路は乾く間がなくなった。堤防内の水は排出される分以外は入れ替わることなく、常時貯留された状態で、しかも集約的施肥と多量の農薬が投入されている。水質悪化の問題に加え、3期作によって徹底して土地を利用し尽くした結果、土壌自体が痩せ、地味の著しい劣化が進行、土地生産性の上昇は限界に達メコンデルタを蘇生せよ 持続的な“豊穣”をもたらすために ひっぱくか Chapter.1 [食] メコンデルタの豊穣 Ⅰ
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