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トラクタの大きな特徴は、作業用機械をけん引するのが目的であることから、エンジンの回転数を低くして、トルク(回転軸をねじる力)を大きくする必要がある。たとえば、エンジン排気量2000ccクラスのトラクタと自動車(ガソリン車)を比較した場合、最大出力時のエンジン回転数が自動車は6000rpmであるのに対して、トラクタは約半分の2500rpm前後に設定されている。 また、ギア関係は自動車が主変速装置だけなのに対して、トラクタは主変速装置に加えて副変速装置がついていて変速段数が多いのが特徴。これは作業内容によって速度をきめ細かく変速するためである。 変速装置が複雑なのに加えて、差動装置および減速装置といった構造がついているのも大きな違いだ。前者はトラクタの旋回を容易にしたり、ぬかるみなどの足回りの悪い場所でも作業ができるようにするもの。後者はトラクタのけん引力を高めるとともに低速での走行を可能にするために欠かせない装置である。 そのほか、トラクタのタイヤは、けん引能力を上げるため後輪の方が直径も幅も大きい。ブレーキは旋回半径を小さくする理由から左右独立している。 一見、トラクタと自動車は同じ構造と思いがちだが、開発にあたってはトラクタ固有の高度なテクノロジーが求められているのである。 (参照 『農業機械の構造と利用』農文協 86ページ) |
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