GLOBAL INDEX 2011 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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1213乾季と雨季の熱帯・メコンデルタ “洪水”の発生が育んだ肥沃な土壌 広大な穀倉地帯には、こうした運河が縦横無尽に張り巡らされている 我々を乗せたワゴン車は、ホーチミン市から南下し、目指すのはメコンデルタ12省の内の一つドンタップ省だ。メコンデルタエリアに入ると、ホーチミン市の都市的風景は薄れ、広大な穀倉地帯が目に入ってくる。メコンデルタは熱帯に属し、したがって四季はなく熱帯モンスーンの影響下で雨季(5月~10月)と乾季(11月~4月)の違いがあるだけである。年間を通じて30度前後と気温は高く、日射量も極めて豊富だ。特徴的なのは、デルタ地域の中でも低地では雨季の水深が数メートルにも達する氾濫原となることである。村全域が水没し高みに建つ家々が小島のように点在する光景が生まれる。いわゆる“洪水”である。洪水といっても、激しい流水が農地を押し流すわけではない。水位が徐々に上昇して深い浸水状態が続き、やがて乾季の訪れとともに水は引いていく。こうした、メコン河がもたらす自然的摂理の中で、植物生育に必要な栄養分が供給され、米作に相応しい肥沃な土壌を培ってきたのだ。広大な土地が約束されたフロンティアともいうべきメコンデルタの開発が本格的に始まったのは新しく、19世

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